二次創作小説(紙ほか)

Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.30 )
日時: 2013/10/31 22:10
名前: Banira ◆QEUQfdPtTM (ID: 1CRawldg)

(また…まただ…俺はまた一人、仲間を見殺しにして…)

ジャンは、赤く染まる夕日を背に向け左手でブレードを強く握り
右手はそっと額にあてながら自分の愚かさを嘆いた。

自分の命を惜しむあまりに、招いてしまった同僚の死。
巨人から一人が身を命を守ろうと逃げるたびにその代償とでもいうべきなのか失われていく他の誰かのもうひとつの命…。

この壁の中では5年前のあの日から絶えず、そのサイクルが続いている。

そう、今まさに、ジャンの命の引換えとともにコニーの命が失われ
つつあった。




「サシャ!待ってろ!今、俺が助けてやるからな!」

コニーは、巨人の気をそらせようとアンカーを射出する向かいの
建物を確認しながら、サシャを少しでも元気づかせようと
大声を張った。

しかし、その心の中では

(俺は…もう死ぬんだよな…。短い人生だったな…。)
と必然的にもうすぐ訪れるであろう自らの死を悟っていた。

(母ちゃん....ごめん....俺...何も..恩返しできなかった...)

そして、脳裏に家族の顔...故郷ラガコ村での幼き日々の
記憶がよぎる...。永遠に続くと思っていたあの日々は
もう戻ってくることはない。
しかし、そんな数秒というわずかな感傷も目の前の
景色を見てはすぐに覚め上がった。

そして、コニーだって本当は思っていた。死にたくないと。
だが、ここで誰かがやらねばもっと人は死んでしまう。

だから、その命を守るために戦うんだと。

(せめて...最後だけは...男らしいところ見せなくちゃな。
だって...命を捨てる覚悟は...3年前のあの日に誓ったから!
)

コニーはブレードを手に取り、叫んだ。

「巨人ども、こっちを振り向きやがれぇえええ!」

「コニーィィィィ!」

ジャンも涙ながらに、叫ぶ。だが、その声は虚しくも
コニーの耳には届かなかった。

だが、その声を背にして

コニーは、右足に全体重をのせ最後の一歩を踏みしめると
アンカーを巨人のうなじめがけ射出した。

一直線に射出されたアンカーは綺麗な弧を描き
見事にうなじに刺さったのであった。

そして、コニーの体は吸い寄せられるがごとく
引っ張られ始めうなじへと向かって行った。

「ウォオオオオオオオ!」

そのまま、体は自然とブレードを振りかざす態勢に
入りいよいよ巨人とあいまみえる瞬間はすぐそこだ。

だが、その時であった。突如、全くの反対方向から
アンカーが伸びて来たのである。そして、間髪いれず
そのアンカーが伸びて来た方から緑色の閃光が走った。

「!!」

そして、その閃光は恐るべきスピードでアンカーが
うなじに突き刺さると同時にコニーの狙っていた
うなじを抉った。

それと同時に血しぶきが舞い上がり、コニーの視界
めがけてとんできた。

「ま・・・まずい!」

コニーは無意識の反射でうなじに刺さっていたアンカーをはずしもう一方のアンカーを慌てて射出し軌道変換をするとどうにか、危機は回避した。

建物の屋根につくと同時にコニーは咄嗟に後ろを
向く。

そして、巨人の悲鳴を聞いたのはほぼ同時。

「グァァァぁぁぁぁ!」

突如として、あたりに響き渡るつんざくほどの
断末魔。

コニーは思わず耳を塞ぎ、目をつむってしまった。

その後、巨人の悲鳴が叫び終わるとコニーは目を
見開き目の前の景色に驚いた。

「い・・・一体何が!」

何と、ついさっきまで自分が倒そうとしていた
巨人はうめき声とともに倒れ蒸発を初めていた。
そして、自分の目の前に忍び寄り駆け抜けた閃光は
緑のマントを来た人間であることが分かった。


そのマントを背にかけた人間は、今、まさに2体目の
巨人を狩ろうとしていた。

そして、そのマントに彩られたマークを見てコニーは
その人間を理解するのであった。

「あ...あれは!自由の翼。。そうか、調査・・・
兵団・・・か」

コニーは、芸術といえるほど洗練された調査兵団の
立体起動に見入った。

その兵士は、巧みな操作で巨人の好きにさせず
空中で、必死にはたこうとした巨人の右手を咄嗟に
かわすとその勢いで右手の指を削ぐと、そのまま
ガスを吹かし、華麗な刃裁きで右目、左目をえぐると
まるで、巨人を飼い慣らしたかのようにわめく
巨人の頭におりたった。

思わず拍手をその場で送りたくなるほどの立体起動。
コニーの目は思わず釘付けになっていた。

そして、あとはうなじをえぐるのみとなった時
突然、むかいの建物から声をかけれた。

「コニー、悪かったな。」

コニーはその声に、ふとわれに帰り声の聞こえたを見るとなんとさっきまで怖気づき、憔悴しきっていた
ジャンであった。

ジャンは、コニーにそう言い残すと自分がやらねば
とばかりに

「サシャ!」
と叫びアンカーを射出し、サシャを救出しようと
飛び降りた。

どうやら、調査兵団の兵士はコニーが見ていた兵士
だけではなく、もう一人いるようですでに一番奥の
巨人も討伐されており残るは、ちょうど今、人間の
支配下に入り討伐されようとしているあの巨人のみ
であった。

サシャは、一歩ずつ身に振動してくる巨人の足音に
おののき、身をかがんで頭をうずくまった態勢で
いたが、突然の自分を呼ぶ声に顔をあげると

「ふぇ・・・」

「動くな。じっとしてろ」

体をジャンにだきかかえられそのまま命の危機を
脱したのであった。

「さ・・・三人、生きて戻れてよかったな」

コニーがいう

「あぁ・・・あの人達に感謝しなくちゃな。」

「あ・・・あの!?すいません・・・私の失態
ばかりに・・・」

サシャは急に恥ずかしくなり、屋根に降り立つと
急いでジャンから離れた。

「ばーか。本当に助けたのは俺でもあそこにいる
コニーでもねぇ。礼ならあの人たちに言ってくれ。」

「そうだよ。実質、俺は何もやってないしよ。
サシャ、ホラ、あそこ見てみろ。」

「えっ!?」

サシャはジャンが示した方向をみると、そこには
調査兵団の姿があった。

「あ・・・あれは・・調査兵団!?そんな・・
今朝、壁外調査にでていったはずじゃ..な・・なかったんですか?」

「そうだ・・・。だが、どういうわけか知らんねぇが
俺達、あの調査兵団の人達に助けてもらったようだ
しかも、二人の女性の兵士にな。」


「な・・・なんと・・・」

「サシャ、巨人どものあわれな最期ってやつを
みせてもらおうぜ。」

それは、104期訓練兵がはじめてみる幾多の人間の
いのちを奪ってきた巨人が人間によって命を奪われる
瞬間であった。

かねてより、巨人の最期は聞いてはいたが
間近でしかもしっかりと見るのは初めてである。

3人の若き訓練兵の目が釘付けになるなか、

そして、巨人に裁きの鉄槌が落とされる瞬間が
やってきた。

「これで、最後のようね。」

調査兵団の兵士は、巨人の頭から飛び降り、空中で
半回転するとアンカーをうなじに叩き込んだ。

そして、引き寄せられる力を利用し自身は回転した。

やることなすこと、一瞬、一瞬が訓練兵にとっては
新鮮であった。

そして、そのまますごい速さの回転で

グサァ!

まさしく、快音とよぶにふさわしい音とともに
うなじをえぐりとり、巨人の鮮血が溢れた。

女性兵士は、抉りとった巨人の体から素早く去ると
ジャンとサシャ・・・コニーの横に降りた。

すぐ、その後ろにはもう一人のえんじ色をした
その兵士の部下とおぼしき女性兵士もやってきた。

「ハーブ分隊長。まわりに、巨人の姿はありません。
もう、他の班にも撤退命令を出してよいかと。」

部下である兵士が言った、分隊長と言った言葉に
3人は凍りついた。

紛れもない、自分たちを救ってくれたのは
あの人類最強の戦士として英雄のリヴァイのブレーン
にして、女性としては史上最年少で分隊長まで
のぼりつめたあのハーブ分隊長ことハーブ・ヴィルナスであった。

今や、その名前は訓練兵団内では知らない人はいないといわれるまでであった。

「了解。ペトラありがとう。」

そういい終えると、ハーブは前を向き3人に向かって
話し始めた。

「3人とも、怪我はない?」