二次創作小説(紙ほか)
- Re: 黒子のバスケ【私にとって、君は光】もしも、番外編始めました! ( No.81 )
- 日時: 2013/04/07 14:53
- 名前: 四ノ宮(元伊吹 ◆8HAMY6FOAU (ID: VWN9kw8v)
第11Q【優しい温もり】
「ど?美味しい?」
「……めっちゃ美味しいです」
二人でテーブルを囲む。
今日はオムライスを作ってみた。なんとか、柔らかいふあふあした卵にすることができた。そんなあたしの料理をテツヤは美味しいと笑って言ってくれる。
「えへ……よかったよ!」
「はい。とても美味しかったです」
ご飯を食べ終わって、二人で後片付けを始める。
他愛もない会話をしながら。そんな時間が、とても楽しかった。
「そういえば、海常との黄瀬との練習試合ってあたしが転校してくるその週だよね……」
「あ、月曜からでしたね。梓が学校にくるの」
「うん。……友達できっかなーー……それよか、テツヤと一緒のクラスがいいー」
「それは、分からないですね……」
「ぅむー……」
「ふふっ……大丈夫ですよ。梓は優しいから、すぐ誰とでも仲良くなれます」
「……そ、かな」
頭を撫でられて、少し頬が熱くなる。
テツヤは微笑んであたしを見つめる。
「ていうかさ……」
「はい?」
「……テツヤに頭撫でられるの久しぶりで、嬉しい……」
「っ……!」
「もっと触れて、いいよ……?」
テツヤに触れられるのが嬉しくて、ついつい本音がでる。
テツヤの頬が僅かに赤くなっているのが分かる。多分あたしもだろう。
「梓……」
「ん……?」
「それは、反則だと思います……」
「え?……あっ」
きゅうっと、テツヤに抱き締められる。
トクントクンと、あたしの心臓が音をたてる。
触れている部分が熱い。テツヤのほうがいくぶんか身長が高いため、あたしの顔は、ちょうどテツヤの肩口にある。テツヤの匂いでいっぱいになって、すごく気持ちいい。安心する。
そういえば、テツヤに抱き締められたのってあの時以来だ。
雨の中、二人で雨に濡れながら抱きしめあった。
不思議と寒くなくって、むしろ熱くて。
「……梓は」
「ん?」
耳元でテツヤの声がする。
随分近くに聞こえて、耳に吐息があたってる。それが少しくすぐったくて、肩をすぼめた。そんなあたしを見て、テツヤは少し笑った。
「耳、弱いんですか?」
「……うっさい」
悪戯っ子みたいに微笑んでいるテツヤが安易に想像できる。
なんか、頭ボーとしてきたんだけど。
テツヤの声が予想以上に甘くて、体中が熱くなる。
「……んー。梓、小さいですね」
「……ちっさいテツヤに言われたくない」
「え?僕のほうが、梓より大きいですよ?だって、梓はちゃんと僕の身体におさまっているじゃないですか」
「……む。身長は同じだ!」
「いえいえ、僕のほうがどう考えても高いでしょう」
「……」
「……」
がばっと同時に身体を離す。
「じゃあ、測ろうよ!!」
「そうですね。そうしましょうか」
心なしか、あたし達の間に火花がちっている。
テツヤの身長があたしより高いことなんてわかってる。
でもあたしは、昔みたいにテツヤとこういう馬鹿みたいなことをしたかったんだ。
『身長。やっぱり、君のほうが大きかった』