二次創作小説(紙ほか)

Re: 《イナクロ》カゲロウデイズ ( No.10 )
日時: 2013/04/19 19:17
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

第4話   赤い筋





 向こうの道路に、両手をポケットに突っこんで、立っている少年がひとり。

 髪も服もまっ黒。肌色の顔には、妖艶な笑みをたたえていた。
 輝は、彼の姿を確認すると、ハッと息を飲む。
 身長も、容姿も、まるで双子のようにそっくりだった。

 また……だ……。


「う、嘘……でしょ……?」


 輝の口から、そんな言葉がこぼれた。それを聞き、彼はさらに笑う。まるで、あざ笑うように。


「なに言ってるんだ?」

「え……。」

「嘘じゃないさ。」


 輝そっくりの『それ』が、静かに告げた。

『それ』とはカゲロウ。

 風花の——死の元凶。

 風花の髪が、じょじょに赤く染まっていく。
 輝は、なにもできない。

 仰向けになった風花のくちびるからは、赤い筋が、地面に向けて垂れていた。