二次創作小説(紙ほか)

Re: 《イナクロ》カゲロウデイズ ( No.13 )
日時: 2013/04/20 18:16
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

第7話   歩道橋





 また目がさめた。
 今日も、8月14日。時間は、午後11時45分。

 輝はすぐさま着替え、12時を回る頃、シャツをはおり、あわてて家を飛び出した。
 公園には、待ちあわせできていた風花が、ブランコに座っている。


「あ、輝!」


 こちらに気づくと、風花は笑いかけた。
 が、輝にわらい返す余裕はない。風花の腕を掴んで立ち上がらせると、公園から抜け出した。
 トラックにはねられた交差点を走り、鉄柱につらぬかれた道を抜け。歩道橋を登る。


「ねえ、ちょっと、輝っ?」


 風花が疑問を感じてか、何度も輝を呼ぶ。
 輝は、歩道橋を登り切った。手を握った風花は、あと一段で追いつく。あと少しだ……。
 ふと気配を感じて、左手を見た。

 手すりにもたれている、カゲロウ。

 輝の顔が、恐怖で歪んだ、そのとき。
 きゅうに、輝の右手が軽くなった。嫌な予感が、輝の脳裏によぎる。
 見ると——


(あ……!)


 なかった。
 風花の、左手が。
 離れていた。気づいても、もう後の祭り。

 輝の右手から離れたことで、風花は再び死の道をたどった。

——8月14日午後12時34分——