二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】空色の涙 ( No.10 )
- 日時: 2013/04/13 22:56
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
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「ファイトー!!]
窓からは運動部の元気な声が聞こえてくる。
太陽が西に傾き、窓から入ってくる光がオレンジに染まる頃。
空「(えー…と、ここかな?)」
まだ身に付けたばかりの記憶を辿り目的の場で止まって見上げる。
いつみてもまぁ……大きい棚だなぁ。
空「よいっ……しょ。」
少し背伸びをして本と本との間に差し込みホッと一息。
台か何かあればいいのだが残念なからこの学校にそんな物は置いていない。
「「キャ——!!////」」
思わず吃驚する悲鳴にも似た歓声。原因が分かっているからこそ溜息が出てしまう。
またです、またですよ。
図書室では静かにしましょう、という事を小学校で習わなかったのでしょうか。
耳に届く甲高い声。あれは図書室に溢れんばかりいる女子の皆さんの声です。その歓声の元となっているのはテーブルに座って本を読んでいる人物。
白髪で灰色がかった水色の瞳で綺麗、で名を知られている涼野風介先輩。そう、女子の皆さんはその先輩を取り囲むようにしているのです。
あれだ、取り巻きとかいうやつですね。
美「人気なのも辛そうだね。」
本を借りに来たのであろう美紗が片手でそれを器用にめくり視線を落としながら呟く。
空「……できれば図書室以外でやってほしいものです。」
隣にいるのは同じクラスになった蘭桜美紗さん。
少し変わっている人だけれどとても良い人なんですよ、少し変わってますが。
美「ま、そんなのボクに関係ないからね。」
「じゃ、図書委員頑張って。」と何とも彼女らしい他人事のような一言を置いて消えていく。
面倒くさがり屋の彼女にとってここは素晴らしく悪環境なのだろう。
空「ハァ………」
この『図書委員』というのは学級に取り残されていた委員会。
きっと皆は涼野先輩がこの図書室をよくご利用になっている事が知らなかったのでこの事が知った時のクラスメイトはとても怖かったですよ。(主に女子)
こんなことなら委員会なんか入らなければよかったかもしれません。