二次創作小説(紙ほか)

Re: 《イナクロ》カゲロウデイズ ( No.20 )
日時: 2013/04/27 08:33
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

第12話   白猫





 割れた、時計の『文字盤』。
 ガラスのようなうすいものでつくられたそれは、強くたたけば簡単に割ることが出来る。

 それを、淡い少女は知っていた。

 少女の大切な『時間』を、淡い少女は壊す。塗りかえて奪う、黒い少年とはちがって。
『時間』そのものを、なかったことにし、その『記憶』を封じこめた『文字盤』を、たたいて壊した。

 壊れる、少女の『文字盤』。
 塗りかえられる、少年の『時計』。

 淡い少女はまたひとつ、『文字盤』を壊した。


          ☆          ☆          ☆          ☆


 目を覚ました、少女。


「ああ、まただよ……。」


 ひざに乗って、すましている白猫に、少女は語りかける。

 目には大粒の涙があり、ゆっくりほおをつたい、シーツを濡らした。白猫は、ただ静かに少女を見上げ、首をかしげている。
 白猫は、しっぽをひとふりした。




 カゲロウが、また動き出す。