二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】空色の涙 ( No.16 )
- 日時: 2013/05/26 20:58
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
005
空「あの……そろそろ下校時間、のはずですよね……?」
そんな時間に生徒がいるなんておかしい。
この人がここにいる英雄として考えられるのは2つ。
1、ただ単に時間を忘れていた
2、私が何かをしてしまった
後者だった場合私は今すぐ死にたいと思います。
涼「あぁ……知っている。」
知ってるんかい。
涼「周りがうるさくて静かに本が読めなくてな。少し名残惜しいんだ……。」
本の背表紙に手を重ねて撫でるその姿はとても美しくて見惚れてしまう。
いちいち様になるのがムカつく。
涼「そういう君こそどうしてまだいるんだい?」
空「ピャッ!?………」
見惚れていたので突然の質問に驚きのあまり、おかしな声をだしてしまった。
案の定笑っている。穴があったら入りたい。
空「えっと……本の確認がまだできていないので特別に残らせてもらっているんです。」
あぁなるほど、と納得した後に何かを思いついたように笑った。
知っているでしょうか?そういう笑い方をする人は大抵面倒くさい事や嫌な事して言ってこない事を。
涼「本の確認はどこでやるんだ?」
空「も、勿論図書室でやりますが……。」
予想通りの答えが返ってきて満足そうに笑う。
一体何なんだ。
涼「書庫室は人目につかない、そうだろう?」
分かりたくもないけど分かってしまった。
どうしてこう今日は不幸が続く日なのでしょう?
空「……書庫室で読書をする事をご所望なんですね……」
涼「よくできました。」
そうですよねー書庫室はまったくもって人が寄り付かない、というか入れないのだから。
しかも今の時間帯だと学校には私と彼と先生しかいません。絶好の読書時間ですよね。
涼「そういうわけで、君が本の確認を行っている間に私は書庫室で本を読ませてもらっていいかな?」
一応この人は聞いていますが批判の声を聞く気なんて毛頭ないのでしょう。
頷くしかないでしょう!?だって首を横に振った瞬間きっと彼の取り巻きにリンチされますよ!?
この時代に集団リンチ、それはそれは辛いでしょう。
空「分かりました……くれぐれも先生に見つからないようにお願いします。私が怒られるので……。」
読みかけの本を持って書庫室に消えていく先輩。
なんか……見かけによらず強引だな……。
♪〜♪〜
空「(メール……?)」
ディスプレイを見ると美紗の名前がある。
はて、彼女が私に何の用があるのだろうか。
『今日はスーパーで卵が98円だった。卵ゲットだぜ。』
の文字と一緒に見せびらかすように値段のついた10個の卵が添付されていた。
空「オーノー……。」
私がこの仕事を終えた時にはもうその卵はないでしょう。
空「切らしてたのに……グスッ」