二次創作小説(紙ほか)

Re: 《イナクロ》カゲロウデイズ ( No.26 )
日時: 2013/05/23 16:27
名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: sbAJLKKg)

〜Epilog〜






 びくっと体を跳ねさせ、瑠璃は夢から脱出した。
 悪夢だったせいで、体にびっしょりと汗が吹き出ており、はだに寝巻きがはりついて気持ち悪い。ふだんなら、そう思っただろう。だが、今は違う。そんなこと、かけらも思わなかった。

 また、あの夢だった……!

 瑠璃はかけぶとんを蹴って起き、机に走って、携帯電話の表示を確認する。


——8月14日午前4時23分——


「夢の日付と、おんなじだわ……。」


 だとしたら。
 瑠璃は携帯電話を置き、椅子に座った。
 きっと、夢と同じ理由で、出かける。

 だから、そのときに。

 海斗を何度も奪われるなんて、たまったもんじゃない。

 もしかしたら、『あいつ』がわらってるかもしれないけど。

 瑠璃は、必死に考えた。

          ☆          ☆          ☆          ☆

 そのときは、なんとも思わなかった。ただ、とがった石ころだな、としか。

 横断歩道に飛び出した海斗を、ぐいっと引っ張った。いきなりのことに海斗は対処しきれず、こちらに倒れこんできた。
 ぐらり、と体が後ろに傾いた。


「危ない!」


 海斗の短いそれだけ。

 気づくと海斗は、後頭部から赤いはなを散らしていた。

 タネは、石ころ。

          ☆          ☆          ☆          ☆

 むり。
 犠牲を出さずに海斗を助けるなんて、むりなんだ。

 再び目をさました瑠璃は、思った。
 誰かが犠牲にならなきゃ……。
 でも、誰が?

 答えは、明らかだった。