二次創作小説(紙ほか)

Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス)  ( No.27 )
日時: 2013/05/01 22:28
名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: EBIrcfyl)

■ 第15話 確信

棗を鎖少女の部屋へと送ったデューンは、静かに空を見ていた。

そんな時、ふっと後ろを見る。


「そんな所にいないで出てこい、皇我崎。それに氷室」

「あれ、バレてた」


匪の明るい声がその場に響いたかと思えば、2人が木陰から出てきた。

デューンは横目で2人を見つめる。


「…日向棗をあの部屋に送って良かったのかァ?」

「…どういう事だ?」

「あの少女が『帝神姫花』だって証拠は見つかってンのかよ?」

「あぁ、…そんな事か」


微笑を浮かべるデューン。2人の表情がひきしまった。


「この間彼女の部屋に行って、手首を見てきた」

「…ちょっと待って。鎖は手首についてるんでしょう?どうやって見たんですか?」

「透視のアリスを作り出して、見た」

「…なるほど」


匪は納得しながら、話の続きを待つ。

封李は真剣な表情をしたまま、デューンを見据えた。


「で…あったのかよ。…傷」


デューンはフッと笑みを零して、肯定した。


「ああ。——右手首に、しっかりとあったよ」

「写真と見比べると?」

「全く同じだった。…絶対的な証拠だ」

「…なるほどなァ」


3人は微笑んで顔を見合わせる。

全てのピースが集まり、今完全にハマったきがする。


「これで、証明されたわけだ」

「そうね」

「あぁ。…帝神姫花は、死んでなどいなかった。…恐らく」

「初校長の側近によりアリスを消され、『盗みのアリス』を欲していた初校長にあんなところに監禁された、…ってとこかァ?」

「そこまでして盗みのアリスを欲した理由は…。…多分……」


重い沈黙がその場を支配した。

が、それを打ち消すかのように匪が明るい声を発した。


「とりあえず、女の子を助けないとね!」

「…そうだな」

「あと…蜜柑も、かなりやべェことになってる」

「……それに」

「あぁ。…日向もこのまま行けば、かなり危うい事になる」


「あと、なァ」


封李が言いにくそうに言葉をきりだした。

その表情は何処か苦しげで、切なげで、そして悔しげにも見えた。


「特力の、安藤…翼が……」

「あぁ、その話なら聞いている。…裏向きだが、危力系に籍を置くことになったらしいな」

「……ああ」

「私…」


匪はとても悲しそうな表情で、静かに言った。


「凄く、嫌な予感がするの」


その言葉に2人とも俯く。どうやら同じようだ。

デューンは掌を握り締める。


「嫌な予感、…か」


——だからこそ、日向をあの部屋に送ったのかもしれない。


静かに彼は、空を見上げた。