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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】空色の涙 ( No.58 )
- 日時: 2013/08/05 21:33
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
027
「空ちゃんは本を読む方かな?」
空「そう……ですね。どちらかと言えば……読む方だと思います。」
脈絡がない質問に戸惑う。
「なら分かるよね。物語の登場人物は大きく分けて2つに分けられるでしょ?」
空「メイン……と脇役でしょうか。」
「そうそう。」
そう言うと先輩は木の枝を二つ持った。
けれど片方には葉が何枚かついているがもう片方にはもう何もついておらず寂しい姿へとなっている。
「メインの人達は沢山のモノを持っているでしょう?設定も凝られてるし台詞も多い。そして……読者に覚えてもらえる。」
先輩は葉のついてる枝をクルクルと回している。
「でも、脇役の人達は僅かなモノしか持っていないの。設定は色々な人と被るし台詞なんて無い人もいる。むしろ……無い方が多いのかしら?なにより……読者には目を向けてすらもらえない。悲しい……存在。」
何もついていない枝を哀しそうに見て、二つの枝を放り投げた。
そして私に目を向ける。
「私ね、テスト、体力測定、体重、身長……何から何まで平均を上回った事がないし下回った事がないの。」
「すごいでしょ?」そう言って先輩は自嘲気味に笑う。
「平凡な人間で普通の日々をただただ過ごすだけ。まるで……
本の中の脇役みたい。」
クスッ
いつの間にか目の前に立たれ、髪を少し撫でられる。
優しく、本当に触れるだけの動作なのにまるで蛇に捕まったようだ。
「私はね、我儘だからそれだけで終わるなんて……嫌なの。」
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