二次創作小説(紙ほか)
- 第37話 ジムバトルⅢ オボロジム2 ( No.111 )
- 日時: 2013/05/10 01:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- プロフ: 地形が特殊だとバトルも書いていて楽しい。ただ文字数が多くなる……
「ブースター、アイアンテール!」
ブースターの鋼鉄の如く硬化された尻尾が叩き付けられ、ゴートンは吹っ飛ばされる。
ゴートンは鋼タイプらしく防御力の高いポケモンだが、ブースターの攻撃力はそれ以上に高かった。
「このままバトルを続けても勝ち目は薄いか……ゴートン、こっちだ」
最初にフィアがそうしたように、今度はウルシとゴートンが踵を返して背を向けた。つまりは逃げた。
「っ、逃がしません! ブースター、ニトロチャージ!」
時間制限のあるフィアにとっては、ゴートンに逃げられるのは困る。ブースターは炎を纏って逃げるゴートンを追いかけるが、
「そこ、右に曲がって。マグネットボムだ!」
ゴートンは急に廊下を右に曲がり、階段を上っていく。そしてゴートンが攻撃の軌道から逸れたために攻撃が中断されたブースターに、磁力を帯びた爆弾が襲い掛かり、爆発した。
「飛び跳ねる!」
さらにゴートンは、文字通り飛び跳ねて階段を段飛ばしで駆け上っていく。
「まさか本当に時間を稼ぐ気なの……? ブースター、追って!」
ブースターも飛び跳ねるようにとはいかずとも、たったと階段を上っていく。ニトロチャージで素早さが上がっているので、かなりのスピードだ。
四階建ての校舎、その三階の踊り場まで上ると、不意にブースターに影が差す。
「ゴートン、氷柱落とし!」
「っ……!」
階段の影から飛び出したゴートンは、いなないて虚空から氷柱を落とし、ブースターの周りを取り囲んでしまう。
「そのまま飛び跳ねるだ!」
ゴートンは飛び跳ねて上空からブースターに襲い掛かる。氷柱に囲まれて動きを封じられたブースターでは、その一撃を躱すことは出来ない。
「く、うぅ……火炎放射!」
とりあえずブースターは、口から炎を噴射して抵抗を試みる。周りの氷柱は溶けたものの、直後にゴートンが落下し、ブースターを跳ね飛ばした。
「ブースター!」
勢いよく壁に叩き付けられるブースター。かなりの勢いだったが壁には傷一つつかず、ブースターはかなり痛そうにしている。
「改装して、この校舎の壁は全て特殊合金でコーティングされているんだ。生半可な衝撃じゃ壊れないし、逆に下手に勢いをつけて叩きつけられたら大きなダメージを受けてしまう。気をつけた方がいいよ」
「そういうのはもっと早く言ってください……ブースター、行ける?」
ブースターは態勢を立て直し、体を震わせて自信を鼓舞する。そして力強く鳴いた。まだ戦えるようだ。
「よし、ならブースター、ニトロチャージ!」
「ゴートン、飛び跳ねる!」
ブースターは炎を纏い、階段を駆け上りながらゴートンへと突っ込んでいくが、ゴートンは跳躍してその一撃を回避する。
「残念だけど、そんな単調な攻撃に当たってあげるほど僕はお人好しじゃないよ。ゴートン!」
跳躍したゴートンは壁に足を着け、そこを足場としてさらに跳躍し、ブースターへと突っ込むが、
「ブースター、火炎放射!」
直後、ブースターは素早く振り返って炎を放つ。跳躍したゴートンはその炎を躱すことができず、自ら突っ込んでしまい、その熱に耐え切れず態勢を崩してしまう。
「ニトロチャージ!」
そしてブースターは、続けて炎を纏って突貫。ゴートンを突き飛ばし、特殊合金の壁へと叩き付ける。
「ゴートン!?」
ゴートンはその一撃で、遂に戦闘不能となってしまう。
ウルシは釈然としないままゴートンをボールに戻し、ふとブースターを見遣る。すると途端、納得したような表情を見せた。
「……そうか、根性か」
よく見れば、ブースターは体を痙攣させている。これは麻痺状態の時に見られる症状で、さっきゴートンから飛び跳ねるを受けた時に追加効果でなってしまった状態異状だ。
麻痺状態になれば普通は不利になるのだが、フィアのブースターは違う。状態異状になれば根性の特性が発動し、攻撃力が上がるのだ。
「どうりで勢いのあるニトロチャージだと思ったよ。僕の計算ではまだゴートンは戦闘不能にならないはずだったけど、根性が発動しているなら話は別だね」
などと言いながら、ウルシは次のボールを構える。
「休み時間なしで、このまま続けるよ。エアームド!」
ウルシの二番手は、全身を鋼鉄のような銀色の鎧で包んだ鳥型のポケモンだ。
『Information
エアームド 鎧鳥ポケモン
最高時速300kmで大空を
飛び回る。鋼鉄の羽は刃物の
ように鋭く、敵を切り裂く。』
「エアームド……鋼と飛行タイプか」
なら、起死回生は等倍になってしまうが、ブースターの炎技は普通に効果抜群だ。こちらが不利になるということはない。
「ブースター、火炎放射!」
そう思ってブースターは、先制して口から炎を噴射するが、
「そう簡単には行かないよ。エアームド、ドリルライナー!」
エアームドは嘴を突き出して錐揉み回転し、炎を散らしながらブースターへと迫っていく。
「……! ブースター、躱して!」
この攻撃はまずいと直感で理解したフィアは叫ぶ。その指示通り、ブースターは火炎放射を中断して横へ跳び、ドリルライナーを回避した。
エアームドは回転を止めてウルシの下へと戻っていき、その隙にフィアは先ほどの技を図鑑で調べる。
「ドリルライナー……えっと、地面技か……!」
となるとあのまま攻撃を喰らっていたら、弱点を突かれてブースターは戦闘不能になっていただろう。
「なかなかの直感だね。でも僕のエアームドから逃げ切るのは至難の業だよ。ほら、ドリルライナー!」
エアームドは再び回転しながらブースターへと突っ込んでいく。
「うぅ、躱して火炎放射!」
ブースターは俊敏な動きでドリルライナーを回避し、そのまま炎を吹きつける。
しかし炎はエアームドの回転で散らされてしまい、エアームドへのダメージは微々たるものだ。
「そのままドリルライナー!」
エアームドは途中で軌道を曲げ、ブースターへと突っ込む。
「ブースター、躱して!」
麻痺があるものの、ニトロチャージで素早さが上がっていることが幸いし、ブースターはエアームドの攻撃を回避できる。しかしそれもそう長くはもたないだろう。
「逃がさないよ、鋼の翼!」
回転を止めたエアームドは、今度は鋼鉄の翼を構えて突っ込んで来る。
「これなら……火炎放射!」
ドリルライナーでないのなら攻撃も通ると考え、ブースターは炎を噴射する。
しかし、
「上昇だ、エアームド!」
エアームドは炎が襲い掛かる寸前で急上昇し、火炎放射を回避する。そしてそのままブースターへと接近した。
「っ、起死回生だ!」
エアームドの接近を許してしまったブースターだが、まだやられてはいない。咄嗟に尻尾を振るって起死回生の一撃を繰り出す。体力は残り少なく、根性も発動しているので、その一撃は絶大なものになる——はずだった。
「エアームド、フリーフォール!」
しかしエアームドはブースターの渾身の一撃を喰らっても身じろき一つせず、足でブースターを捕え、四階の天井まで上昇する。
ブースターはばたばたと暴れるが、エアームドはブースターをがっしりと掴んで離さない。そしてエアームドは、一気に急降下し、二階の床にブースターを思い切り叩き付けた。
「ブースター!」
階段の手すりから身を乗り出すフィア。すぐに階段を駆け下りてブースターの所まで来ると、ブースターは完全に戦闘不能になっていた。
「ありがとうブースター、戻って休んで」
フィアはブースターをボールに戻す。鋼タイプの使いのウルシにはもう少し頑張ってもらいたかったが、致し方ない。
それより、
「根性が発動したブースターの起死回生を受けても耐えるなんて、とんでもない防御力だよ……」
フィアからすれば、エアームドは防御力が驚異的だ。等倍とはいえ、フルパワーのブースターの起死回生を受けても怯みさえしない。物理技はこのエアームドには通用しなさそうだ。
「となると、ドリルライナーが怖いけど……君に任せるよ」
フィアは少し不安になりながらも、次のボールを取り出す。
「出て来て、パチリス!」
フィアの二番手は電気タイプのパチリスだ。ドリルライナーで弱点を突かれるが、こちらも電気技が通る。しかもその電気技が特殊技なので、エアームドの高い防御を無視できる。
「パチリス、たぶんあのエアームドを倒せるのは君だけだ。頼んだよ」
フィアが小さくそう言うと、パチリスはウィンクで返してきた、頼もしい限りである。
「それじゃあパチリス、帯電だ」
パチリスはまず帯電し、攻撃と特攻を高める。
そして、
「エレキボール!」
電撃を凝縮した球体を生成し、尻尾を振るって投げ飛ばす。
帯電で強化された雷球が、エアームドへと迫っていく。
オボロジム戦その二です。うーむ、それにしても今回のバトルは長引きそうですね。もしかしたら五話分くらいつかうかもしれないです。ちなみに白黒は鋼タイプは好きですよ。メタグロスやエアームド、ギギギアルなどが特に好きです。非公式ならクチールスとかですかね。それでは次回、オボロジム戦その三。ウルシのエースが出る予定ですが、予定は未定です。では、次回もお楽しみに。