二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】空色の涙 ( No.24 )
- 日時: 2013/04/30 22:19
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
009
あれ、何でだろう。何かがおかしいよ?
どうしてこうなったのかな?
南「いやー助かったわ。本当にありがとな。」
空「いえ……」
私のお気に入りの傘は私の手の中ではなく先輩の手の中。
だからと言って私は雨に打たれながら全力疾走をしておらず呑気に歩いている、が雨に打たれていない。
分かりましたか?あれですよ、いわゆる一つの傘を2人で使う『相傘』をやっています。
これは彼のファンに見つかった瞬間死亡しますね。
空「あの、別に私は走って帰るのでいいのですが……」
南「傘の持ち主が濡れて帰る、っていうのは聞いた事ねぇぞ。」
そうですね、大体の人が相傘をしますよね。
だってそう言う人のほとんどの貸す相手が「幼馴染」とか「恋人」とかですものね。
念を押しますよ?私とこの先輩はただの上下関係の中で生きる為に顔を合わせたただけの関係です。おかしいでしょう。
空「ではせめて私が傘を持ちます。」
南「あんたは背が低いから俺が腰をかがめて歩かなくちゃいけなくなる。」
グサッときました。
心に癒えない傷ができました。
普通そういう事言います!?背が低い人の大半はそれを気にしてるんですよ?
コンプレックスにしてるんです!!それを堂々と……。
南「まぁ女子はいいだろ。男が背低いと格好つかねぇけど女は低いくらいの方がいいと思うけどな。」
どうやら落ち込んでいる私を見てどうにかしないとと思ったらしいですが逆効果ですよ。
その励まそう、という心遣いはとても嬉しいですが余計に心の傷が深まります。
空「(さて……)」
最大の難関を忘れていました。
駅に着いて驚いた事に南雲先輩も私と同じ電車だと。
そして降りる駅も一緒でした。
はい、ここでシンキングタイム。
ここまで一緒だったとしてもこれからどうすればいいでしょう?
私と南雲先輩の家の方向は素晴らしいぐらいに間逆です。
傘は一つ。
雨はなぜか先ほどよりも酷くなっているような……(気のせいにしておきましょう)
南「どうすっか……」
いや本気でどうしましょうか。
隣では「夕飯の準備……」とか呟いています。
どうやら先輩の頭の中には2人とも濡れない考えしかないようで選択肢は3つ。
1 私が全力疾走で家に帰る(濡れて帰る)
2 南雲先輩が全力疾走で家に帰る(濡れて帰られる)
3 片方がどちらかの家まで送ってから自分の家に帰る。
1、2はどちらかが風邪を引くというコストを支払い3は多くの時間を費やします。
きっと南雲先輩の頭の中では3番で先輩は私を送り届ける気でいるそうで。
空「先輩、私が全力疾走で家に帰れば全て解決すると思いますが。」
南「いやいや、風邪引くぞ。」
ほらね、あながち皆の噂は間違っていないそうで優しいでしょう?
空「では失礼します。」
傘をさしたまま棒立ちになっていた先輩を後ろから軽く押し豪雨の中へ。
私はその先輩の手を引きます。
どっちの方面に?勿論そんなの……
南「おい!?こっちは俺の家の方向だぞ?」
空「先輩は夕食の当番があるそうじゃないですか。」
「いや、でもなぁ;」と言って不満を漏らしつつ歩き続けているので駅は除々に遠ざかる。
ここら辺まで来れば引き返すにも引き返せないはずだ。
あーあ、きっと家に帰る頃にはこの夕暮れは暗くなるんだろうなぁ。