二次創作小説(紙ほか)
- Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.22 )
- 日時: 2013/07/31 21:29
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
「ハーブ分隊長!!と…トロスト区の壁が見えてきました!!」
「な…なんで…こんなことに…」
部下の指さす方向を見て、一同は目の前に広がる風景を見て絶句した。
そこには、いかにも絶望という言葉で表すのにふさわしい惨劇が
広がっていた。
壊されたトロスト区の大門から悠々と入っていく大小さまざまな
人類の≪天敵≫である巨人、そして街の状況はウォール・ローゼに
阻まれて見えなかったがしっかりと無数にトロスト区のあちこちから
立ち上る黒煙の数々ははっきり確認することができた。
そして、調査兵団の兵士を連れて一番先頭からみるその光景は
ハーブの心にも動揺という陰りをちらつかせていた。
それは何を隠そうハーブは憲兵団の早馬からトロスト区崩壊の報せを
聞いて壁外調査に赴いていた調査兵団内の精鋭を集めて組織された
先発隊の全権を委ねられていたからである。
ハーブは一度、冷静にならねばと一度大きく深呼吸をしてから
最初の指示を出した。この状況では当然のごとくいかにして指揮官には冷静に的確に判断を下せるかがものをいっていた。
「ぺトラ、応戦にあたっている駐屯兵団の状況をよみあげてください。」
ハーブは自分のすぐ右側にいる調査兵団でもハーブにつぐ有数の女性
の兵士として活躍している精鋭、ぺトラ・ラルに指示をした。
「ハイ、駐屯兵団内での精鋭によって組織された先遣隊は全滅…
その他、熟練兵士を主な構成とする前衛班もほとんど壊滅状態だと
いう知らせです。今は、訓練兵によって組織された中衛班と一部の
精鋭による後衛班が必死に防戦をしているようですが被害は図り知れないとのことです!!」
「く…事態は思う以上に深刻なようですね。しかもまだ実戦経験も
間もない訓練兵まで動員してるなんて…」
「ぺトラ、駐屯兵団全体を指揮してる人物は誰ですか?」
「えっあ・・はい。」
ぺトラは予想外のことを聞かれ、慌ててもう一度伝えられた情報が
載っている紙を懐から出していった。
「キッツ・ヴェールマン隊長です。」
その名前を聞いてその場にいる先発隊の全員が驚く。
なぜなら、キッツの指揮官としての無能さは駐屯兵団内のみならず
調査兵団にも広く知れ渡っているからだ。
「ったく…あの小鹿男。精鋭を全滅させておいて貴重な新たな人材で
ある訓練兵まで前線で戦闘に参加させるなんて一体どんな命令を下し
てるの…!?ピクシス司令はこんな非常時だっていうのにまだ中央から
到着してないというのですか…!?」
突然、ハーブは少し前の何事にも動じないような顔つきから一転
うつむいて取り乱しはじめた。それは周りからみても驚きの変わりようであった。でもそれにはある理由があった。今、訓練兵が否応なしに動員され巨人と対峙されていると聞いて突然あの日のいまいましい記憶が脳裏をよぎったのだ。
それは今ととてつもなく同様である出来事…5年前のシガンシナ区陥落
の時の記憶である。あの時、ハーブ・ヴィルナスは卒業をまだ間近に控えた訓練兵であった。3年間の厳しく苦しい訓練を終え、一人前の兵士として駆け出そうとした時に突然それは起こった。
そう、人類の100年という長き安寧が突如として崩れた絶望の淵に
叩きのめされたシガンシナ区陥落である。
その時も今と同じく、駐屯兵団の精鋭は全滅。その補充として大勢の訓練兵が動員された。・その中の一人に
ハーブもいたのである。逃げ惑う一般市民の盾となって、無謀とも
いえる訓練兵の突撃は多くの犠牲をだした。
ハーブはなんとかそのさなか生き残ったものの多くの友人を失ったのだ。
その時、ハーブはこの作戦を強行した駐屯兵団の司令部を恨んだ。
「は…ハーブ分隊長!落ち着いてください。今はあなたの指揮が
一番大事なんですから!!!」
不自然な動作で明らかに取り乱したハーブを見てぺトラが
制止する。
その声によって、ハーブはふと我に戻った。次々とやつぎばやに
伝わってくる被害状況に冷静を保ったように見えた心が無意識の内に
動揺というものにむしばまれていたのである。
ハーブは酷く後悔した。なぜなら、一度、情報におどらされないと
決め込んだのに簡単に翻弄され心を取り込まれてしまったいたからだ。
「ご…ごめんなさい。こんな時こそ私がしっかりしないといけないのに」
