二次創作小説(紙ほか)
- Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.33 )
- 日時: 2013/11/02 23:41
- 名前: Banira (ID: 1CRawldg)
私が、呼びかけに対し目の前にいるあどけない3人の訓練兵は私に、緊張しているのか、たどたどしい言葉でいい始める。
「ハッ!だ…大丈夫です!」
兵団の敬礼で、おどろおどろに言ったのはリーダーで
あったジャンであった。
それに、後ろのコニーとサシャも敬礼のポーズをして続いた。
「その様子を見ると、みんな大丈夫そうね。とりあえず、みんな無事でよかった。」
「はい...」
訓練兵たちに、なにもなかったと分かるとハーブとペトラもひとまず息をつくと、胸をなでおろした。
その場にいた、誰もがもたらされたほんの束の間の
安寧に身を委ねた。
そして、一秒でも長くその時間に浸っていたいという
人間の心理が働く。
「でも、ど...どうして、調査兵団の方たちがここに...
調査兵団は今朝、壁外調査にいったはずじゃ...」
「あぁ、そのこと?実は私達はトロスト区
崩壊の
報せを聞いて、調査兵団のエルヴィン団長の緊急命令で組織された先遣斑なの。それは、あなた達訓練兵や駐屯兵団兵、市民達をいち早く救出しそして、巨人どもの討伐の応援のためにね...それでその先遣班の
指揮を任されたのが私でトロスト区内の各地に班別に行動させて他のあなた達の仲間の救出や応援のために展開させたの。もちろん私とこの私の部下のペトラ・ラルもね。
っで、たまたまその移動中に巨人に取り囲まれていた
あなた達を見つけて・・・ってこと。」
「あっでも、私には感謝しなくていいからね。
感謝するならあなた達をいち早く見つけて、私に知らせて
くれたこっちのペトラに...」
「そっそんな!私なんて、全然...!みんな、私に感謝は
いらないから!するなら、ハーブ分隊長にしてね!」
「ったく、ペトラったらいつも、遠慮深いんだから...
貰えるものはもらっとかないと、いつか後悔するよ。」
「もう...ハーブ分隊長ったら...やめてくださいよ...!
こんな、訓練兵たちに前で..!」
ペトラは.恥ずかしさのあまり、顔を赤くさせていった。
「ハハハ!みんないきなりごめんね。このペトラったらこういう性格だからねぇ。昔っから損ばかりで、手の焼ける
部下だから。」
「あーもう!ちょっとは、私の身にもなってくださいよぉ!いじわるなんだから...」
そんな、漫才のような二人をしりめにして、浮かれた
ハーブとペトラを現実に連れ戻すかのように
「でも、ほ...本当に..,ありがとうございました。そうじゃなかったら俺達も今頃…」
ジャンは深々と礼をする…。そして、ペトラやハーブの
明るい表情を見て、今まで自分達を蝕んでいた、それまで張りつめていた空気、死と隣り合った状況からの解放を
実感し安心したのか、ずっと堪えていたものを吐き出す
かのごとく
ポタリ.....と
一筋の涙が目からこぼれた。
したたり落ちたその滴はしずかに地面を濡らす。
でも、何故だかその涙が顔を滴り落ちる時、ジャンは
あたたかい感触に触れた。だが、おしよせてくるのは
自責の念ばかりだ。
見ると、後ろのコニーはうつむき、サシャの目には
涙があふれ声を上げ泣いていた。
それは、勇敢に戦い先に逝ってしまった仲間たちへの
思いがいっきにあふれてのことだった。
そんな、訓練兵達をみて察したのか、明るい表情から
一転して、ハーブは包むようにして話しかけた。
「私も…あなた達の思ってることは分かる…。
だって、今のあなた達の境遇を見るとまるで昔の
自分を見ているようだから…」
「えっ…」
≪自分に似ている≫というハーブの言葉を聞いて
ジャン達は驚いた。
似ている…とはどういうことなのか。
「私は、今年で調査兵団に入って5年目になるんだけどね。5年前の今頃は、私もあなた達と同じで、
3年間の養成を終えてそれぞれの兵団への配属を控えた一人の訓練兵にすぎなかったの…」
「5…5年前の今頃って…まさか…」
「そう。5年前の忌まわしい出来事…。シガンシナ区
が巨人に襲われた時…。私たち第99期訓練兵団は
シガンシナ区の防衛と奪還のために駆り出されたの。
だけど、その時は今と違って本当に巨人に襲われるなんて思ってもみなかったから、突然の目の前の出来事に
駐屯兵団の上層部は混乱しちゃって、急遽駆り出された
私達、訓練兵は具体的な指示も得られぬままやみくもに
ただ、突撃を命じられた。結局、何もかも失敗に
終わって死者をいたずらに増やしただけだった。
そして、その時....私はね、巨人に食べられて行く
仲間を見て憔悴しきってパニックになった。
それで、撤退する時に、仲間の死を受け入れられない
ばかりに足でまといになって、巨人に襲われそうに
なったの。その時....身を呈してある調査兵団の兵士の
人が庇ってくれた...。だけど、その人は私をかばうあまり死んでしまった。そう、私は嘆きすぎてしまった
あまり、人をもっと死なせてしまった。」
「だから、分かるの。あなた達が今日、心に受けた
仲間や家族を失った悲しみ。そして、誰も守れず
生き残ってしまった罪悪感。後悔…無念…自分のせいで
仲間を死なせてしまったという自責の念。すべてね。。」
思いもよらない、ハーブの言葉を聞いてジャン達は
自然と涙が止まって、自然と心の内で思っていた。
何も、自分たちの代だけがこのような経験をしたのではない…と。それは5年前に今の自分たちとまったく同じ経験をして、乗り越えた先輩たちがいること、分隊長の壮絶な
過去を知って。
「でもね。そんな私だけど、あなた達に今、伝えたいことが
あるの。それは、戦場では仲間の死を嘆いていては
駄目だということをね。あくまで活動の間だけ。
後悔するなら、プライベートでいつでもできる。
でも、戦場ではそれが命取りになりかねない。何より
あなた達に私と同じ思いしてほしくないから。」
突然言われた予想外の言葉に動揺してなにも言い出せない訓練兵を見てペトラがハーブの言ったことに言葉を足す。
「何を言ってるんだって思うかもしれないけど・・。
ハーブ分隊長の言ったことは本当の事なの。
死んでいく仲間を見て、嘆かないなんて人間の本質として考えられないことだけど、生と死が入り混じる戦場では逆に…そう…血も涙もない人間にならないと
まっさきに死ぬことになるのは自分になる。
だから、私たち調査兵団ではね。新兵たちにこう
うるさくこう言ってるわ。仲間の死を嘆く暇が
あったら一体でも多く巨人を狩れってね。訓練兵の
あなた達には無理なことかもしれないけど、
戦場っていうのは人間がそうならないと駄目な
所…。あなた達にも将来、いやでもそのことが
わかる日がくるから、今、そのことを覚えてほしかった。辛いのは分かるけど…ごめんね。」
