二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】空色の涙 ( No.5 )
- 日時: 2013/04/07 22:47
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
001
サァァァ———……
春の嵐が過ぎ去り緩やかな暖かい風が頬を撫でる。
新しい制服は着慣れないから動きにくいな、そんな事を考えながら入学式が始まるのをただボーッとしていた。
だんだんと人が集まりだし、あっという間に体育館は沢山の声で溢れかえる。
まぁあと少しで始まるので当たり前だ。
いなかったらいなかったですごい。
『それではこれより——……』
それからというもの無駄に長い校長先生の話を聞き、PTA会長さんの少し強張った声を聞き……そう、とにかく人の話を聞きまくった。
『生徒代表の言葉——……』
あぁ、もう。まだあるの?
他の人なんか隣の人と話し始めたりしまいには寝てる人もいるのだ。
空「(生徒代表の言葉……)」
異例が無い限りその役目を負うのはその学校の生徒会長。
はてさて、これから通う学校の会長はどんな人だろう。
空「(うっわ……)」
体育館の外を眺めていた視線を外し壇上へと向けた瞬間だった。
一瞬で目を惹かれる。
彩度が高めで男の人にしては少し長めの赤い髪、そして少しばかり深い緑色の瞳、人形のように白い肌。
美青年。
その言葉はまるであの人の為にあるかのように思う。
『春の日差しが心地よく、暖かい風が皆さんの背中を——……』
見た目によらず声は低く、ストンと心に言葉が入ってくる心地よさ。
話が終われば礼をするのだがこれがまたすごい。
比べてしまうのは失礼なのだろうが女の私なんかよりもよっぽど綺麗。
周りを見れば女子は勿論、なぜか男子までもが頬を染めていた。
確かに同性でさえ目を奪われる程の人だったけどね。
空「(あ、名前……)」
最初の方は聞き流していたので生憎名前は知らない。
けれどなんぜ会長だ、その内分かるだろう。
そう言えば友達が「いいなー!!」と言っていたのを思い出す。
空「(まぁ……天と地のように違うからなぁ)」
どうせこれで関わる事もないだろうし。
名前なんか知らなくてもこの学校で生活するのに支障はないだろう。