二次創作小説(紙ほか)

Re: 【inzm】空色の涙 ( No.41 )
日時: 2013/06/15 21:52
名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)

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涼「そうやって聞いた方が追い込みやすいだろう?」

空「……聞いたこともないのですが。」

涼「では新しい事が増えたな。」

澄ました顔で言い返すこの先輩が少し憎い。
さっきこの先輩は「追い込みやすい」と言ったのだ。それは私から怪我について全て話させる、ということを意味している。

空「(早く立ち去るのが賢明ですね……)」

ただまぁ、涼野先輩が私をこのまま返してくれるとは思えないわけだけど。


幸いにも今は下校時間の5分前。その時間を乗り切ればなんとかなる。









涼「(この子に全てを離させるのは難しいだろうな。)」

向かい合わせになり見えた瞳には不安を感られず、きっとこの場をどうしのげばいいのかという事を考えているだろう。

涼「確認する。その怪我はさっき私が言った通りで合っているか?」

空「………合ってます。」

向こうも馬鹿ではない。いや、むしろ利口過ぎるくらいだろう。
こちらの質問に対して自分に不利な情報を与えないように答えが返ってくる。

これが晴矢なら簡単なんだが←


涼「怪我をした時に人の声はしたか?」

空「校庭で楽しそうに遊ぶ男子の声は嫌というほど聞こえましたよ。」

さらっと毒を吐く所が彼女を連想させる。
ヒロトはそれを嬉しがっているが彼女的にはうざいだろうな。

涼「落ちてきた教室からだ。」

空「?まったく……というかあそこ教室だったんですか?」

あぁそうか。1年生だから西校舎はまだ使った事がないのか。

涼「西校舎は社会科教室などの専門の科目で使う教室しかない。まぁ主に使うのは2・3年生だが。」



…………。











空「すいません、こちらからも質問があります。」

涼「ん?」

嫌な汗が出る。
いやいや、そんなわけありませんよね?;だって部活にすら入っていないんですよ?

空「私……先輩方から嫌われてます?」




涼「……いや、そういう話は耳にした事がないが。」

「あぁ、そう言う事か。」と納得した様子。
2・3年生の先輩方が中心に使っているのならば相手は先輩の確率が高い。けれどそうなると余計に心当たりがないのだ。

委員会は入っているがあまり先輩と関わることもないし帰宅部。
入学初日に怖い先輩からカツアゲにあうというありきたりなシチュエーションの片鱗も感じず入学してきたのだから。

涼「基本的に生徒は出入り自由だ。1年生の可能性も十分ありえる。」


ナイスな慰めです。