二次創作小説(紙ほか)
- 第32話 ジムバトルⅡ ライカジム1 ( No.100 )
- 日時: 2013/05/04 19:28
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- プロフ: 始まるライカジム戦。フィアを待つのはプラズマの天使、クリ。
ライカシティのジムリーダーがクリであったことに驚くフィアだったが、彼にしては珍しく、すぐに気を取り直し、バトルに臨む。
(ライカのジムリーダーは電気タイプ使い。となると、ミズゴロウは出しづらいか……昨日パチリスを捕まえて正解だったよ)
とはいえ、フィアが最も恐れているのは昨日クリのロトムが見せたオーバーヒート。あの火力は尋常ではない。フィアのポケモンであれを受け切れるのはブースターくらいなものだろう。
「使用ポケモンは二体、交代は挑戦者のみが可能です。では、私からポケモンを出しますね」
フィアがクリに対する戦略を練っていると、簡単なルール説明をし、クリはボールを手に取った。
「実験スタートです、コイル!」
クリの一番手は、金属製の球体に一つ目、頭にはねじ、左右にはU字磁石型のユニットが付いているポケモン。
『Information
コイル 磁石ポケモン
電気を食べるポケモンある
地域ではコイルを交換する
ことが流行っているらしい。』
「コイル……電気と鋼タイプか。なら……」
フィアはスッとベルトからボールを外し、構えた。
「最初は君だ。ブースター!」
フィアの一番手はブースターだ。鋼タイプを持つコイルとは相性が良い。
「やはりブースターですね。相性では確かにコイルが不利ですが、相性だけでばたんきゅーできるほど、私のコイルは甘くないですよ」
少し強気な笑みを見せるクリ。直後、コイルが動き出す。
「ソニックブームです!」
コイルはユニットを回転させ、衝撃波を放つ。
「火炎放射!」
ブースターも咄嗟に炎を噴射し、衝撃波を相殺した。さらに、
「アイアンテールだ!」
跳躍して回転をかけ、鋼鉄の尻尾をコイルの脳天(らしき部位)に振り下ろす。
「やった……!」
コイルはそのまま地面に叩き落とされる。効果いまひとつだが直撃だ。それなりのダメージが期待できるかと思ったが、
「メガショック!」
コイルはすぐさま浮かび上がり、弾ける電撃を放ってブースターを攻撃する。
「! ブースター!」
こちらも直撃を受けたが、ブースターは特防が高い。致命傷には至らなかった。
「残念でしたね。コイルは防御が高いので、効果いまひとつのアイアンテールくらいじゃ、堪えませんよ?」
「ならこれはどうですか。火炎放射!」
ブースターは大きく息を吸い、燃え盛る火炎を放つ。
しかし、
「コイル、充電です!」
コイルはユニットを回転させて電磁力を発生させ、充電する。充電は次に使用する電気技の威力を高めるだけでなく、特防も一緒に上げる技だ。ブースターの火炎放射を受けても、大ダメージにはならない。
「ばちばちしますよ。メガショック!」
炎が消えると、コイルはすぐに弾ける電撃を放って反撃する。充電で威力が上がっているので、ダメージは大きい。
「もう一度、メガショックです!」
「これ以上は危険……ブースター、躱して!」
コイルは間髪入れずに電撃を放つ。ブースターもそれに合わせて後ろへ跳ぶが、結果的には無意味だった。
金属製の床に当たったメガショックは、そのまま床を伝ってブースターに襲い掛かったのだ。
「っ……! そうか、金属だから電導性が高いんだ……」
理科の分野が苦手なフィアは見落としていたが、少し考えればすぐに分かることだ。電気タイプ使いなのだから、電気タイプに有利なフィールドを選ぶのは当然。このフィールドはクリのポケモンにとっては有利に働いている。
「次はどんっと行きますよ。ソニックブーム!」
「躱してニトロチャージ!」
ユニットを回転させ、コイルは衝撃波を放つ。ブースターは今度は相殺せず、横に跳んで躱し、炎を纏ってコイルに突進する。
防御が高くても効果抜群ならそれなりに効くようで、コイルは一つ目を少し歪ませた。
「コイル、負けないで。ぐるぐるとジャイロボールです!」
コイルはその場で高速回転し、ブースターへと突っ込んで反撃する。
フィアは鋼タイプの技なら耐えられるだろうと踏んでいたが、コイルの一撃は予想以上に重く、ブースターは吹っ飛ばされてしまった。
「っ……! ブースター!」
金属の床を転がりながら、ブースターは態勢を立て直す。
「ジャイロボールは相手よりのろのろであるほど威力の上がる技。ニトロチャージで素早さの高まったブースターが相手ならその威力はそれなりに上がります。それにメガショックの追加効果で防御も下げ、極めつけは特性、アナライズ。後攻で技を繰り出すと威力が上がる特性により、威力を底上げしています。効果いまひとつでも、なかなか効くでしょう?」
技そのものの効果に加え、他の技や特性、さらにはこちらの能力変化すらをも利用する。イチジクとのバトルでは思わなかったが、やはりジムリーダー、戦術が巧みだ。
「くっ……ブースター、火炎放射!」
「効きませんよ、充電!」
ブースターは火炎を放射し、コイルは充電して炎を耐える。
「メガショックです!」
「もう一度火炎放射!」
反撃にコイルは弾ける電撃を放ち、ブースターも再び炎を噴射するが、充電とアナライズで威力が増したメガショックは火炎放射では止まらず、ブースターは電撃を受けてしまう。
「ソニックブームです!」
さらにコイルは衝撃波を飛ばして追撃。ブースターの体力もかなり削られてきた。
(でも、コイルだって体力が無限にあるわけじゃない。防御が高くても、特防を上げられても、効果抜群の攻撃を受けて体力が減ってるはず)
ここからは削り合いの競争だ。どちらが先に倒れるかの根競べである。
「ブースター、ニトロチャージ!」
「コイル、ジャイロボール!」
ブースターは炎を纏って突進し、コイルは高速回転しながら体当たりする。
コイルは後から攻撃したため、アナライズの特性が発動したが、流石に炎技を打ち破ることは出来ず、押し負けてしまった。
「もう一度! ニトロチャージ!」
ブースターは攻撃を止めず、炎を纏ったまま吹っ飛ぶコイルに激突して追撃をかける。
「ジャイロボールは諦めて、手数で攻めてきましたか。ならこっちは後手に回って反撃しましょう。コイル、メガショック!」
コイルは一度ブースターから距離を取り、弾ける電撃を放つ。これもアナライズで強化されているため、ブースターのダメージは大きい。
「まだ……火炎放射!」
「充電!」
ブースターはメガショックを耐え、口から火炎を発射するが、コイルはまたしても充電して炎を受け切る。
「メガショック!」
そしてすぐさま電撃を放って反撃。
「躱して!」
ブースターは横に体をずらして電撃を躱そうとするが、
「お忘れですか? それじゃあ躱せませんよ」
ブースターを捉えなかったメガショックは電導性の高い金属の床へと直撃し、そのまま床全体へと広がっていく。体をずらしただけのブースターは当然その電流を躱すことなどできず、通電してダメージを受けてしまう。
「防御もかなりがくっとしている頃でしょうし、決めますよコイル。ジャイロボールです!」
コイルは高速で回転し、ブースターへと突っ込んでいく。
「っ、アイアンテール!」
ブースターも鋼鉄の尻尾を薙ぎ払うように振るい、コイルを受け流した。
しかしコイルは回転したまま迂回するようにブースターの背後に回り、
「ジャイロボール!」
そのまま突撃する。
効果はいまひとつだが、メガショックで防御が落ち、ニトロチャージ連発で素早さの上がったブースターにはかなりのダメージだろう。戦闘不能にはならずとも、この一撃で体力は残り僅か。
そう、ブースターの体力は、僅かに残っている。
「ブースター、起死回生!」
直後、ブースターは振り返り様に尻尾でコイルを吹き飛ばす。
「!? コイル!」
体力をギリギリまで減らされた起死回生の一撃は、コイルを壁まで吹っ飛ばし、シグナルのように点滅する画面にめり込ませた。
最大威力の起死回生、効果抜群の一撃をまともに受け、見るまでもなくコイルは戦闘不能だ。
「……戻って、コイル。ありがとうございました」
クリはブースターの起死回生に驚いていたが、すぐに平静を取り戻し、コイルをボールに戻す。
ギリギリだったが、何とか先勝できた。先手必勝とは言わないが、先手を取れれば精神的にも優位に立てる。
だがクリは動じることなく、次のボールを構えていた。微笑みを称えたような彼女の目が、ほんの少しだけ邪悪になり、
「さて、それでは最終実験の始まりです。覚悟……してくださいね」
始まりました、ライカジム。クリの一番手はコイルです。ちなみにコイルの図鑑説明はコイループのことです。気になった人は調べてみてはどうでしょうか。さて、それにしても最近、上手く執筆できている気がしませんね……まあ白黒によくあることなので、放っておけば回復するとは思いますが。さて次回、ライカジム決着です。エースは……まあ言うまでもないですか。次回もお楽しみに。