二次創作小説(紙ほか)
- 第51話 electromagnetic gun ( No.135 )
- 日時: 2013/05/14 23:53
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: FLZh3btT)
- プロフ: フィア、身長160cm前後、体重45kg程度。
カゲロウ山で行われる大会のレギュレーションは、使用ポケモン一体で行われる普通のポケモンバトルだった。ハルサメタウンの大会と酷似している。
事前にエントリーされているフィア、フロル、イオン、ルゥナの四人は、どうやら今大会の目玉というか注目選手のようで、周囲から無数の視線を感じる。
このような扱いを受けることに抵抗を感じるフィアとしては、一刻も早くこの場から立ち去りたいところだが、アーロンの頼みでエントリーした以上、大会が終わるまでは帰してくれないだろう。
少しでも気を紛らわせるために、フィアは組み合わせ表を確認する。
「組み合わせは……これ、何かの陰謀が働いてるようにしか感じないんだけど……」
対戦の組み合わせは、初戦でフィアとルゥナ、フロルとイオンが当たるという、観戦者からすれば注目選手が初っ端から戦う好カードだった。しかもこの二組は逆ブロックなので、上手く進めば決勝で当たることになる。
「私の最初の相手はフィア君かぁ。良かったよ」
「? 何がですか?」
「だって、この前のサミダレ大会。あの時のリベンジが出来るもん」
初めて見るルゥナの好戦的な眼差しに、フィアは少しだけたじろぐ。
「私もトレーナーだからね。負けっぱなしっていうのは嫌なんだよ」
「いや、あの……僕、サミダレタウンに向かう船でルゥ先輩に一回負けてるんですけど……」
だからあの時は、フィアがルゥナにリベンジを果たしたということになる。
だがルゥナの中ではそうはならないようで、
「あの時は非公式戦で、今回は公式戦。だからこれは公式戦のリベンジだよっ」
「そうですか……まあ、いいんですけどね」
フィアとて負けるつもりはない。バッジを半分も集め、流石のフィアでも自分がトレーナーであるという自覚は持っている。先輩の顔を立てるために負けたりはしないし、負けたくないとも思う。
「……そろそろ試合開始だね。行こっか」
「はい」
そして、フィアとルゥナの二人は、バトルフィールドへと向かった。
カゲロウ山特設バトルフィールドは、ローカルな祭りの割には立派なつくりをしていた。とはいえ屋外のフィールドなので、たかが知れているのだが。
そんなバトルフィールドの端にはテントが立てられ、そこには二人の男が並んでいた。一人はマイクスタンドの前に立つ実況の男、もう一人はジムリーダーにしてカゲロウシティの市長、アーロンだ。解説のために座っているのだろう。
『さあ、いよいよ始まりました、カゲロウ山バトル大会! 一回戦は、この街のジムリーダーであるアーロンさんを破った二人のトレーナーによる対決です!』
実況の熱い声が響く中、フィアとルゥナはバトルフィールドに立つ。
「さっきも言ったけど、サミダレタウンでのリベンジ、果たさせてもらうよっ」
「出来るものなら、です。先輩」
言って、二人はボールを構え、
『バトル——スタートッ!』
そして同時に、ボールを放り投げた。
「出て来て、メタング!」
「頼んだよっ、ギギアル!」
フィアの一番手は、今日進化したばかりのメタング。ルゥナのポケモンは、ギアルによく似たポケモンだが、大きな歯車が一つ追加されている。
『Information
ギギアル 歯車ポケモン
攻撃のためにギアを飛ばすが、
このギアが戻ってこないと死んで
しまう。死と隣り合わせのポケモン。』
「ギギアル、ギアルの進化系……って、歯車が増えただけじゃ……?」
「それでも立派な進化系だよ。前のギアルみたいに思わないでね」
なにやらルゥナは、このギギアルに自信があるようだ。
「でも、僕のメタングだって負けませんよ。メタング、バレットパンチだ!」
先制したのはメタング。メタングは弾丸のようなスピードでギギアルに接近し、そのまま殴りつけた。
「思念の頭突き!」
さらに頭に思念を集め、頭突きをかます。効果はいまひとつだが、追加効果でギギギアルは怯んでしまう。
「よしっ、このまま攻めるよ。シャドークロー!」
続けて爪に影を纏わせ、ギギアルを切り裂く。
『メタングの連続攻撃が決まりました!』
『バレットパンチで接近し、思念の頭突きで怯ませ、シャドークローで追撃か……俺も似たような連続攻撃を受けたが、これは上手くはまれば驚異的だな。ただでさえ硬く力も強いメタングに、間接的とはいえスピードがつく』
アーロンからも称賛に似た言葉を受け、会場が沸き上がる。
しかしルゥナは、不敵に微笑んでいた。
「……確かにそのメタングは強いね。特に攻撃力が高いみたいだよ。でも、それじゃあ私のギギアルには勝てないんだな」
今から見せてあげる、と言って、ルゥナは人差し指と親指の間が直角になるように指を立て、メタングを指差す。いわゆる鉄砲の形だ。
「ロックオン」
そして、なにやら技を指示したようだが、ギギアルはメタングをジッと見つめるだけで、何も反応を起こさない。
「……? 何もないみたいだけど、まあいいや。メタング、どんどん攻めるよ。岩な——」
とフィアの指示は、途中で途切れた。
なぜなら、
「電磁砲!」
ギギアルから、電磁力を圧縮した球体が発射されたから。
「っ!?」
球体は一直線にメタングへと飛び、直撃する。
技の威力が高いのか、かなりのダメージだ。しかもメタングは体を痙攣させ、麻痺状態になってしまった。
「電磁砲はね、攻撃と同時に相手を確実に麻痺させる技なんだ。威力も高いんだけど、代わりに命中率が低くてね……でも、ロックオンと合わせれば確実に当てられる」
ふふふ、と得意げに笑いつつ、ルゥナは言う。
調べてみれば、ロックオンとは次に繰り出す技を確実に当てる技らしい。命中率の低い電磁砲と組み合わせるにはうってつけというわけだ。
「じゃ、今のうちに準備しとこうか。ギギアル、ギアチェンジ」
「っ、バレットパンチ!」
フィアは慌てて指示を出すが、メタングは体が痺れて動かない。
そうしているうちに、ギギアルはギアを入れ替え、攻撃と素早さを上昇させる。
「ギアソーサー!」
そして二つのギアを射出し、メタングを挟み込んだ。効果はいまひとつだが、二つのギアによる攻撃と、ギアチェンジによる攻撃力上昇で、それなりの威力が出ている。
「メタング、振り払って! 岩雪崩!」
メタングは両腕を振り回してギアを跳ね除けると、低い声を上げて虚空から無数の岩石を降り注ぐ。
「やるねぇ……ギギアル、もう一回ギアチェンジ!」
岩雪崩は直撃したが、それでも効果いまひとつ。決定打にはならない。
ギギギアルは岩から這い出ると、ギアを入れ替えてまた攻撃と素早さを上げる。
「ギアチェンジ!」
さらに上げる。これで攻撃は二倍以上、素早さの至っては最高速度だ。
「うぅ、メタング、思念の頭突き!」
メタングは頭に思念を集めてそのままギギアルに突っ込もうとするが、そこで体が痙攣し、動きを止めてしまう。
「チャンスだよっ、ギアソーサー!」
ギギアルはギアを二つ連続で射出し、メタングを挟み込み、切り裂く。
電磁砲で一気に削られているため、もうこの時点でメタングの体力は限界近くになっている。もう一撃でも喰らえば、戦闘不能になってもおかしくはない。
「じゃあギギアル、確実に仕留めるよっ。ロックオン」
ギギアルはギアを回しながら、ジッとメタングを見据える。ただ見てるだけのようだが、恐らく見ることで確実に攻撃を当てる弾道を探っているのだろう。
「くっ、メタング、こっちも早く決めよう。バレットパンチだ!」
「決めるよギギアル、ギアーソーサー!」
メタングは弾丸の如きスピードでギギアルに突っ込み、ギギアルは二つのギアを射出する。
襲い掛かるギアを掻い潜り、メタングは突っ込む勢いのまま、その硬い拳をギギアルの顔面と思しき部位に叩き込む。
効果いまひとつとはいえクリーンヒットだ。しかし、
次の瞬間、躱されたギアが戻ってきて、メタングのボディを切り裂いた。
「メタング!」
その攻撃でメタングは地面に落下し、戦闘不能となってしまった。
バトル大会、始まりました。ルゥナが繰り出すのはギギアルです。白黒は最初にギギアル、そしてギギギアルを見た時、流石に驚きましたね。見た目もあれですが、なにより名前が……ギを増やしただけって。ちなみにURLですが、特に煽る必要がない時や、書くことが思いつかなかった場合はどうでもいい情報とか載せてます。今回なんてフィアの身長体重ですし。しかし改めてみると、フィアって年齢にしては背低いですねー。いや、白黒もこんなもんですが。さて、それでは次回……なにしようかな。いえ、大まかには決まっているのですが、言語化しにくいんですよねー……まあもしかしたらフロルとイオンのバトルを書くかもしれません。ということで、次回もお楽しみに。