二次創作小説(紙ほか)

Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.12 )
日時: 2013/06/16 17:22
名前: Banira (ID: 1CRawldg)

緊急を要する黒の信煙弾を見て私たちは上がった方向へ向かう。
目測で私たちが今いる場所から信煙弾の場所まではだいたい500、
510Mといったところだった。

その間にも一人・・また一人・・と兵士が死んでいるのだろうか。
ましてや、奇行種。凄惨な現場になっていることは覚悟しなければ
ならないだろう。気になるのはその現場を初めて見る新兵の士気に
どんな影響がでるかどうかだ。気弱な新兵であればあるほど逃げたい
という思いが強くなり士気の下がりかたは著しい。

まぁ幸い私の部下は初めて見た時から屈強な者が多かったから
その点ではあまり心配はなさそうだが、ここは戦場である。
指揮官たるものしっかり部下を統率できねば意味がない。
時として恐怖のあまり新兵が変な行動にでて隊列が乱れることも
しばしばあるからだ。

やがて、早馬が巨木が生い茂り、いささか樹海のような木々の間を駆けると視線の先に一か所だけ頑丈な巨大樹が数本薙ぎ倒されている
場所が見えてきた。上空にうっすら残っている信煙弾の黒い煙と
照らし合わせてもビンゴであった。

その場所を見ると奇行種と思われる10M級巨人が一体今にも一人の
兵士を食べようとしているところであった。

「っぐ・・やめろ・・俺は・・俺は!ま・・まだ・!ぐあああああ!」

それは、巨人のお得意の殺し方である丸のみであった。おそらく
喰われた兵士はまだ巨人の体内で生きているだろうが胃の中で
消化されて苦しみながら死んでいくだろう・・。

そして、その巨人のまわりには他にも食いちぎられたり握りつぶされたであろう無残な遺体が2、3体ころがっていた。

「ひ・・ひぃ・・」

間近でその様子を見てしまった部下の一人が青ざめた表情でうなる。
それを聞いて私の隣で並進しているリヴァイがその兵士に向かって
一言いった。

「お前もあんな様になりたくなければ、恐怖に打ち勝ち命令通りに
動け。いいな・・?」

「は・・ハイ!」

怖気づいていた兵士が放ったその声は震えていたが決意がこもっている
ようにも聞こえた。そして、それは確かに周りの兵士にも伝わって
いるようであった。

「なら、それでいい・・」

っと、その次の瞬間、右側の木々の間から単騎で私たちの部隊に近寄って来る兵士がいた。見ると体中が汗に覆われていて顔はまるで世界の終りを見てきたかのような怖気づいた顔をしていた。

「おい・・そんなに慌ててどうしたんだ?」

リヴァイが問いかけた。

「り・・リヴァイ兵長の部隊でしたか。きゅ・・救援感謝します。」

「あ・あなたは?」

「私は・・信煙弾を打ち上げた索敵班のヘンリー・タイナーです。
いち早く、こちらに向かってくるリヴァイ兵長の部隊が見えたので
状況報告しようと近づきました。」

「分かりました。タイナーさん状況報告をお願いします。」

タイナーはすぐさま自分で状況をしたためたメモらしきものを
懐から出していい始めた。

「ハイ。前方に見えるあの奇行種の巨人は2、3体の普通種の巨人を
引き連れ北東方向からあらわれました。巨人は普通種とはケタ違いの
速さで移動・・私が信煙弾を打ち上げた時にはもう索敵班の防衛網を
突破され後ろの次列六・伝達班を急襲・・」

タイナーはたてつづけに喋りすぎたのかいったん話をとぎらすと
すぐさま呼吸を整えてまたいい始めた。

「その班員はただちに迎撃した模様ですが私たち索敵班がかけつけた時はすでに遅く・・一人の生き残りを残して壊滅。その兵士から事情を
聞くとどうやら巨人は高速移動だけでなくジャンプをして立体起動中の
兵士を次々空中で喰らったそうです・・。」

その言葉にその場にいた誰もがかたずを飲んだ。あのドデカイ巨人が
ジャンプして的確に人間を喰らった・・!?私もいろんな奇行種
と遭遇してきたがそんな巨人は見たことがない。やっぱり今回の
調査は何かがおかしい。

「きょ・・巨人がジャンプだと・・?そんな巨人聞いたことないぞ。」

いつも冷静なリヴァイもこれを聞いて少しばかり動揺しているようで
あった。

「私も最後の一人が丸のみにされている場面しか見ていないのでわかりませんがその生き残った兵士が証言するにはそのように次々と・・」

「そうですか・・タイナーさん。的確な報告感謝します。」

「ああ・・あの巨人は俺たちが殺る。お前はほかに向かっている班が
いれば他の援護に回ってくれと伝えてくれ。」

「了解です・・。くれぐれもご無事で・・・」

そういうとタイナーは隊列を離れ再び木々の合間へと消えていった。

そしてまた間髪いれず新たな絶望が舞い降りてくる。

「リヴァイ兵長!前方奇行種、右側奥に新たに2体の7、8M級と
思われる巨人を確認!」

「ッく・・。どこまでも迷惑な奴らだ。」

更新が遅れてしまい申し訳ありません。