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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【inzm】想像フォレスト ( No.3 )
- 日時: 2013/05/30 07:10
- 名前: 柳 ゆいら ◆JTf3oV3WRc (ID: sbAJLKKg)
Page1 《鳥》
ピピピッ……
さっき開けた窓のむこうから、鳥の声が聞こえる。
どこにいるんだろう。でも、けっこう近くで聞こえたから、たぶん、窓の近くの木にとまっているんだろう。
読んでいた本にしおりをはさみ、右手首の青いリボンをとり、目に巻きつけた。世界が、闇につつまれると同時に、音が大きくなった気がした。
窓の方を向き、笑いながら。
「どこから来たの?」
そう言ってみた。
直後、ばささっと羽ばたく音がした。
行ってしまったのだ。
きっと、目をかくしていても、鳥には気配で分かるのだろう。ふつうではないと。
私がするりとリボンをほどいた時、思わずかたまった。
交わる、視線。
あってはならない。
鳥は目に恐怖の色をたたえ、むちゃくちゃに羽を動かした。でも、私と交わる視線は、固定されて動かない。ピーピーと、やかましく、苦しく、おそろしく鳴く。
と、とつぜんその声がやんだ。
目のまえからも、いなくなる。
鳥は、もう飛べない。
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