二次創作小説(紙ほか)

Re: 《イナクロ》カゲロウデイズ ( No.23 )
日時: 2013/05/01 21:48
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: O59cZMDb)
プロフ: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

〜Epilog〜






「「えっ、うそっ」」


 風花と輝の声が、公園にこだました。お互いの顔を見合わせ、口をぽかんと開けている。
 遊んでいた子どもたちはかたまり、ふたりを驚きの顔で見ていた。
 風花は、それに気づくと、あわてて子どもたちに言う。


「ごっ、ごめんね、あんず、拓也(たくや)っ。」
「べつにいいもん。」
「びっくりしただけだもんね。」


 あんずと拓也は、そっくりな顔を見合わせて笑い、また砂場の砂をいじりはじめる。


 風花と輝は、もうすでに大人になっていた。中学生時代からもう二十年近くが経ち、輝は今年で三十三、風花は三十二になる。
 そんなふたりは、結婚していた。双子のあんずと拓也の上に、瑠璃(るり)という長女がいる。

 久々に来た公園のブランコに乗りながら、輝と風花は、あのカゲロウとの夢を思い出していて。
 ぽつりと口に出したのだが。


「まさか、風花も見ていたなんて……。」
「まさかとは思うけど……瑠璃も、なんてことは、ないよね?」


 風花は、不安げに瑠璃を見た。
 長女の瑠璃は、十三歳。たまたま出くわした瑠璃の彼氏・海斗とふたりで、ちょっと離れたベンチで話している。
 あんずと拓也は、たまにふたりをにやにやしながら見て、ふふっと笑っていた。

 輝は風花につられて瑠璃と海斗を見て、首をかしげる。


「どうだろう……。」
「でもさ、やっぱり。」
「「ふたりには、ふつうに幸せに、なってほしいよね。」」


 風花と輝は、おたがいの顔を見合わせ、こっくりとうなずいた。



 でも、やっぱり、願いというのは、なかなかかなってくれないものなのだ。