二次創作小説(紙ほか)
- Re: ■… 鎖少女 …■ (学園アリス) ( No.28 )
- 日時: 2013/05/05 23:44
- 名前: 暁 ◆veyMdjA2J6 (ID: Jx.yIphs)
■ 第16話 再会
「——姫花…、なのか?」
棗は驚愕に目を見開いたまま尋ねた。
目の前の少女は涙を拭ってから、フルフルと首を振った。
「ごめんなさい…分かりません」
「……え?」
「私、記憶喪失で…。ヒメハナなんて名前は聞いたことないです」
「…そう、か」
考えすぎ、だったのだろうか?
否、あの時のデューンの表情を思い出すとほぼ確信に近かったのだが。
ふと、棗は少女を見据える。
「なんで…泣いてたんだ?」
「え…あ、その…」
「なんで……鎖でつながれているんだ?いつから?誰に?」
「え、…っと」
姫花じゃないのかもしれない。けれど、姫花なのかもしれない。
デューンの表情や言葉などの経緯を思い出しながら、棗は考えていた。
「ここにいるのは——」
棗は彼女の説明に目を見開いた。
彼女は一度死んだ人間であり、蘇生のアリスというもので生き返ったということ。
が、それを外部に明かすわけにもいかなくてここにいるということ。
そしてその蘇生のアリス使用際に記憶を失ったということ。
「…まだ1つ…答えてねぇだろ」
「あ…」
「……何故泣いていた」
少女は俯く。金色の髪が表情を隠した。
棗はただ静かに、彼女の言葉を待っていた。
「…私」
意を決したかのように少女は顔を上げる。
その表情はとても見覚えのあるもので、棗は思わず息を呑む。
「他人のチカラというものを、奪う能力を持っているんです」
「…え?」
「ただの“チカラ”としか聞いていないのでそうとしか言えないのですが…他人の持っているその“チカラ”を奪えるんです」
「それ、は…」
————盗みのアリス。
そのワードが棗の脳裏をかすめて、更に姫花の印象が大きくなった。
彼女のもっていたアリスも…盗みのアリスだったから。
「そ…れで?」
「今日もそのチカラを使って…他人のチカラを奪っていたんですけど…」
「も、ってことは…これまでもしていたのか」
「はい。…それでもう…嫌になって。けど、あの人が望んでいるからしなくちゃならない…。だから苦しくて……気づいたら、泣いてました…」
しゅん。といった感じで縮こまっている少女。
棗はひとつ、疑問を覚える。
「あの人、って誰だよ?」
「あ、えと…。私が生き返るようにしてくれたお方で、私の命の恩人とも言うべき人なんです。今も面倒を見ていてくれて…」
「……名前は?」
ザワザワと。何か、嫌な予感がした。
つうっと流れる冷や汗を感じながら、棗は少女の言葉を待つ。
「名前は…久遠寺さん、といって……」
棗の頭のなかは、真っ白になった。
