二次創作小説(紙ほか)

Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.15 )
日時: 2013/06/23 22:41
名前: Banira (ID: 1CRawldg)

勢いよく放たれたそのアンカーは巨大樹の幹に深く突き刺さり伸ばされたワイヤーはすぐさま収縮を始める。私の体もワイヤーが縮むにつれて動き、私は巨大樹の枝の上にたった。
すぐさま、巨人に自分の気配を察知されぬよう太い幹に身を隠しながら
巨人の状況を確認する。

見ると、リヴァイが高速で馬を巧みに操り、巨人の周りを旋回していた。私はその動きを見て

(兵長はいったい何をしているんだろう)と

普通、陽動行動ならば私がとった行動のように巨人の視線を
こちらに向かせ、わざと巨人の目の前に踊りでて捕食対象と認識させ
巨人に追いつかれない程度の速さでまっすぐにひたすら逃げるという
のだが・・。

だが、この奇行種の能力を元に考えればリヴァイがしている行動の
意味がすぐ分かった。
それは、この奇行種の特徴的な能力の一つである高速移動を巨人の足元を旋回しつづけることにいってその能力を封じることができる。
それが、分かった時、私はさすが・・兵長であると思った。
それと同時に

(やはり・・リヴァイとの差はまだまだ埋まってないな・・)


巨人は自分の足元をグルグル回るリヴァイを見ながらどうにかして
捕まえようと必死で手をはたくように振り下げては捕まえようと
するが、リヴァイが操る馬が早いために足元あたりに手がきた時には
すでにそこにはリヴァイはおらず風を切るだけであった。


しかし・・・リヴァイの巧みな作戦も私のある些細な行動一つが原因で
簡単に水の泡になってしまった。

突如、枝の陰から機会をうかがっていた私に巨人の手が襲いかかって
きた。

「え!」

バリバリバリィ!

巨大樹が、引き裂かれる音があたりに大きな音となって響く。

私は即座にアンカーを射出して、全開でガスをふかして間一髪、
難を逃れた。

「あの馬鹿が・・・・」

リヴァイは手をおでこにあて呆れた表情でいうと
ブレードを抜き、立体起動の準備をした。




(あ・・危なかった!)

私は、咄嗟に木々の間に身を隠しながら荒れる呼吸を
整えるのに必死であった。

それと同時に、なぜ・・いきなり襲われたのか
思考をはりめぐらす・・。

(っく・・私が少し身を乗り出しただけなのに
それで感づかれたのいうの?それとも後ろにもう一人
いると分かって時期を見計らって・・)

ダメだ。考えれば考えるほどアイデアは浮かぶが
逆に多すぎて混乱して混沌とした。

だがここでずっと考えてもこんな状況じゃ
埒があかない。
これ以上考えても無意味ということを悟った私は
こういう死の瀬戸際にいる時こそ己の直感を信じ
行動にでることにした。

後ろを見るとリヴァイ兵長が今にもブレードを抜き
立体起動にうつろうとしていた。

「おい!ハーブ・・。聞いてるか?」

「へ。。兵長・・。す・・すいません!」

「フン・・・。こうなった以上もう正面から攻撃
しかない。俺が目とうなじをえぐる。お前は腱を
削ぐんだ・・いいな?分かったらただちに行動しろ」

「りょ・・了解です!」

当初予定していた、プランがすべて水の泡となり
リヴァイに皮肉をこめられた口調でいわれ
すぐさま行動をおこさねばいけなくなってしまった。

こっちは、今さっき九死に一生をえたというのに
リヴァイにはいたわる気持ちなどなかったようだ。

アンカーを射出する前にもう一度息を整える。

(でも・・私がまいた種だからしょうがない・
やるしか・・ない!)

歴戦の慣れからか、恐怖という感情は芽生えては
いなかった。あるのはただ倒すという使命感が
ハーブを突き動かしていた。

巨人がちょうどこちら側に背を向けた時に
私は自分の装置のアンカーを射出した。

勢いよくはなたれたアンカーは巨人のふくらはぎに
突き刺さった。

それを支点として私は枝を思い切り蹴ってガスを吹かす。
まるでジェットコースターが勢いよく落ちるように
して猛スピードで私の体は降下すると、今度は地面
すれすれを滑空した。

その時、突然巨人はそんな私に気付いたのか慌てて振り払おうと回り始めた。

「っく」
突如として私に大きい遠心力が襲いかかってきた。
しかし、アンカーはまだしっかりと突き刺さっている。

私は巨人の回る遠心力により振り落とされようとしながらもどうにか手を後ろにまわしガスの出力装置を全開にすると全力で吹かした。
すると今まで遠心力に負けて縮まなかったワイヤーが
アンカー目指してまた縮み始めた。

そして,いよいよフィニッシュが見えてきた。
私はもう一度ブレードを構えなおすと

「食らえっ!」

勢いよく右手と左手のブレードを振り抜き
巨人の腱を削いだ。

そして猛スピードで巨人の股の下をくぐり抜ける。

グサァ!!

削がれたと同時に紅い血が撒き散らかされた。
いきなり、自分の体重を支える腱を削がれた
巨人は

「グアアアアアアァ・・・」

と叫び声をあげた。これを聞いて殺ったと一瞬私は確信
した。

「兵長!これで動きは.....とめ...!」

そう言おうと振り返った時、本来の奇行種なら片足の
腱を削いでしまえば倒れて後はうなじを削いでしまえば
終わりなのだが、あろうことかこの巨人、最後の足掻き
なのかもう一足の方に体重を全部かけるとなんと
ジャンプしはじめたのであった。

「マズイ!今、上には兵長が!」

そう.その時、巨人の真上には目を攻撃しようとちょうど
リヴァイが立体起動をしていたのだった。
聞いていた通り、この巨人は伝達班を喰らった時と
同じように、ジャンプして空中でリヴァイ兵長に
噛み殺そうとしていたのだった。

私は間に合うかどうか分からなかったが口を塞ごうと急いでまたアンカーを巨人の胸元めがけて右側のアンカーを射出した。

狙い通り、アンカーは胸元に刺さり体はまた浮き始める
浮く過程でガスを吹かし加速するそして一瞬で巨人の腹あたりにくると今度はもう一方の左側のアンカーを下顎を
めがけて射出した。そして、2、3歩巨人の腹をほぼ垂直
状態の中走ってまたガスを吹かし加速した。

その腹から顎下へうつる最中に

(り...リヴァイ兵長!!)

私は俯き無事を祈った。

しかし...そんな心配は無用であった。なぜなら突然・・・

「グアアアアアアァ!!」

またもや、巨人の悲鳴が轟いたからである。

「何...!?」

私が慌てて上空を見上げるとそこには刃が突き刺さった
目を抑えながら、叫喚する巨人とその頭の上でいつも通り
のクールな表情をしながら立つリヴァイの姿があった。

見た感じリヴァイは真下から突然食らいつこうとしてくる
巨人に物怖じすることなく自分の両手に持っていた
ブレードをまるで手裏剣のように空中で巨人の目を目掛けて投擲したらしかった。そして見ての通りブレードは
見事に目を射抜いていた。
さすがの一言に尽きる。そんな芸当できるのは、調査兵団
ではおそらく、リヴァイとエルヴィン団長であろう。
私には到底無理なことである。

そういう事をまた平気でしてしまうところがリヴァイの
凄さだった。

そしてリヴァイは、何事もなかったように言い放った。


「フン....静かにしろ・・・。じゃねえとお前の肉を綺麗に
削げねえだろうが...」

その声を聞いた瞬間.一気に安心感が湧いてきた。

(よかった....)

そして、私も目的通り巨人の下顎につくと
下顎から思い切りブレードを刺しこんだ。

グサァ!!

すると、感触的にはどうやら上顎と舌を貫いたよう
だった。

巨人はもう一度悲鳴をあげた。

そして、口、足、目とすべてを封じられた巨人は
倒れ始めた。

私は急いで巨大樹の枝に射出してその場を逃れた。

頭上にいたリヴァイは、目からブレードを抜くといったん
頭上から飛び降りると空中で180度回転して倒れゆく
巨人のうなじにアンカーを的確に射出すると、自身は回転
しながら...

「これで...終わりだ...」

グサァ!!

うなじを綺麗にえぐり取った。

そして、倒れた巨人の上に降り立つと、すぐにうなじを削いだときに手にかかった血を見て言った。

「っち....きたねえなぁ...」