二次創作小説(紙ほか)
- Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.18 )
- 日時: 2013/07/13 20:34
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
鮮血で濡れた両手を見てリヴァイはポケットから真っ白なハンカチ
を出すとすぐにそのハンカチでぬぐいはじめた。
そんな、重度の潔癖症ともいえるリヴァイをよそに私は急いで
退避した巨大樹の枝から降りるとそのリヴァイに向かって小走りで
歩み寄った。
「兵長・・!」
「あ・・?なんだ?」
血をきれいにぬぐいとるのに夢中であったリヴァイは突然、横槍を
入れられたせいか、不機嫌な表情をして言った。
しかし、そんなリヴァイとは正反対に私の心は軽率な自分の行動で
重大な事態になりかねない状況を作ってしまったことに悔いていた。
「す・・すいませんでした!私が、身を乗り出しすぎてしまったばっかり
に状況を混乱させてしまい・・兵長に迷惑をかけてしまって・・」
私は、兵長の怒号を危惧してうつむき加減で低い口調でいった。
(ああ・・。また自分のせいで失態を招いてしまった。これで一体
何回目だ!そのたびにエルヴィンやリヴァイから毎度こっぴどく
叱られてきたというのにまただ・・。分隊長になった今でも・・・
外面はよくなっても、内面は全然、新兵時代から成長してない
じゃないか)
しかし、リヴァイからかえってきた答えは予想だにしないものであった。
「お前、そんなこと言うために俺に話しかけたのか?」
「えっ?」
予想外の答えに私は一瞬驚いてしまった。下手したら兵長の命を
落としかねなかった重大な事態を作ってしまったのに、怒ってない!?
「だから・・何故そんなことをいちいち俺に言うんだってことだ。お前はもう分隊長だろ・・?戦場での
ことは一番お前がわかってるハズだぞ・・。
それがまだわかってないなら指揮官には向かない。
部下が無駄死にするだけだ・・」
「・・・・」
私は、そのリヴァイの言葉に圧倒され言い返せなかった。なぜなら、その言葉一つ一つが見事に今の私の
欠点をついたものだったからである。
(指揮官には向かない・・か。)
今年に入って私はめでたく分隊長に任命され始めて
部隊を任され、部下を持って、指揮をする側になった
のだがそれ以来、いかにして部下を死なさずうまく動かし戦果をあげるかを意識するようになってしまい
もし、指示ミスをしてしまって部下を私のせいで
死なせてしまったら・・とばかり思うようになって
いた。
そうなって、私は指揮官としてある大事なことを
頭の隅に追いやってしまっていた。
少しの失敗にでさえ自分を責めその感情にとらわれて
いるといざという時、その失敗が大きな失態へと
つながってしまいより多くの兵を無駄死にさせて
しまうことを・・
そういえば、訓練兵時代、教官のキースから
よく言われていたことを思い出した。
「戦場で冷静さを欠いた指揮官など無能だ。」
全く、今の私を体現した言葉であった。
そうだ、私は、心の中ではびこるいろんな感情に
とらわれ冷静さを外面だけで装っていただけなのだ。
本当の指揮官とはどんな絶望的状況でさえ、内面から
冷静さを失わず的確な指示をだせる人のことを言うの
だと。