二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】空色の涙 ( No.38 )
- 日時: 2013/06/07 22:27
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
017
「クスクスッ……」
「もうっ、これでばれたらどうするつもりなの?」
「大丈夫だよ♪」
人の間を歩いた時、ふとそんな会話を耳にした。
少しばかり気になったものの足を止めて聞くのもおかしいのでその時は何も知らないふりしたんだ。
涼「(あいつなら……きっと知ってるだろうな)」
頭に思い浮かんだ友人。
赤い髪に深い緑。この学校で知らぬ人はいないであろう男。彼ならこの学校の事は何でも知っているはず。
ガラッ
涼「邪魔するぞ。」
まだ太陽は高い位置にあり、校舎内は夏場特有の湿気で溢れている時。
教室とは変わった部屋、『生徒会室』を訪れた。
基「珍しいね、風介がくるなんて。」
涼「どっかの馬鹿みたいに素行が悪いわけではないんでな。」
「あはは;」と苦笑いをするのも仕方ない。
同じ赤でもあっちの赤は救いようがない程なのだ。
あいつが廊下で教師に注意を促されているのを見た数を数えるとなると大変な数になる。
涼「さて……」
部屋を一周見れば丁度人は出払っているのかいない。
基「風介の事だから用もなしにこないでしょ?」
涼「お前は話が早くて助かる。」
あいつは1から話さなくてはいけないからな。
基「ん——……」
涼「まぁ別にどうということではないのだが……耳にしてないか?」
顎に手を当て考えている素振りを見る限り思い当たる節がないらしい。
杞憂ならばそれでいいさ。
基「……あ、一つ。」
涼「あるのか?」
彷徨わせた視線を元に戻すと微妙な顔をした。
こいつのこの顔は核心が無い時。
基「それっぽい……けど、断定はできないな。」
涼「十分だ。」
椅子に座って先を促せば妙な事を言い出す。
基「クスッ……君と晴矢は似てないようで似てるよね。」
涼「あいつと似てるとは心外だな。」
基「先を急ぐ所とかさ……。」
………………。
涼「とりあえず続きを言え。」
だからこいつに話を聞くのは嫌なんだ。
どうでもいい事を引っ張りだしては人に持ちかける。
基「つい昨日ぐらいかな。焼却場の所辺りで女子生徒が怪我をしたんだ。」
焼却場。
放課後や昼休みなどにゴミを捨てに行く生徒がちらほらいるくらいの場所だ。
基「原因は上の階から落下してきた鉢。どうやら手入れしていたらしいけど……。」
涼「上の階?」
基「うん。」
はて。
上の階は確かに教室があるにはある。けれどそこは……
涼「西校舎で授業以外はほとんど人なんていないよな?」