二次創作小説(紙ほか)
- Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス) ( No.19 )
- 日時: 2013/04/25 21:04
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: UnXRlUte)
■ 第10話 過去の傷痕
体育祭が無事(?)終了し、蜜柑は一息ついていた。
季節は夏。ルナによって生み出された誤解も何とか消えた。
(そういえば、くーちゃんにも報告せんとアカンな)
確か彼女に聞いてもらって、随分気分が楽になった。
蜜柑は何処か嬉しそうに笑った。
■
——…匪は棗と向かい合っていた。
「…で、何の用だ」
「……帝神姫花さんの事について、なの」
「!」
棗の瞳が見開かれた。
匪は表情を一切揺るがさずに続ける。
「妙な事なんだけど…ひとつ、聞かせてくれる」
「…何だ」
「彼女、学園に来るまでに怪我とかしたことないかしら?」
「……は?」
棗が再び目を見開くが、やはり匪は冷静だった。
一瞬棗は考える素振りをみせ、頷いた。
「テメェが聞いてんのは…傷が残るくらいの怪我、ってことだろ?」
「そのとおりよ」
「だったら…ある」
棗はうつむきがちに言った。匪はただ、続きを待つ。
「俺が一度アリスをコントロールし損ねて、あいつに火傷を負わせた」
「……」
「それで…その火傷のあとが、今も残ってるはずだ。…一生、消えないらしい」
「アリスで治療、とかは?」
「アイツが嫌がる。だから、そのままのはずだ」
——今も、生きていれば。
そう。と匪は静かに言った。
「証拠…とかある?写真…とか?その、学園に来てからもその傷があったって証明できるような写真」
「…あぁ、ある。これ…俺がいつも持っている写真だ」
そう言って棗は、ポケットから一枚の写真を出した。
そこには、棗と、ルカと、姫花が写っていた。
しかも姫花の手首に火傷の痕がある。恐らく、入学早々に撮られた写真だろう。
「…完璧な写真ね。ちょっと借りてもいいかしら?」
「……ああ」
「ありがとう。…じゃあ、私はこれで」
そう言って去っていく匪の背中を、棗は静かに見送った。
確かに今、何かが動いている。それだけは、棗はわかっていた。
一方、匪は写真を片手にある人物を探していた。
その時、木の陰から人がゆっくりと出てくる。匪の探していた張本人、封李だ。
「どうだったァ?」
「この写真を見て?彼女は手首に火傷を負っているそうよ。しかも治療はしてないらしいの」
「……」
「だから普通に治ることはない。今も残っているらしいわ」
「…完璧だな」
にぃっと封李は笑う。
そして録音機の再生ボタンを、ピッとおした。
『蘇生のアリスは…死んだ者を蘇らせるアリスだよな?その蘇らせる最中、受けていた傷も治るものなのか?彼女は重傷を負ったんだろう?』
『ああ、そんな事か。勿論だ。蘇生すると同時に、彼女の傷は全て癒された。彼女の体にはもうどんな傷もないだろうな』
『ふぅん。…それは本当に、“どんな傷も”か?』
『当然だ。どんな傷でも蘇生すると同時に治る』
「……奴はこう自分で言ったンだ。つまり、本当に一度死んで蘇生されたならその火傷の痕はないはず。が、もし火傷の痕があったら——」
「蘇生のアリスなんて使われていない。つまり帝神姫花は1度死んでなんかいない。初校長が彼女の記憶を消して、鎖につないで閉じ込めてるってわけね」
「そのとォり。大問題になるわけだ」
2人は愉快げに笑った。
「という事で…その少女本人の手首を確認しないといけないわけだが」
「とりあえず…デューン先生に頼む?」
「そうするかァ。あと報告もしねェとなァ」
「そうね」
■
今の2人の会話を、じっくりと聞いてしまった2人がいた。
空と悠である。びっくりして、よくわからなくて、硬直していた。
「…何なんだよ、今の話」
「な、何なんでしょう……」
とりあえず。と2人はこっそりその場を離れた。
空は特に気分が悪かった。彼は初校長が大嫌いなのだ。
「はぁ〜…」
「?空先輩、大丈夫ですか?」
「おぉ。サンキュ、悠」
その時、2人の前方に蜜柑が見えた。
見た事もない色の石を、ギュゥッと握りしめている。
「あれ?蜜柑ちゃん?」
「おーいっ、蜜柑、何やってんだー?」
「え…空先輩、悠ちゃん!?あ、えと…くーちゃんのとこに行こうと…じゃなくて!!」
「え?」
2人が同時に聞き返した瞬間、蜜柑の体がいきなり透け始めた。
なぜか、テレポート体制に入っている。2人は思わず驚く。
「蜜柑!?ど、どうしたんだよ!?どこ行くんだ!?」
「蜜柑ちゃん!?」
(き、来たらアカン、2人とも…!一緒にくーちゃんの部屋に行ってまう…!!)
『私のこともこの部屋のことも、その石のことも…他人には言っちゃダメですよ?』
そう言っていた鎖少女を思い出してさらに蜜柑は慌てる。
理由はわからないがとにかくバレてはいけないのだろう。蜜柑にとってはここで2人と会ったことが誤算だったのだが。
(は、はようテレポートせんと…!!)
「おい蜜柑!?テレポート石なんか使ってどこ行く気だよ!?」
「蜜柑ちゃーんっ!!」
全力で2人が駆け寄ってくる。……テレポートには時間がかかる。
しかし、2人が今蜜柑に触れれば、ともに鎖少女の部屋へと移動してしまう。
自分のことを話してはならないと言っていた彼女のためにも、それは避けなければならない。
次の瞬間、蜜柑はテレポートした。
シン、と静まり返るその場。
そう、…静まり返っているのだ。
そこには、悠と空の姿もなかった。
■
同時に3人テレポートしましたw
最近自分で何書いてんのかわかりません((((((
空君、悠ちゃん、匪ちゃんやっと久々登場…。
遅くなってごめんなさい((((;゜Д゜))))