二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.103 )
日時: 2013/05/20 07:26
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第10章 桜崎トモミ&竜胆イブキの幼馴染コンビ登場!

(ストーリーモード:バン)

ここ最近、酒を飲んで帰るようになった。ハルが記憶喪失になったこともあり、それに悩まされてしまう日々を送っていた。
いつものように、酒場で酒を飲んでいた。ベロベロになるまで飲み、泥酔状態になる頃には午前2時を回っていたのだ。

「うーい…っく、ヒロたちに咎められちゃあ、しょうがねぇなぁ…」

フラフラと千鳥足で歩きながら、酒場近くの公園に向かった。そこに辿り着くと、ベンチが設置されている。
そのベンチに座るなり、眠そうに欠伸する。飲みすぎたせいで寝こけてしまうのもいかがなものか。
ふと、CCMに着信が来た。どうせ、ルークからだろう…って思いながら、眠そうに開けると、後輩の大空ヒロだった。

(…ヒロ?)

珍しいな、こんな時間に電話してくるなんてさぁ…ちょうど良いや、迎えに来てもらうか。
眠そうに通信を繋げると、テレビ電話のようだった。画面にヒロの顔が映る。

『あっ、やっと繋がった…っていうか、帰るの遅いですよ!』
「あーはいはい…遅くて悪かったなぁ、今から迎えに来てくれねぇ?」
『はぁ…ったく、しょうがないなぁ…迎えに行きますから、寝ないで下さいよ』

ヒロは呆れながら、溜息をつく。しょうがないから、迎えに来てくれるということが有り難かった。
酒を飲み、酒場で遊びながら寝る…という生活もあって、ヒロやハルに注意されることが多い。

「ぅん…そうするよ、ハルはどうしてる?」
『あぁ、彼女は珍しく起きてますよ。バンさんのことが心配だからって…』

俺が帰ってくるまで待っててくれている…記憶喪失になっても変わらない。
ハルの気持ちは分かるが、記憶喪失になっても変わらない心配性が出ているとは想像していなかった。

「あぁ、そっかぁ…」

電話していたら、ヌウッとハルの顔が出た。ヒロはビックリしたが、すぐに渡してくれた。
ハルはムスッとした顔をしながら、俺の顔を見て顰めた。そんなことで怒るなよ。

『バン君、帰ってくるの遅いっ!』
「しょうがねぇだろォ、酒飲んでんだからぁ…」
『はぁ…ヒロ君と一緒に行くから、大人しくしててよ』

ハルの声を聞いたヒロが目を見張る。本気で迎えに行く気満々か…しょうがないから認めてやることにした。

「ったく、しょうがねぇな…分かったよ、待ってるからさ」
『今、どこにいるの?』
「酒場近くの公園…」

ヒック、と呻きながら唸った後に大きな欠伸をして、眠いのを堪えた。
ハルは溜息をついて、思わず苦笑した。しょうがないから、ヒロと一緒に迎えに行くことにしたらしい。
命を狙われてんのに…なーに、のん気なこと言ってんだか。彼女の気持ちは分からないまでもなかった。

『分かったわ、ヒロ君と一緒に行くから待ってて』

そう言って、テレビ電話を終えた。本当に相変わらず、強引なヤツだと思いながら苦笑するしかない。
流石に凄く眠い…ズボンのポケットにCCMを入れたのと同時に目を閉じた。

****

数分経って、気持ち良さそうに寝ていた俺の肩を揺り起こすのと同時に聞きなれた声が聞こえる。

「…ん、バンさんっ!」
「ん…ぅん……」

目を覚ますと、ハルとヒロが心配そうに覗き込んでいた。ボンヤリとした視界が晴れて、眠そうに起き上がった。
ヒロが俺を見て溜息をつき、肩を貸すからと言ってくれた。フラフラと立ち上がり、ハルを見る。

「全く…どれだけ飲んでんの、バン君」
「うるせぇ…飲んだっていいだろォ…」

不満そうに言いながら、眠そうに欠伸する。その時、向こう側が騒がしいことに気付く。
そこに向けると、2人の男女ペアが不良グループに囲まれていた。どうりで騒がしいと思ったわけだ。

「へっへっへっ、お譲ちゃん…俺らと遊ぼうぜェ?」
「嫌ですっ!」

その女の子はキッパリ言い放った。黒くて長い髪…頭に黄色のカチューシャを付けている。
ピンクのシャツに白いパーカーを着ているが…水色のスカートを履いており、タイツも履いていた。
女の子の様子を見ていたが、どう見てもヤバい感じがした。俺はヒロから離れて、フラフラと千鳥足で歩きながら言う。

「ちょっと待てよ、お前らぁ…」

4人の不良グループに突っかかって言う言葉がそれだった。そいつらは俺に顔を向ける。
何か気に食わないというような顔をして、リーダー格の少年が俺に突っかかりながら話しかけて来た。

「なんだぁ、酔っ払いは引っ込んでろィ!」
「うっせーな、その女の子に手を出すんじゃねえ…そうしないと俺が相手になってやらぁ」

売られたケンカは必ず買う主義なので、不良グループの4人組を叩きのめすことができる。
その女の子の隣に居た青年は俺の隣に立ち、溜息をつきながら睨みつけた。

「何か面倒くせぇけど、俺も相手してやるぜ」
「お前、名前はなんて言うんだぁ?」
「竜胆イブキっす、よろしくな」

ヘッドフォンを付けており、ボイスレコーダーを首からぶら下げている。
黄色のフードが付いた、灰色のトレーナーを着ている。また、青のジーンズをはいている。
不良っぽい、逆立った茶髪も特徴の1つだ。こいつ、やる気ありそうだな。

「何だとォ、テメェら…ちょうどいい、叩きのめすかっ!」

4人で一斉に襲い掛かってきた。イブキと俺は2人ずつ、相手にして殴ったり蹴ったりした。
その様子を見ていたヒロとハル、女の子は呆然と見つめていた。ハルは溜息をつくばかりだった。

「バン君って…なんで、ケンカしやすいの?」
「いや、ケンカしやすい方じゃないはずなんですけど…」
「そうなんだ…」

ハルがそれを言い終えた頃、ケンカは終わっていた。パンパンと手を叩きながら、溜息をついた。
こいつら、本当に不良かよ…どうりで弱いわけだ、いい加減に突っかかってくるの止めてほしい。
3人のところまでやってきたのと同時に女の子がイブキに向かって話しかける。

「イブキ、あんた…ホントに怪我してない?」
「…あぁ、怪我してねぇよ。トモミを巻き込ませたら、確実に死んでたとこだったぜ」
「良かった…あの、ホントに助けてくれてありがとうございました」

俺の方に向かって、女の子はペコリとおじきをして挨拶した。彼女を見て頷いた俺は苦笑した。

「いや、別に大したことしてねぇから…とにかく、無事でよかった」
「ありがとうございます。あれ、そこにいるの…ハルさんですよね?」

ハルの存在に気付いた彼女は目を見張った。彼女がハルを知っていると言うことは知り合いか?

「あぁ、そうだけど…君、名前はなんて言うの?」
「私は桜崎トモミです。よろしくお願いします」
「俺は山野バン、よろしくな」
「僕は大空ヒロです。よろしくお願いします」


俺とヒロはお互いに挨拶してから、ハルを見やった。彼女の顔を見ると、不安そうな表情をしている。
トモミがハルを見て、訝しげに首を傾げる。その時、イブキがハルを見て気付く。

「なぁ、もしかして…ハルさん、記憶喪失ですか?」

その台詞を聞いたトモミは目を見張り、『嘘でしょ…』というような顔をしていた。
まさか、ハルが記憶喪失に陥っていたとは想像していなかったのだろう…それは俺らも同感だった。

「えぇ、ハルさん…記憶喪失なんですか?」
「そうだよ。この前の事件で巻き込まれて、そのショックで記憶を失ったんだ…」
「なるほど、どうりで思い出せないというわけなんですね。何かあったんですか?」

トモミは腕を組みながら、ハルを見て気遣う。記憶が戻るまでの間、力になってあげられたら…という想いが強くなった。
イブキは溜息をつき、面倒くさいことに巻き込まれたというような顔を見せた。

「ここで話すのは…ちょっとな、明日か明後日の午後はどう?」
「あっ、明日なら大丈夫です。イブキ、あんたも平気だよね?」

トモミは即答しながら頷き、イブキに話を吹っかけた。イブキは肩を叩きながら溜息をつく。

「面倒くせぇけど…まぁ、俺も明日は空いてるから行きますよ」
「イブキも一緒に行くんだね。あっ、私たち…実は幼馴染なんです」

トモミとイブキは幼馴染らしく、アメリカに留学しているということだった。
なぜ、2人がハルのことを知っていたのか…その事については、明日になってみないと分からない。

「じゃあ、俺らは帰るからな…」
「はーい、気をつけて帰ってくださいね!」

トモミとイブキに見送られながら、公園を出た。ルークの運転する車に乗り、俺たちは帰路についたのだった。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.104 )
日時: 2013/05/28 22:55
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

ルークの家に着くなり、3階にある4人部屋に向かう。ドアを開け、フラフラと歩きながら顰めた。
その様子を見たハルが気付いて、その先にあるソファに目を向けた。広も首を傾げて、気にかける。

「バンさん、ソファで寝るんですか?」

ヒロの声を聞きながら、ソファに寝転がった。ベッドじゃなくてもいいから、どうしても寝たい。
その気持ちは分からなくもなかったが、ソファで寝るよりベッドの方が良いだろう。

「うっせ、そこで寝ちゃいけないって言いたいのかぁ?」
「いや、そこまで言ってないですよ?」
「だよなぁ…っていうか、ヒロ」
「はい?」

ヒロを促して、その前まで来させる。首を傾げながら、歩み寄ってくるヒロを見て頷く。
やっぱり、ハルを放っておけないか…そうだとしても、記憶がいつ戻るか分からないのに、落ち着いていられない。

「ハルの記憶がいつ戻るか分かんねぇ…その時は俺たちが守るしかないんだ」
「はい…そうですね、ハルさんの記憶がいつ戻ってもおかしくないはずなのに-------------------」

ヒロはベッドの上に座りながら、心配そうに俺を見ているハルに気付いて、チラッと見やる。
彼女の記憶が戻ったら、何かしてあげたい…というのもある。幼馴染だからこそ、分かる気持ち。
それに気付いて、優しく接してやらないと気が済まない…ハルのことだから、記憶が戻れば呼び捨てで呼んでくれるはずだ。

「あぁ、そうだよな。記憶が戻らないわけにはいかないな…だったら、俺らでハルのためにできるだけのことを尽くすしかない」

俺たちができることはハルのために何か思い出させること…無理に思い出させない程度まで至れば大丈夫だ。
そうでもしない限り、ハルの記憶はきっと戻らないだろう。俺たちもそれを承知して覚悟するしかない。

「そうですね、僕たちもやるだけのことを尽くします…それだけしかありませんね」
「あぁ、そうだなぁ…っく」

ベッドに座っているハルを見て、フラッと立ち上がる。その様子を見たヒロは俺を見て、首を傾げた。

「…バンさん?」
「ヒロ、お前はもう寝ろ…俺は寝る前にハルと話したいことがあるからよ」
「分かりました。じゃ、おやすみなさい」

ヒロは2段ベッドの上に上って、中に入る。ふと、気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。
その隙に俺はハルのベッドの上に乗って、呻くように突っ伏す。それを見て、ハルは心配そうに声をかける。

「バン君…」
「俺のことは呼び捨てでいいよ…記憶をなくす前はそうしてたんだからさぁ…」
「そっか…バン、何でこんなになるまで飲んだの?」
「飲み過ぎて、何が悪いんだぁ…ったく、ホントにそういうところは変わってねぇな」

記憶がなくても、俺に突っ込んでくれる…ハルのそういうところが好きだった。
俺の大切な存在…それが幼馴染の人見晴香だ。記憶がないなんて聞いた時は信じられなかった。
というより、信じたくない…夢であってほしいと思っていたが、現実を受け入れるしかなかったのだ。

「え、どういうこと?」
「まぁ、記憶をなくす前のお前はそんな感じで突っ込んでた」
「そうなんだ…でも、何で夜遅くまで飲んでくれて…飲み過ぎだよ」
「…しょうがねぇだろ、酒を飲むのが好きだから良いじゃんかぁー」

そう言ってやると、ハルは俺を見て顰めた。酒を飲むのは良くない…と言うような顔をしている。
彼女の気持ちは分かるけど、どうしても飲みたくなる性分なのだ。居酒屋で飲まない限り、飲みすぎは良くない。

「だって、バン…夜遅くまで飲んで、何がしたいのよ」
「何って…別に遊んでるだけじゃんかぁ、英語で喋れるんだからな」
「バンって、英語…喋れんの?」
「喋れるよ。日本で授業受けて習ってたくらいだ、あれだけ喋れて当然だろォ?」
「あ、そうだね…ねぇ、アメリカだよね?」

アメリカだということが分からないで居たのか、記憶喪失しているのも頷けた。
しょうがないから、アメリカのことを話した方がいいのかもしれない。彼女が記憶を取り戻すきっかけになれれば、と思っている。

「あぁ、そうだ。ここはアメリカのロサンゼルスだ…お前の第2故郷さ」
「もしかして、私が住んでいた場所…だよね?」
「うん。お前は小学校の時に親父さんの都合でアメリカに引っ越していったんだ…中3になって、日本に戻ったけどな」

小学校の時に父親の仕事の都合でアメリカに引っ越していった。中3になって、日本に戻った。
その時の記憶は鮮明に覚えている…中2の時にベクターによるゴーストジャック事件で再会したのがきっかけだ。
ハルと別れる前、アメリカのロスにある遊園地で遊んだりしたことが懐かしい。

「そうなんだ…」
「あぁ、お前の生まれ故郷は日本だ。東京のミソラタウンっていうところだぞ」

俺のことは誰よりも知っている…それがハルだった、その記憶がないのを受け入れたくない。
やっぱり、ハルを守るべきなんだ…それが記憶を取り戻すことができるきっかけだとしたら、助かる可能性はあったはずだ。

(ホント、正直に言って信じたくねぇ…)

記憶を取り戻すしか方法はない…それを何とかしてあげたい、その気持ちがますます強くなった。
その時、ハルがベッドの上に置かれている毛布の中に潜り込んだ。もう遅いから、そろそろ寝ようか。

「…んー?」

ギュッと裾を掴まれたので、振り返ると不安そうなハルの姿が…彼女の気持ちは分からないまでもない。
仕方がないので、一緒に寝た方が楽になるだろう。それがいいと思って、ベッドの中に潜った。

「しょうがねぇな、怖がりなところは変わらないなぁ」
「一緒に寝てよ、バン…」
「あぁ、いいぜ…2人で寝よう。安心して、目を瞑ってな?」

ハルを促すと、素直に頷いた後は気持ち良さそうに寝息を立てていた。ふと、睡魔が襲ってきた…だんだん、深い眠りに落ちていった。