二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.6 )
- 日時: 2013/04/14 21:52
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
序章(プロローグ)
7年前、アメリカで起きたゴーストジャック事件から数日経ったある日のこと。
ハルはいつものように、幼馴染のルーク・タイロンと一緒に肩を並べながら、仲良く歩いていた。
「でも、事件が解決してよかったね。バンと再会できたのも、僕のおかげだろ?」
「それは…バンに会いたいって言うのもあったから…」
そう言い掛けたその時…ハルとルークに忍び寄る魔の手が迫ろうとしていた。
ふと、奇妙な気配を感じたルークは後ろを振り返りながら、何かに気付く。
「…?」
「どうしたの、ルーク?」
「いや、待て…ハル、何かが来るぞ」
ルークが気付いて、ハルもそれを見て振り返る。目の前には怪しげな男がいた。
その男は全身に黒の服を着ており、怪しげな格好を漂わせている。不審な様子に気付いたルークはハルを後ろにして守りに入った。
「いったい、何の用だ?」
「…クックックッ、俺のこと覚えちゃいねーだろうがよ」
顔全体につけていた黒いマスクをはずした男を見て、目を見張る。
ルークはその男が誰なのかも分かっていたので、見覚えがあった。
「もしかして、父さんの知り合いだった…」
「ああ、ラーク・ファインだ。しばらく見ないうちに大きくなったな」
「…なぜ、お前がここにいる? 父さんの目の前から行方をくらまして、何を企んでいるんだ?」
ルークがそう言った瞬間、ラークと呼ばれた男はあらかじめ用意してあった武器を取り出す。
「…!?」
ラークが出した武器はナイフだった…しかも鋭いほど、死に至らしてしまうほどの威力を持っているとしか思えない。
ハルはすかさず、空手のポーズをしようとする…しかし、素早く翻弄させたのと同時にラークはハルの首に腕を巻きついて脅す。
「ハル!」
ルークは驚きを隠せない。いきなり行動を移して実行しようとした。
ハルはアメリカに来てから初めてできた友達だった…その幼馴染が死ぬ瞬間なんて見たくない。
そう思えたのか、ルークはラークを見て顰めながらも冷たく言い放つ。
「ハルに手を出すな…僕の大切な存在なんだ、幼馴染を失いたくない」
ルークの台詞を聞いて、目を見張ったハルは動揺を隠せない。その時、後ろから銃声が響いた。
その銃声によるダメージを食らったルークは左手で腹から伝う血を押さえながら、顔を顰める。
「ぐっ…僕を殺すつもりでいたのか…」
「そうさ…中2にしてはなかなか察せられるじゃねーか。ならば、この彼女を犠牲にしてもいいってのか?」
ラークの台詞を聞いて、必死で腹から出てくる血を押さえようとする。
…が、意識が途切れがちになりかけてしまう…その様子を見たハルはすぐに察したのか、動揺する。
「…っ、ルーク!」
「もう無駄だよ…こいつは生きる価値がないのさ」
ハルに向かって、冷たく言い放つラークの目はまるで残酷だ。その時、何かがラークの頭に当たった。
振り返ると、タイーザ・マックロンが立っていた。ルークとハルのもう1人の幼馴染である。
「タイーザ!?」
「ルークとハルに手ェ出すんじゃねぇ、俺が相手してやらぁ」
タイーザの目つきがケンカをする時のマジギレモードに突入している。
その様子を見かねたラークはすぐに振り切って、逃げ出していくが…それを見逃さなかった。
タイーザは咄嗟にその左腕を掴んで、背負い投げで叩きのめした。
「うらぁっ!」
その反転でラークは意識を失って、倒れこむ。ハルは動揺を隠せない。
タイーザはパンパンと手を振り払った後、そこに倒れているルークのところに駆け寄った。
「おい、ルーク!」
意識を失っていた…ふと、腹から大量に血が流れていることに気付き、タイーザは救急車を呼び出す。
ハルは顔を青ざめながら、うなだれるようにして俯く。こうなってしまったのは、自分のせいだと言い切るしかない。
「…ハル、大丈夫か?」
顔色が悪いぞ、というタイーザの気遣いを受け取ったハルは素直に頷く。
救急車と警察が駆けつけるまで、数分かかったが…意識が朦朧としているルークの傍にタイーザがつく。
「ハル、ルークのことは俺に任せて…お前は先に帰ってろ」
タイーザはルークの容態が心配だから、傍に居ると話す。傍に居るだけでも心強い。
…が、タイーザに逆らうわけにはいかず、ハルは素直に従うしかなかった。
「分かった…」
ラークは警察によって逮捕された。タイーザによれば、ルークの父親の知り合いだったらしい。
その事件こそが、ハルの心に傷をつけるきっかけとなったものだ。7年後、ハルの心は今も癒えてきているのか…それはまだ謎である。