二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと忘却の彼方 ( No.95 )
- 日時: 2013/05/17 21:08
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第9章 ハルに忍び寄る影(後編)…ハルが記憶喪失!?
(ストーリーモード:バン)
ヒロと一緒に出かけて、酒を飲んだ帰りに立ち寄った駅前で休んでいた。
「うー…飲みすぎちまったぁ、ハルたちは先に帰ってんじゃね?」
「バンさん…そんなになるまで飲んだら、寝ちゃいますよ」
ヒロが俺を見て心配そうに声をかける。酒を飲むと、嫌なことが忘れられた。
そんな俺の様子を見て、思わず苦笑するしかなかった…酒を飲みながら語り合う時間は過ぎていき、気付けば深夜1時。
「こんな時間まで飲んだら、ダメだってリーフさんに言われてませんでしたっけ?」
「あぁ、そんなこと言われてたなぁ…っく、そろそろ帰るかぁ」
そう言って立ち上がろうとした矢先、ヒロのCCMに着信音が入った。
ヒロは大慌てで、CCMを開く…画面には、ルーク・タイロンという青年から着信が来ていた。
「もしもし、ルークさん?」
『ヒロ、大変なんだ!』
ルークの大きな声が聞こえて、ビクッと肩を揺らす。大変って…何があったのか?
ハルたちに何かあったのかということは何となく察することができた。しかし、ルークの口から意外なことが出た。
『ケイティから連絡があってな、ナオとハルが赤い瞳の男にやられたそうだ』
その言葉を聞いた時、一瞬身体が固まる。ハルとナオがやられた…それは有り得ない。
どうしても信じたくないが、ルークに言われた病院に向かうしかなかった。
「ヒロ、病院に行くぞ!」
「えっ…酔いを覚ますんじゃ…」
「そんなこたぁ、どうでもいいんだよ。いいから、急いでいくぞ!」
ダッ、と走り出したのと同時に病院に向かった。行き先はロス市内にあるロサンゼルス総合病院。
そこに向かって、病院の中に入ると…ルークが手術室の前に設置されている椅子に座っていた。
「ルーク!」
「おっ、バン…それにヒロも来てくれたな」
ルークは立ち上がり、俺たちのところに歩み寄る。ヒロが今までにない動揺を見せながら、不安を抱く。
その様子を見かねて、手術室の明かりを見たルークは少し息を整えてから落ち着くようにした。
「ナオは腹を刺されて、その…重体だそうだ」
「えっ…ちょっと、ナオが腹を刺されたって…なんで!?」
「ケイティの話によれば、赤い瞳の男にナイフらしきもので刺されたそうだ。その時、ハルは血を見て…大きな声を出して、気を失ったらしい」
ナオの容態を聞いた瞬間、ヒロはギュッと右手で拳を握りながらもワナワナと震わせた。
怒りと憎しみが混ざり合ったオーラを醸し出していた…ヒロは絶対に許せないという思いを抱いている。
「許せない…こんな酷いことをしたヤツを捕まえてやりたいです!」
「ヒロ、落ち着けって…ここは病院だぞ、大人しくしてろよ」
「これが大人しくしていられますか!?」
ヒロは左手で拳を握って、俺を見ながら顰めた。ナオはヒロにとっても大切な幼馴染だ。
赤い瞳をした男にナイフで刺されるとは…ヒロも想像していなかった。こんなことになってしまったのは、俺たちの責任だ。
「ナオを殺そうとしたヤツを捕まえなきゃ、気が済まないんですよ!」
「気が済まないって…確かにそうかもしれないけど、今は落ち着けって」
「バンさん…ナオのこと、大好きなんです。あいつ、僕に甘えてくるのが多かったから何もしてやれなかった…」
ナオに対する強い思いがヒロを熱くさせてしまう。目の前で彼女を失いたくないというオーラを感じた。
俺もハルのことを失いたくない…何があっても、俺が守るって誓った。なのに、事件に巻き込まれてしまうとは想像していなかった。
「ヒロ、それは俺も同じだよ。ハルは俺の大切な幼馴染だ、何があっても守るって誓った…なのに、何で…」
ハルが居なくなることに対して、不安を抱く。俺だって、ハルのことが大好きだった。
彼女はいつだって、俺に構って欲しいと思って明るく振舞うことが多かった…それで、無茶なことをしでかすこともあった。
「絶対に許せねぇ、あいつを捕まえてやらないと気がすまない!」
「その通りです、バンさん!」
ヒロが意気込みながら頷いて笑う。絶対に許さない…そいつを捕まえて、その時に問い質してやるつもりだ。
ふと、ハルのことを思い出して…気になったことがあったので、ルークに聞いてみた。
「ハルはどうしてるんだ?」
「彼女なら、病室に居るよ。ケイティが傍に居るから大丈夫だ」
「そっか…良かった、大したことにならなくて済んだな…」
ハルの様子を聞いて、命に別状はないということが伺えた。その時、ケイティが俺たちのところに駆け寄る。
「ルーク、大変なの!」
「大変って…何が?」
ケイティが息を切らしながら、肩を上下に揺らしながら顰めた。もしかして、嫌な予感がしそうだ。
ようやく、ケイティから告げられた言葉は…俺たちを揺るがす、とんでもない展開になっていた。
「ハルの様子がおかしいの、何も覚えてないって言うし…」
その言葉を聞いて、呆然とした俺はその場に佇んだ。ヒロとルークに向かって行ってくると言って駆け出した。
ケイティの案内でハルの病室に入ると、ベッドの上に虚ろな目つきをしたハルがいた。
「ハル、大丈夫か?」
心配そうに声をかけてみると…ハルは俺を見て、虚ろな目をしたままで声を発した。
「…誰なの、あなたは?」
その言葉を聞いた瞬間、身体が固まった。まさか、記憶喪失?
ハルが記憶喪失って…いくらなんでも有り得ない、何でこんなことになってしまったのか。
「さっきから、こんな状態なのよ。さっき、目を覚ました時は記憶を失ってたの」
「そんなバカな…嘘だろ、信じられねぇや…」
記憶を失ったハルの前で何を言えばいいのか分からなかった。その時、病室のドアが開いた。
振り返ると、ヒロが心配そうにやってきた…ナオの容態を聞くと、危機は脱したものの、意識が戻るかは分からないそうだ。
「バンさん、ハルさんの様子がおかしくないですか?」
「うん…どうやら、記憶喪失みたいだな…」
ヒロの目が大きく見開かれ、ハルの方を向いた。本当なのか、というような顔をして驚きを隠せない。
ハルが記憶喪失になるなんて…まさか、こんなことになるなんて思わなかったのだろう。
「嘘でしょ…記憶喪失って…どういうことですか?」
「さぁな、それは俺も分からない。先生の話を聞いてみた方が良さそうだな…」
記憶を失ったハルを見て、躊躇うこともなかったが…このままでは、ハルが危ない。
俺たちでハルを守っていくしかないのだと考えた上で、彼女を気遣うことが増えそうだ。
この時、ハルに対する複雑な思いを抱くようになってからは犯人を捕まえておかなければいけないと誓った。