二次創作小説(紙ほか)

Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】 ( No.8 )
日時: 2013/03/17 22:15
名前: 詩隈伊吹 (ID: bKy24fC9)

第3Q【黒、素直じゃないあたしは】


黒子と出逢った次の日。

「……分かった。5時でしょ、うん。うん。じゃ、またね」

学校から帰ったら丁度かかってきた電話。
相手は、あたしの従兄弟。

『バスケの相手をしてほしい』

こいつの頼みは何かと断れない。
というか、結構前から約束していたのをずっと忘れていただけなのだけど。

受話器を置いて、時計を見上げる。
4時5分。
まだまだ、時間がある。
だけど、家にいるのもなんとなくやだったためあたしは制服から動きやすいジャージとパーカーに着替えた。
それから、練習用のバスケットボール……。

「あれ?」

なかった。
いつもバックに入っているはずのもの。

「忘れてきたか……?」

記憶を巡る。
昨日、あたしは……

「っ……!」

『僕の、練習相手になってくれませんか?』

黒子の言葉が脳裏をよこぎる。
純粋に、バスケが上手くなりたいと願ってる黒子。
罪悪感が今更ながらに胸に広がる。

(理由も言わないで、冷たくいいすぎたかな……)

「謝りに、行こうかな……」

驚いた。
自分で謝ろうとするなんて。
自分でいうのはなんだけど、あたしは素直ではない。
ケンカをする事はしょっちゅうあったけど、自分から謝ろうとしたことはなかった。

(てか、どうやって謝りに行くんだっつの。黒子のこと、なんも知らないし。てか、覚えてないかも。……んなわけないか。)

頭でグダグダ考えていても仕方が無い。
あたしは、ある程度の荷物を持って家を出た。

(そうだよ。黒子はバスケ部かもしれない。学校に戻ればいいんだ)

解決策が見つかったと凄く嬉しくなった。
どうしてこう素直な感情が胸にながれてくるのかな。

胸のなかの嫌ではない感情が溢れ出そうで、あたしはギュッとパーカーを握りしめた。




『新しい感情が溢れた、放課後』