二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.23 )
日時: 2013/04/20 09:15
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第2章の続き(バン視点)

やがて時間が経ち、夜になっていた。酒を飲み過ぎて、先に寝ていた俺は眠そうに唸りながら起きた。

「ん…ぅん……」

目を覚ますと、ハルはベッドの前に座り込んだままで窓の外に映る月を眺めていた。
眠そうに上半身を起こし、ハルの背中を見つめた…どこかで見たことのある寂しげな表情。
孤独を紛らわせているのは確かだけど、俺と一緒に居ることで傷ついた心の闇が解放されていくのではないか。

「…おい、ハル」
「あっ、起きちゃった?」

俺の声に気付き、我を振り返ったハルは申し訳なさそうに顔を伏せる。
寂しさを紛らわせたくなかったんなら、何も言わないでおこうと思ったが…やっぱり放っておくわけにはいかない。

「いや、さっき起きた…けど、何で佇んでんの?」
「バンが先に寝ちゃったから、起きるまで待ってようかなって…」
「ふぅん…まぁ良いや、それよりルークとは仲が良かったんだろ?」
「うん、アメリカにいた時の幼馴染だし…バンを見てると、つい思い出してしまうんだよね」

ハルは俺を見て振り返りながら、笑顔を見せて語った。ルークのことが好きだったのは、何となく分かっていた。
幼馴染がいても楽しかったとかそう言うんじゃないだろうか…俺だったら、ハルと話すことができて楽しいと思ってしまう。

「へぇ…俺を見てたら、何か思い出しちまったの?」
「ううん、思い出すどころか…ルークの優しいところがバンに似てるんだもん」
「…バーカ、何言ってんだ。優しいのは変わってないだろォ…」
「ふふっ、だって…ん?」

ハルのCCMが鳴り出した…こんな時間に電話してきて、何がしたいのか。
ズボンのポケットから取り出したのと同時に開いてみると、見知らぬ電話番号が載っていた。
不審に思ったのか、ハルは耳に当てて電話の内容を聞き出そうとする。その時、向こうから聞き覚えのない声が聞こえた。

『…It is Haruka Hitomi?(…人見晴香だな?)』

声を聞いたのと同時に顔を顰めながら、無言でベッドに横たわったまま眠りそうな俺を見る。
すぐに切り返して、電話の主に向かって振り絞りながらも声を出す。

「…It is so?(…そうだけど?)」
『Learning it by hearing for this voice that will not have to forget my thing?(俺のこと忘れちゃあいねーだろ、この声に聞き覚えは?)』

ハルはその声の主について思い出したのか、CCMを落としそうになりかけた。
実際に英語で話すのは物凄く久しぶり過ぎて、ハルにとっては第2の故郷である。

「It is by any chance the voice…Indeed it is Jeff?(もしかして、その声…まさか、ジェフ?)」

ハルがアメリカにいた時の同級生or先輩と名乗る人物だった。声の主はジェフ・ライトという青年。
アメリカにいた時の知り合いから国際電話がかかってくるとは想像していなかった。
ちなみにジェフのことはハルから聞いていたので、知っていた。

『I did not seem to forget so it. The state of things that Katie cannot come to U.S.A. …(そう、忘れてなかったみてーだな。ケイティがアメリカに来れないかって…)』

その言葉を聞いたハルは呆然として、目を大きく見開いた。英語は分からないが、アメリカで何かあったのだろうか。

「I obtain it am U.S.A.?(え、アメリカ?)」
『…Oh, I seem to have possibilities to want to talk about luke. I seemed to mind the Mac(…ああ、ルークのことで話したいことがあるそうだ。マックも気にしてたらしいぜ)』

マックと言うのは、タイーザ・マックロンという青年のことだ。
ぶっきらぼうだが、俺とは仲良くしてくれるから話しやすい。ルークとタイーザは結構、仲が良いと聞いていた。

「Indeed…But I go to U.S.A. and do what?(なるほど…でも、アメリカに行って何すんの?)」
『A problem is taking place to some extent. How this time if I come with a ban?(多少、問題が起きてるんだ。今度、バンと一緒に来たらどうだ?)』

ハルはチラリと俺の方を見やってから、溜息をつく。アメリカで起きているのは間違いなく読み取れた。
実際に行ったことはあるが、英語を話せるかどうかは分からない。中2の時に行ったきりだから、しばらく行けていないというのが現状だ。

「…Understood it, want to think. Oh, should I register a cell-phone number?(…分かった、考えさせてほしいんだ。あっ、携帯電話番号登録した方が良いかな?)」

ジェフに電話番号のことを聞いて確認していたが、承諾してもらった。

『Oh, I am good. If anything happens, I contact it…Again(ああ、良いよ。何かあったら連絡するよ…またな)』

ハルも英語で「Yes again!」と言って答えた後、通話を切ってから閉じた。
ボンヤリと見つめていたが、ハルは俺のところにやってきて歩み寄りながら顰める。

「…どうしたんだぁ?」
「アメリカに来れないかって…」
「アメリカぁ? 何で…行けって言われたのかぁ?」
「うん…今度、バンと一緒に来てくれってさ。どうする?」

ジェフと話し込んでたのは、そういうことだったのか。でも、俺が一緒に行って何の得になるか分からない。
酔っ払っていて、状況を把握できてないこともある…しょうがないが、ハルの話を聞いてやるしかない。

「んー…よく分かんないけどさぁ、アメリカでルークに会うってことかぁ?」
「うん、そうとも言えるかな…でも、多少問題が起きてるって…どういうことだろ?」
「…問題? そっちで何かあったの?」

眉を潜めながら考え込む。ルークのことだから、酒を飲んでいるのかもしれない。
それじゃないとしたら、ハルに言えない何かが起きようとしている…ということか。
あるいは、記憶喪失…なんていうのも有り得るが、現時点では掴めない。

「分かんない…でも、ヒロたちを誘うのもありじゃない?」
「ヒロとナオの2人を連れて行って、4人で行くか?」
「…ヒロとナオか…うん、幼馴染同士なら行けるかもね!」
「他のメンバーも連れて行くとなれば、多少は金がかかっちまう」
「あっ…そっか。確かにやっぱり、4人で行くしかなさそうね」
「そういうこと…だから、俺・ハル・ヒロ・ナオの4人で行くしかないってことになる」

ナオたちは承諾してくれるかどうかも分からないが、試しに話してみる価値がありそうだ。
ハルは幼馴染のルークを思いやりながら、窓の外に映った光景を見つめていた。

「…バン、ごめんね」
「なんだよ、謝ることねーだろォ…」
「いつも巻き込ませちゃって…本当に申し訳ないことしちゃったなー」
「バカ、何言ってんだぁ…やっぱり幼馴染が居ないと気が済まねぇよ」
「そうだよね…アメリカに行って、ルークに会った時に叩きのめすわ!」

ゴゴゴ…と怒りを入れて、顔を顰めながらも右手でギュッと拳を握った。
ルークに対する怒りが沸々と沸いてきていることは分かっていたし、その時に会えば分かるということだ。
窓の外に映る光景を見つめながら、ルークたちのことを思い出す…そして、睡魔が襲ってきて深い眠りに落ちた。