二次創作小説(紙ほか)
- Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス) ( No.8 )
- 日時: 2013/04/18 23:22
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: sqpDFpcJ)
■ 第1話 不思議な石
「封李先輩っ、空先輩っ、匪先輩っ」
「蜜柑おはよ〜。今日も可愛いね〜」
「空、口説いちゃだめ」
今日は能力別授業の日。三人は蜜柑の先輩だ。
三人とも優しくとても絡みやすい。
「…蜜柑、何かあったかァ?」
「え?何でですか封李先輩?」
「元気がねェ」
こういう細かいところにまで気づくのが封李でもある。
が、他の二人も気づいていたようだ。
うんうんと頷いている。
「…ちょっと気になってることがあって」
「気になってる事…。蜜柑、私に言ってみて?」
「いや…なんかな…」
蜜柑はこのあいだの写真の少女のことを話す。
今はまだクロノが来ていないので普通に話せた。(九六は危力系)
あの後、クロノや九六、悠の元気が一気になくなった。
そして近くを通った棗にばっちり見られてしまい…。
『余計な事詮索するなブス』
と見事に言われてしまった身である。
だからハッキリとしたことは聞けていない。
ただ、死んでしまった棗とルカと仲の良かった女の子がいた…というだけだ。
「あぁ…その話なら、俺聞いたことあるぞ」
「私も」
「俺も〜」
「やんなぁ…って先輩みんな知ってるん!?」
よっぽど有名な子だったんだろうかと思ってしまう。
蜜柑は勢いよく質問をぶつけた。
「何があったん??」
「…詳しくは俺も分かんねぇんだけど。初等部の女の子が1人外の任務で失敗して、治療をうけたんだけどそのまま死んじまった…ってヤツだよな」
「ええ。そう言われているわね。確かとても珍しいアリスを持ってたような…」
「珍しいアリス??」
「確か…“盗みのアリス”だったかしら…」
「!!」
盗みのアリス。それは聞いたことがある。見たこともある。
蜜柑は自分の友人たちのアリスを奪ったその力を思い出して俯いた。
「——まぁ、そんな暗くなるような話はやめましょう」
「あ…刹那先輩っ!」
「こんにちは。…ほら、今日はデューン先生が見てくれるようですよ。野田先生いないので」
刹那が、高等部教諭のデューンをさして言う。
デューンは小さく笑った。
「久々に全員のアリスの力が伸びているか見てやるから、順番に並べ」
「げ、マジかよ…」
「いきなりね…」
「……蜜柑、」
刹那が笑顔でみかんを呼ぶ。蜜柑はふっと顔を上げた。
「今日は集中できなさそうですね?」
「…ごめんなさい」
「いいんですよ。そんな蜜柑に、不思議な石をあげますよ」
「不思議な…石…?」
刹那はニコッと微笑んで、蜜柑に石を差し出した。
青と紫と、金が混じったような石。アリスストーンかもしれない。
でも、こんな色の石は見たことがなかった。
「ウチにくれるんですか?」
「はい」
「ありがとう…ございますっ!!」
なんだか見ていてあたたかくなる石だった。
ギュッと蜜柑はそれを握りしめる。
刹那はあたたかい笑みを浮かべた。
「————」
小鳥のさえずりが聞こえる。
だけど、ここからそこにはきっと届かない。
見えるのは外の景色だけ。見えるだけで、届かない。
(…ツマラ、ない)
少女は目を閉じる。
扉の向こうから足音が聞こえる。
……アア、
————マタ、イやナ時間のハじまリだ…………