二次創作小説(紙ほか)

Re: 【inzm】空色の涙 ( No.32 )
日時: 2013/05/18 15:24
名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)

013


歩く道はいつもと同じ。
少し傘を傾けて空を見上げれば灰色の雲から無数もの粒が降っている。
梅雨に入ってからはこんな日ばかりが続くが私は割と好きだ。

ふと横を見れば青、紫、ピンクなど様々な色のアジサイ。
色々な場所にできた水たまりが雨に反射する音。
この季節がまるで芸術品のような輝きを持っている。


春「おはよう、空。」

空「春奈ちゃん。」

いつもと同じように友達と挨拶を交わして教室に入り、席に座る。
入学したての雰囲気などはもうなく、それぞれが思い思いに過ごせる空間となった教室は居心地がよい。







美「ねぇ。」

空「はい?」

各自が昼食をとるこの時間。
美紗の提案で私達は食堂で食べる事になった。
美紗が人と一緒に食べるなんて珍しく、何か悩みごとでもあるのだろうか。

空「(けど……)」

目の前で先ほど買ったであろうメロンパンをかじる美紗に変化は見られず戸惑う。

美「その髪……大変そうだね。」

空「そんなに酷いですか?」

なんだそんな事か、と思うと同時に自分の髪を見る。

淡いピンク色の髪は腰の辺りまで伸びているがこの湿気で膨張しているように見えた。
これはロングである者の宿命である。

空「結べば……何とかなりますよ。」

残念ながらゴムは手持ちにないので明日から実行しよう。

空「それよりどうしたんですか?」

美紗は視線だけ私に合わせて何かを見抜くような目をした。
私はこの美紗の目が怖い。何もかもを見透かすようだから。

美「ただ……














夕食を一緒に食べた割にはその後何もないんだな、と思って。」


空「っ……ゲホッ ゴホッ!!」(むせた)

突然の発言。
ちょっと待て、何故美紗が知っている。

空「な、何で……」

美「あぁ大丈夫。ファンには見つかってないから。」

そういう問題じゃない。
美紗の顔を見れば悪びれた顔ではなく逆に面白い物をみたかのようになってた。









この野郎。