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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】空色の涙 ( No.21 )
- 日時: 2013/04/28 09:31
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
008
一歩踏み出そうにも踏み出せない。
ドアの向こうを見ればバケツをひっくり返したかのような雨と止みそうにないどんよりとした雲が浮かんでいた。
南「ついてねぇーな……」
いいや、これは自分が悪い。
朝にあの2人の忠告を聞かずに折りたたみ傘さえ持ってこなかったのだ。
2人はそれぞれの事があり今から家に帰って夕食の当番をする俺との帰宅時間は大幅にずれているのだから残されている道は一つ。
南「(走る……しかないのか)」
ここから駅まで歩いて20分。
現役で運動部に入っている俺が走っても最低10分はかかるだろう。
その後に電車に揺られる事20分。そこから走っても駅から家まで15分。
考えれば考えるほど憂鬱になる。
空「(さて、どうしましょうか)」
傘が無いのか?いいえ違います。
下駄箱の前で困ったように立っている赤髪さんの事を言っているのです。
どうやら傘を忘れたようで。
周りに女子がいれば誰かが顔を真っ赤にして貸すのでしょうが残念ながら人一人すらいません。
赤髪さんは誰か、疑問ですよね。
あの人の髪に似ているようで似ていない赤い髪にはちみつ色の瞳。
物腰は友達いわく「俺様」らしいですがフレンドリーな性格の為、男女問わずに人気でその甘いルックスでモテモテ。
以上が春奈ちゃんからのデータでした。
そんな先輩の名前は「南雲晴矢」先輩。
立場上何事もなかったように横を通り抜けるのは人としてあれですよね。
仕方ありません。誰だってそうするでしょう。
空「あの……傘、貸しましょうか?」
代わりに風邪を引いてもこの学校に支障がでない私が雨に打たれます。
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