二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.29 )
日時: 2013/04/20 17:43
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第3章 ヒロ&ナオの幼馴染コンビ登場!(前編)…バンからの大事な話とは?

(ヒロ視点)

春休みに突入していたので、暇な時は自宅でゲームやっていることが多い。
元々、ゲーム好きな僕にとっては自由に過ごせることができるから楽しみの1つだった。
今日は、幼馴染の小野奈緒美が家に遊びに来て話し込んでいる最中だ。ナオは僕の大事な幼馴染であり、記憶が戻ってからは前より明るくなった。

「ナオ、急に家に来て…どうした?」
「ハルさんから伝言預かってるのよ」
「…伝言?」

ハルさんから伝言を預かっていたというナオの言葉を聞いて、目を丸くして驚いた。
急に伝言が来るとは思わなかったが…バンさんとハルさんにいったい、何かあったのだろうか。

「うん、今夜8時ちょうどに来れないかって…」
「8時ね…まぁ、別に予定はないけど…。どこに行けば良いの?」
「ハルさんが言うには、【Detective Bar】に来てほしいってさ。家だと話せないらしい」

家で話せないこと…よっぽど、何かあったことを示唆する。それを理解するのに時間はかからなかった。
ハルさんからの伝言を受け、すぐに行ける準備をしておく。バンさんとは会っていないこともあって、話がしたいと思っていた。

「OK、そこで話せば良いんだな」
「ええ、私も一緒に行くわ」
「ナオ…?」

ナオの言動に違和感を感じていたが、すぐに突っ込めなかった。ナオのことだから、何か複雑なのかもしれない。
幼馴染として見てきたわけではないが、ナオに何かあったら困るというのもあって気遣うことが多くなった。

「ヒロが酔い潰れたりしないか見ておかなきゃ」
「何でそうなるんだよ…。僕が寝てるって分かっても起こそうとしないのが悪い」
「何ー!?」

ガルルル…と唸りながら怒るナオの顔を見て、ギョッとする。その時、CCMが鳴った。
グッドタイミングで電話がかかってくるとは思わなかったので、慌てて取り出す。
CCMを開くと、山野バンだった。今夜のことで電話をかけてきたのだと推測できる。

「もしもし…?」
『俺だけど、今夜は空いてるか?』
「はい、空いてますよ。さっき、ナオから伝言もらったところです」
『そうか…じゃあ、ナオと一緒に来い』

今晩に何があるのか分からない。僕は言われるまま、従うしかなかった。
ナオを見やりながら考え込む…これは、絶対に何かありそうだ。そう考えると、何か起きる予感がする。

「…はい、分かりました」
「じゃあ、夜に会おうな」

そういう否や、通話が切れる音がした。聞きそびれたが、夜に聞けば分かる。
夜が来るのを待って、僕らは行く準備をした。


今夜8時ちょうど、指定された場所に向かった。船津直紀という青年の家の近くにある居酒屋だ。
その名は【Detective Bar】…あそこは大学生が集う場所で、いろいろな話が聞ける。
店の中には、プライベートルームという特別な部屋があって重要な話をする時や大事な話がある時などに使われている。

「あっ、バンさん!」

店の中に入ると、カウンターの席に座っていたバンとハルの姿が目に映った。
ハルが振り返って、僕とナオを見て認識した瞬間に手招きする。言われるがまま、そこに向かった。

「こ、こんばんは!」
「こんばんは、ヒロ。ごめんね、バンは酒を飲んでるところなの」
「そうですか…。あ、プライベートルームで話したほうが良いでしょうか?」

酒を飲みながら、マスターと話し込んでいるバンさんを見て頷く。ハルさんは席を立って、バンさんに話しかけた。

「ねえ、バン…プライベートルームに移動しようよ」
「おっ、ヒロ…それにナオも来てくれたな。じゃあ、そろそろ移動するか」

グラスに残っていた酒を飲み干し、フーッと息を吐いて落ち着く。バンさん、相当飲んでるような…気のせいか。
僕たちはバンさんとハルさんに促され、プライベートルームで話そうということになった。

「バンさん、話と言うのは何でしょうか?」
「ああ、その事だが…ヒロ、お前はルーク・タイロンのこと知ってるか?」

ルーク・タイロンという青年の名前に聞き覚えがあった。確か、7年前に北米チャンピオンになったと言われる実力派。
なぜ、彼のことを思い出していうのかも分からないが…ナオはその青年のことを思い出して考え込む。

「そういえば、ルークさんはハルさんの幼馴染でしたよね?」
「ナオ、何で知ってるの?」

その言葉を聞いて、目を丸くする。ナオはハルからアメリカ時代の話を聞いて知っていたという。
アメリカ時代のエピソードで語られることがなかったという事件のことを聞く機会があって、その時に知ったらしい。

「アメリカにいたハルさんは、ルークさんと仲が良かったと言ってたし…そうですよね?」

ナオが促しながら、ハルに聞き返す。ハルは無言でうなだれながら、少し元気なさそうに頷く。
その様子を見かねたバンさんが僕とナオに向かって、溜息をつきながら話してくれた。

「本題に入ろうか、お前たちもアメリカに行きたいか?」
「えっ…!?」

いきなり告げられた言葉を聞いて、動揺する。何でアメリカ?
首を傾げていると、バンさんがバックからファイルを取り出した。その中に入っている新聞のコピーを取って見せた。

「まずは、これを見てほしいんだ」

スッと差し出された1枚の紙。それを開くと、7年前に起きた事件の内容が書かれていた。
ルークが不審な男に襲われて、重体を負ったという内容を読んで呆然とする。

「えっ…ルークさんが刺された?」
「…ああ、ヒロたちには言うなって…そのことで口止めされてたんだ。ヒロたちなら、大丈夫だろうってことで話すことにした」

それで口止めされたのなら分かるが、どうも不自然なところがあっておかしいことに気付く。
ラークと言う男はルークの父親の知り合いだったらしく、事件を起こす人物とは思えなかった。

「なるほどね…でも、これは違和感があります」
「違和感?」
「例えば、これを見てください」

左手で指差した先には、ラークに関する記事…それを読んでいて思ったが、行方をくらましてしまう事になろうとは想像していなかった。

「ラークという男の人、何か変ですよね」
「…変?」
「はい。ルークさんが気に食わないなら、あれだけキレてもケンカになる可能性があったはず…」

ラークは元々、ルークのことが気に食わなかった。だから、7年前に事件を起こして殺そうとしたのは察せられた。
しかし、どこからか行方をくらませてしまうという情報が出たのは言うまでもない。

「確かに変だな、あれだけ事件を起こして動機が出ない限りは不可能。アリバイがあれば、すぐに見えるはずだと思ったんだがな」

バンさんもようやく、事件の解決策について考え込むしぐさに入った。
ハルさんが僕を見て話しかける。

「私とバンの2人でアメリカに行くけど、ヒロとナオはどうする?」

僕とナオは首を傾げながら、顔を見合わせる。まるで、苦渋の選択を迫られているようにしか思えない。
どうすればいいのか悩んでいたが、ナオがアメリカに行きたがっていたことを思い出す。
どうしても行きたいという気持ちが強ければ、そうなってくるはず…でも、まだ決断が下されて居ないというのも現状である。

(…どうするかは、2人で話し合って決めるしかないのか)

苦渋の選択を迫られ、アメリカに行くか悩んでいる…果たして、その決断は?