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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】空色の涙 ( No.61 )
- 日時: 2013/08/15 10:48
- 名前: 志保 (ID: wxZ0SJGK)
028
目が逸らせない。
足が付いているのだから逃げればいいだけなのに、竦んでしまって動かないのだから心底自分を恨む。
降り上げられた手の中には銀色に光る物。
うん、これ逃げないと完全にfly awayするパターンだよ。
「だから……ね。
壊れて?」
パシッ
基「ねぇ、何してるの?」
身構えた痛みは一向に来ない代わりに、いるはずのない人物の声が上から降ってくる。
背中には人のぬくもりと肩には手が回されていた。
空「き、基山先輩……どうして……。」
基「君が裏庭に行くのを見たから……嫌な予感がしたんだ。」
安心して全身から力が抜けそうになる。
案外私は女子力があるらしい←
基「で、鈴木さんは何をしているのかな?」
「……うん、上出来ね。」
基「俺の質問に答えてくれない?」
それでもなお、笑うだけの先輩の顔が玩具のようで怖かった。
目は一点を見つめ動かず、口は弧を描いているだけ。
「私は……どんな形でも誰かに覚えていてもらいたいだけ。そう、ただそれだけ。」
少し、本当に一瞬哀しそうに見えたのは気のせいだったのかもしれない。
『彩加』
彩りを加える者。
END
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