二次創作小説(紙ほか)

Re: 進撃の巨人〜外伝〜 とある一兵士の見た世界 ( No.38 )
日時: 2013/12/27 21:25
名前: Banira (ID: 1CRawldg)

「なんだ、みんな先に戻ってたのね。」

「あぁ、ハーブ分隊長でしたか、お疲れ様です。」

調査兵団の兵士達は、ガス交換をしていた手を止め戻ってきたハーブを
出迎えた。

一様に、こちらに向けてきた顔を見てハーブは、今ここにいる部下は一人も欠員がいない事を確かめるとハーブは心の奥底で、少し安心した。

「この様子を見ると、みんな無事なようね。あれ?でも、まだ、マチルダ達の班が帰ってきてないようね。誰か知ってる?」

「あぁ、そういえば、俺たちが任務を終えてここに戻ってくるときに
負傷した新兵を抱えて内地に護送してるのを見ましたよ。」
と、すぐ様に答えたのは一班の班長をしていたエルド・ジンであった。
彼もまた、リヴァイに選ばれた特別作戦班、通称《リヴァイ班》の
一員であり、この中では群を抜く実力者の一人でもある。

「そう、分かったわ。内地に行ったのなら安全だし、もうすぐ帰ってくるわね。これで、再編する必要なく行動できるわ。みんな、手間とらせてごめん。各々補給作業に戻っていつでもまた、すぐ出撃できるように準備しといてください。これから、先まだ長いからね!」

「ハイ!」

そういうと、部下たちはまた、それぞれの作業へと戻っていった。

「じゃあ、私たちもすばやく、ガスを補給しちゃいましょう。」

「そうですね。」

その様子を見届けるとハーブとペトラも二人も、ガスの補給をするために補給タンクへと足早に行く。
見ると、建物の損壊こそ著しいもののそれに比べ兵士達の生命線とも
言えるガスの満載しているタンクは、一部を除き傷一つなく健在で
あった。

そのことから、補給兵が恐怖のあまり閉じこもってしまい、補給ライン
が断たれながらも意地でも守り通そうとした駐屯兵や新兵達の頑張りが
現れている証拠でもあった。それは、ちゃんと調査兵団にも受け継がれていることを示すことにもなる。

そして、これからの長期戦を考えると、その数は十分でありガスに限ってはこの場所が更に、巨人たちに襲われて使用不能にならない限りは
大丈夫そうである。

ペトラは、立体起動装置からカートリッジ式であるガスボンベを
取り外すと手を拳にして、そのガスボンベを叩いた。

コンコン・・・
すると、ハーブとペトラ二人の間に以下にもガスボンベ内にあった
ガスが少なくなっていたかを現すかのように鈍く乾いた音がこだまする
のであった。

「いやぁ、正直心配してはいたんですが、ギリギリでしたね。
危なかったです。」

ペトラが、ほっとした声でいうとつられるように同時にハーブも自分のガスボンベを取り外し叩くと同様に同じ音がした。

「確かに、よく持ってくれたと思う。だって、私たち壁外調査から
そのままだったからね。特に、私の場合、新型奇行種が現れてその討伐をするのにガスの噴射全開にしちゃって、壁内に入ったときはもう
メーターが半分切ってたから少し焦ったよ・・・」

そして、二人とも補給タンクから伸びているホースの先端を自分の
ガスボンベの挿入口に接続して、ストッパーを解除するとみるみる内に
下がり続けることしかなかったガス残量を表すメーターが、上昇していくのであった。
その事を、無意識に確認すると二人はまた、話を続けた。

「そのことなら、オルオから聞きましたよ。何も、ジャンプする巨人が現れたとか・・・。」

「そうそう。初めて伝令からジャンプする巨人が現れたって聞いた時は
驚いたわ。さすがに、私の屈強そうな部下たちもすぐ形相を変えちゃって怖気づいちゃって・・・。まぁ、でもすべてにおいていつも達観してるおられる兵長様は鉄仮面のように表情ひとつも変えなくて、ただ
淡々と次から次に入ってくる情報を聞いている姿を見て別の意味で
改めてこの人には、逆らえない・・・って認識させられたのよ。」

「さすが兵長ですね。私も、笑ってるところなんて見たことないし・・」

「兵長って、私と違って本当に性格が真逆な人間だから・・・」

そして、その後は、ハーブがその奇行種との戦闘でドジってしまった
ことや、実際にジャンプしてみせた奇行種に対して見せた兵長の芸当。
発掘した新しい逸材、「セダ」のことについてなど、与えられた数少ない時間の中でハーブは兵長に対する愚痴も少々いれたり、尊敬の念も
いれながら手短に起こった出来事、ありのままを述べてペトラもそれに
食い入るように聞き入って《戦場のガールズトーク》がしばしの間
展開されるのであった。

「まーた、やってるよあの二人・・・」

「本当に、女性っていうのは、すぐ話に没頭して周りが見えなくなるん
だから困ったもんだよなぁ」

「うん、まったくだ。あの状況じゃ、次の伝令がくるまで終わらねぇなよ。」

「あぁ・・・。俺たちは今は蚊帳の外ってわけだ。まぁ、仕方ない
分隊長も日々、いろんな事でストレスを感じてるんだ今はそっとして
俺たちはブレードの手入れでもしようぜ。」

「そうだな・・・」


もちろん、他の男性の部下は男子禁制のごとくただ黙ってその様子を
見ていることしか、許されなかったことはいわなくてもわかっていた。

※ ※ ※

ガールズトークも終わり各々、補給を終えていつでもすぐに出撃できる
準備を終えた時、あとは到着の遅れているマチルダ率いる3班を
待つだけであった。

それにしても、遅い・・。ハーブは腕を組みながら沈みゆく夕日を
見ながら外を眺めながら思っていた。

私達が、ここについたとほぼ同じ時に、先に到着していたエルドから
内地に向かったという報告を聞いてから、もうおそらく20分は経っている。

安全な内地に負傷兵を抱え向かったという情報から、途中で巨人に襲われたという心配は無いものと考えていいので、トロスト区からウォール・ローゼ内地にいく間に何か起こったというよりは、ウォール・ローゼを超えて内地に入ったあとに何か問題が起こったと考える方が予測できうる事であった。

「それにしても、マチルダ達遅いですね。何かあったんでしょうか?」

さすがに、しびれを切らしたのかエルドがハーブに問いかける。

「うーん。少なくとも巨人に襲われたっていうことはなさそうだし、内地に入ってから何かに巻き込まれた
って考えるのが一番よさそうね。」

「確かに、ただでさえ内地はトロスト区からの避難民
そして負傷兵で溢れかえって混乱していますから、
そこで混乱に巻き込まれたと考えてもおかしくない
ですね。しかし、日没もせまっていますし、我々の
活動できる時間も限られています。なんなら、
私がすぐに様子をみてきますが・・?」

エルドは、右足を手前に一歩歩み寄って言う。
それに対しハーブは

「いや、その必要はないわ。今、ここであなたを
送り出してあなたまであの内地の群衆の中に巻き込まれてしまっては、それこそ、私達、調査兵団の活動に
支障がでてしまう。あと10分、10分待って帰って
こなかったら、ただちに再編して新たに行動を起こした方が得策だと思う。」

「ですが、分隊長。残されたマチルダ達は、どうしますか?きっとあいつらのガス残量ももう余裕はない
と思いますが。」

「その事なら、マチルダ達を発見して合流した次第に
ここの本部での補給と待機命令を出して、見張りをやらせるから大丈夫よ。」

「了解しまし_____!?」

エルドが、納得しそう言いかけた時であった。

ドォォォォン!

突如として、遠くから鳴り響いた大きな爆音がその言葉を割いて、平穏に包まれていたその場の雰囲気を
引き裂いたのである。

あまりのその爆音の大きさに、音源地から発せられた
すさまじい振動により半壊状態の本部は揺れ、その場にいた全員が耳に違和感を覚えた。

「い・・今の爆音は何!?」
ハーブは、耳を塞ぎ声を突然の出来事に動揺しながらも声を挙げる。

見ると、周りの部下たちも同じ姿勢でキョロキョロと
周りを見ているのであった。

そして、その中の一人が動揺して震えた手で外を指しながらその原因を指差して報告した。

「ぶ・・・分隊長見てください!内地から大きな
煙が上がっています!」

慌てて、その声につられて割れた窓に駆け寄り
手が指し示す方向を見れば、まさしくその通りに
大きな黒い煙が壁を隔てた向こう側で黙々となびいていたのであった。

「な・・・なんで内地から?あの中にはまだ、大勢の
人たちが!」

「一体、どうなっているんだ!?」

今日という日は、まったく予想外という出来事に
翻弄されまくりだ。
一体、神は何度、人間に試練を与えれば気をすんでくれるのだろうか。

その中でも、ハーブは感情を押し殺しいたって冷静でいようとするが、こんな次々とおこってはもう精神も
持ちようがなかった。
しかし、そんな中でも分隊長らしくいないとならない
のは必然の理であった。
「ぶ・・・分隊長。もしかして、内地にも・・・」

その先の言葉は言われなくても、その場にいた全員が
わかっていた。こういうひっ迫した時の以心伝心ほど
怖く不思議なものはない。

「そんなこと信じたくないけどまさかね。。だとしたら・・・」

「避難民、負傷兵・・そしてマチルダ達が!」

一番、マチルダ達3班の身を案じていたエルドが
声を荒げる。

こうなった以上、いくら優柔不断でも即決である。
しかし、その事をハーブ自身が言葉で表す必要はなかった。

それを悟ったかのように、兵士達はそれぞれ外していた立体起動装置を装着しに戻っていく。

そしてまた、その時である。伝書鳩のように新たにまた新情報を持った人間が現れた。

その人間は、調査兵団の証である緑のマントを
なびかせてまるで突撃するかのように立体起動で
割れたガラスから飛び込んできた。

その時、蹴破った反動で前の衝撃で割れ残っていた
窓ガラスが新たにあたりに飛び散り、その中を
身体が通り抜け、石でできた床に体勢を斜めにして
着地すると、そのまま身体は地面を滑った。

その近くにいた、ペトラは思わず身をかかげる。

しかし、その人物はすぐに起き上がると開口一番に
「分隊長!分隊長はおられますか!」

ハーブを呼ぶ声を発した。しかし、その声にいち早く
こたえたのはハーブでもない、エルドであった。

「マチルダ!お前、無事だったのか!」

マチルダは、予想外の人物の声に一瞬、肩をぴくりと
させたが、エルドと確認すると安心したように、
自分の健在さをアピールした。

「なんだ、エルドか!俺ならこのとおり全然大丈夫だ!それよりも、今は分隊長に話が!」

「分隊長なら・・・」

エルドが、ハーブの場所を指さそうとすると
ほぼ同時に、奥からハーブが姿を現した。

「ここよ。」

「おお!ハーブ分隊長!遅れて申し訳ありませんでした。」

「マチルダ⁉︎無事だったのね。よかった...。内地に向かった
って聞いたから、てっきりあの爆発に巻き込まれてたら
どうしようと心配してみんなで向かおうとしてたところ
よ。ところで、他の3名は?」

「ハイ..もちろん無事であります!しかし、今は向こうに
おり、避難民の誘導にあたっています。何せ、突然のあの出来事で混乱が更に広がってまして..」

「無事なら.よかったわ。これで、全員一人も欠けることなく次にむかえられる。それが確認できた以上次に気になることは内地で突然起こったあの爆発...。マチルダ、その事を
急いで報告するためにそんなに息を切らしてまで来たんでしょう?」

「その通りでございます。」

「やっぱり...マチルダ。いったい内地で何が起こったの?
やはり...巨人が?」

「内地に巨人が現れたのは確かです..。しかし、それは壁を
破って侵入した巨人ではなく...。人間が...人間が巨人化
したのです!」