二次創作小説(紙ほか)

Re: 《イナクロ》カゲロウデイズ ( No.2 )
日時: 2013/04/15 20:50
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=24371

第1話   夏は嫌い





 なんとなく時間が気になり、輝はポケットから、携帯を取りだした。

——8月15日 月曜日 午後12時31分——

 だいたい、12時半だ。
 そして、やっぱり真夏なだけ会って、暑い。じりじりと焼きつけようとする太陽は、まぶしかった。


「どうしたの、輝?」


 空色の髪を揺らしながら、風花が輝にきいた。


「あ、ごめん。」


 会話していたということを忘れかけていた輝は、携帯をポケットに戻した。

 風花のひざには、黒猫がしっぽをゆらゆらさせながら、座っている。この公園に来てすぐ、風花を気に入り、ずっと一緒だ。
黒猫だから、なんだかちょっと、不吉な予感がしてはいるのだが、まあ、きっと気のせいだろう。

 彼女は、黒猫の頭を、そっとなでながら。


「……でも、まあ。」


 小さい声で。


「夏は、嫌いかな。」


 つぶやいた。輝はパッと、少女をふり返る。ちょっとむすっとした、ふてくされた顔。


(嫌いなんだろうなぁ……。)


 輝は、苦笑した。