二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.69 )
日時: 2013/04/23 13:52
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第7章 7年ぶりの再会Ⅱ ルークの壮絶な過去…いったい、何が?

(ルーク視点)

僕はルーク・タイロン、ハルの幼馴染だ。アメリカにいた時、ハルと仲が良かった。
7年前に引っ越した後、日本に住んでいたハルとは連絡を取り合っていなかった。
もう1人の幼馴染であるケイティ・ライトが僕を気遣って、ハルと連絡を取り合っていた。

「あれから7年経つのかぁ…」
「え、どういうこと…?」

ベッドに横たわったまま、ハルを見つめる眼差しは真剣そのもの。僕にとって、ハルは大切な存在。
ハルだけは信頼できるし、誰よりも好かれる印象を持っていた…7年経った今、こうして再会できたことが嬉しかった。

「お前と連絡を取り合ってなかったから、話す暇がなくて…ごめんな」
「ううん、気にしてない。でも、過去に何かあったということは間違いないの?」
「…ああ、そうだよ。ハルは知らないと思うけど…話してもいいかい?」
「うん、良いよ。さっき言ってた過去って…何年前のこと?」

ハルに質問され、顔を伏せていたが…ようやく、本当のことを話さなければならない時が来た。
僕はハルを見て、過去の記憶を思い出しながら、ゆっくり語り始める。

「ああ、今から話すよ。そう急かすなよ…」

聞きたがっていたハルを見て思わず苦笑しながら、溜息をついて思い出す。
今から1年前…ロザンゼルスの大学に進学して、大学2年になった時のことだった。
いつものように、授業を受けて帰ろうとしていた矢先だった。大学を出ようとした時、図書館の近くで何か騒ぎが起きているようだ。
そこに行ってみると、1人の女性が数人の男子に囲まれていた。女性は顔を顰めながら、後ろに退いた。

「なっ…何か用ですか?」
「ウヘヘ…リーザ、そんなこと言わないで付き合えよ」
「嫌です。っていうか、私に構わないで下さい!」

リーザと呼ばれた女性は首を振りながら、怯えきったようなしぐさを見せた。
その様子を見た僕はすかさず、歩み寄った後に声をかけて怒るような感じで言う。

「おい、その女の子…嫌がってるじゃないか」
「…あぁ? 誰かと思ったら…ルークじゃねえか」

その青年は振り返るなり、僕を見た。目の前に居たのは、ジョゼフ・イルーダという青年。
大学に入ってから、同級生として付き合いがあった。ジョゼフは高校の時、札付きの不良として知られていたことで有名だった。

「ジョゼフ、いい加減に悪さをするのは止せ。じゃないと、僕が叩き潰すぞ?」
「ひっ…それは勘弁してくれよォ、ルーク」
「今回は見逃してやるけど、その女の子に手を出すな」

そう言うなり、ジョゼフは怯えながら逃げ出した。相変わらず、懲りていないみたいだ。
だるそうに溜息をついて、振り返ると…リーザと呼ばれた女性が歩み寄る。

「あの…さっき、助けてくれてありがとう。私はリザルダ・ホールドって言うの、よろしくね」
「どういたしまして…。僕はルーク・タイロン、よろしくな」

お互いに挨拶しながら話した後、場所を移動してリザルダに連れられたところに向かう。
そこに向かったのは、『Dark Crown』というところだった。中に入ると、居酒屋のような感じになっていた。

「ここ…居酒屋だぞ、こんなところに行っていいのかぁ?」
「まぁ、そんなことはいいから。隣に座ってよ」

カウンターの席に設置されていた椅子に座り、メニューを見た。リーザは僕を見て質問した。

「ルーク、何か飲む?」
「いや…まだ良いよ。リーザはここで飲むことが多いの?」
「ええ、ここで食べることが多いけど…たまには飲むこともありだよ」

リーザはマスターに言いながら、メニューを注文した。僕はカルピスサワー、リーザはアップルサワーを頼んだ。
カルピスくらいなら、大丈夫だと思う。リーザは豪快に飲みながら笑った。

「ルークったら、可愛いじゃないの!」
「…は? リーザ、何を言って…」
「まぁ、いいから…私、ルークのことが好き!」
「何言ってんだか…ったく、酔い潰れたら介抱してやらないぞ」
「あら、好き放題言ってくれるじゃない…誰かさんに助けてもらったのに、その言葉はないんじゃない?」

リーザに諭され、顔を顰めながら溜息をつく。まぁ、20歳になったから飲める方だった。
カルピスサワーの入った酒を飲みながら、リーザといろんなことを語り合った。

「へぇ、ルークには日本人の子がいたの?」
「…ああ。リーザに似てるよ、顔がね…何か君と気が合うなって」
「フフッ、そんなに体が逞しい子だったら嬉しいのにね…」

リーザは生まれつき、体が弱かったという。それでも遊びまくって、体力を身につけたことで逞しく成長した。
社交的で天真爛漫なケイティとは大違いだが、ケイティも幼馴染の1人で仲良くしていた。

「まぁ、良いんじゃないかな…」
「ふふっ…」

僕はリーザと楽しく語り合いながら、少しずつ飲んでいた。だいぶ、時間が経過した頃には眠ってしまった。
気持ち良さそうに寝ていた僕の肩を揺り起こす、誰かの声が聞こえた。

「…ク、ルーク起きて!」
「…んー……ぅん…?」

目を覚ますと、見覚えのある幼馴染・ケイティが心配そうに顔を覗き込んでいた。
ふと、リーザが居ないことに気付いて起きた後に大きく欠伸する。ケイティが僕を見かねて気遣った。

「随分探したよ、リーザに聞いたら…ここに居るって言うからさ」
「ケイティ、リーザと知り合いだったのかぁ?」
「知り合いって言うか、友達よ…まぁ、リーザは先に帰ったけどね」
「そっかぁ…っていうか、何時…?」
「もう12時よ。夜遅くまで飲んでたなんてね…あんた、リーザに何したの?」

ケイティに突っ込まれて、思わず苦笑するしかなかった。僕の幼馴染はケイティしか居ないのだから…。
事情を説明するより、家に帰ってからの方が良さそうなので話しやすい。

「事情は…僕の家で話すから、良いよな?」
「ったく、しょうがないなぁ…いいよ。ルークの家でたっぷり聞かせてもらうから!」

ケイティは腕を組みながら、眠そうに欠伸した僕を見て睨みつけた。
その睨み方が怖すぎて、ビクってなってしまうのは気のせいか…しょうがないので、気を取り直して話すことだけしかなかった。