二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.10 )
- 日時: 2013/04/15 00:06
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第1章 7年が経過したミソラタウンでの日常…ハルの様子に異変を察したバンの違和感とは?
(ストーリーモード:バン視点)
2060年2月、期末試験が終わって春休みに突入した。
ある日の朝、チュンチュンと外から雀の鳴き声が聞こえてくる。カーテンの隙間から太陽の光が差し込む。
太陽の光を浴びながら、眠そうに目を開けて起きる。枕の傍にあったCCMを取り出してみると、起きるには早い。
「8時か…起きんの早いけど、もう少し寝るかぁー」
昨日は男子だけの集まりで飲み会に行っていた。いつもの如し、酔っ払って帰ってくるのは分かっていたつもりだった。
思ったより場酔いしたこともあって、雰囲気に飲まれて調子に乗った。それで、ベロンベロンに酔っ払って帰ってきた。
(飲み過ぎだって言われてもしょうがねぇか…)
ここ最近、飲みながら遊びまくっているような気がする。ハルに咎められてもしょうがない。
だるそうに上半身を起こして、大きな欠伸をしながら眠いのを堪えた。部屋のドアが開かれ、振り返ると妹のリンが入ってきた。
「おはよ、兄さん!」
「おはよう、リン…起きるの早いな、お前」
「早くて当然よ、学校に行かないとダメだもん」
「あーそっか、まだ高校に行ってんだよな。空手の練習は?」
山野リンは俺の妹であり、人懐っこい笑顔を見せる。俺に対しては、いつも甘えてくることが多い。
今日は空手部の練習に参加するため、朝御飯を食べてきたらしい。朝練もあるらしく、大会を控えているという。
「ああ、さっき朝御飯食べたから行くね!」
「そっか、気をつけて行くんだぞ…」
「うん、行ってきます! あっ、母さんが下に来てってさ…朝ごはんできてるから」
リンに促されて、下に行く。居間に向かうと、テーブルの上に朝御飯が置かれていた。
眠そうに欠伸しながら、椅子に座って食べる。大学4年生になることもあり、卒論の構想を練らなければならない。
「おはよう、バン」
「おはよ、母さん…リンのヤツ、明るくなったな」
「ええ、バンのおかげだって言ってたわ。あなたがいなかったら、生きて来れなかったって…本当に感謝してたよ」
母親の真理絵は笑いながら、リンのことを思い出して言う。リンは最初、心を閉ざしていた。
幽霊ホテル探検の件があって、その事で迎えに来た時に優しく接したのがきっかけで少しずつ心を開いていった。
「そっか…良かった。俺はリンのことが大好きだし、妹だと思ってるから」
「妹って…そういうところがバンらしいわね」
「えっ、何で俺なの?」
「ここだけの話だけど…リンちゃんはハルちゃんのこと尊敬してるんでしょ?」
リンはハルのことを尊敬している…空手部の先輩だということもあり、それがきっかけで仲良くなれた。
「ああ、そうだね…まぁ、リンはハルのこと尊敬してたもんな」
「ハルちゃんといえば…最近、様子がおかしいわ」
「様子がおかしい?」
食べながら話していた時、箸を動かしていた右手を止めて聞く。母親の真理絵が言うには、何か頭を抱えていたとのこと。
詳しいことは分からないが、真理絵から見ても分かったらしい。何か言いたいことでもあるのか、辛い思いをさせたくない。
「…何かね、悩んでいたみたいよ。ここ最近、眠れてないって聞いたから」
「誰に聞いたの、その話?」
「ヒロ君。この前、ハルちゃんに会ったって聞いたの…そしたら、殆ど寝てないんだーって言うから」
「…寝てない?」
ここ最近、ハルは眠れてないせいで転寝しながら耐えていたらしい。何か悪夢でも見たのだろう。
元気がないことは、前から気付いてたようなものだ。眠いのを堪えて起こすわけにはいかない。
気持ちは分かるが、悩みがあれば相談に乗るつもりでいた。朝御飯を食べ終えたのと同時に挨拶してから出る。
「ごちそうさまでしたー」
「午前中は何するの?」
「寝ようかな…ゆっくり休みてぇー」
「そう…部屋でゆっくり寛いでね」
真理絵と別れて、2階に通じる階段を駆け上った。部屋に戻り、眠そうにベットの中に入る。
ふと、ハルを思い出して…CCMを取り出し、アドレス帳を開く。【人見 晴香】という名前が入っていた。
発信ボタンを押して、耳に当てる。数秒間、待ってみた…すると、プッシュ音が聞こえて、応答した。
「…もしもし、ハル?」
『あっ、バン…久しぶり、急にどうしたの?』
「母さんから聞いたよ。この前、ヒロに会ったんだって?」
ヒロに会ったらしいことを聞いて納得する。ハルは苦笑しながら答えた。
『やっぱり、お母さんに聞いたの?』
「あぁ、何か寝てないって聞いたけど…何かあった?」
『ううん、別に何でもないの…』
「そんなことで嘘つくな。俺を信頼してくれてもいいじゃないか」
『…バン、その気持ちは嬉しいけど…』
少し顔を顰めてうなだれる。携帯で話せないこともあるのかどうか分からない。