二次創作小説(紙ほか)
- ターン1:期待のルーキー!? ( No.1 )
- 日時: 2013/07/28 23:03
- 名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: 0.DI8Vns)
デュエル・マスターズ。今では世界最高峰の頭脳スポーツとなっていた。世界大会も開催されるなど、もはや子供の遊びから”競技”となっていたのである。そして、それはデュエリストの頂点を目指す子供達の憧れとなっていた。やがて、未来のプロデュエリストを目指す子供達を養成する、「デュエリスト養成学校」が作られ、多くの少年少女が今日も己を磨くために鍛錬・勉学にいそしんでいたのであった。そして、今年も頂点を目指す、少年少女がその学舎への門をくぐろうと・・・・・・。
「ちょっと待ちやがれ、てめぇー!!!!!!!」
「ちっ、しつけぇなぁ!!」
「くっそぉ、待てっつってんだろ、このこそ泥ぁー!!」
して、学生服を着た1人の少年があからさまに泥棒の格好をした男をチーターも驚く勢いで追いかけている。少年の名は”暁ヒナタ”。頭に掛けたサングラスがトレードマークの少年だ。プロのデュエリストを目指して、今年、鎧竜決闘学院の入学試験を突破し見事入学した、期待のルーキー決闘者(自称)である。その彼が何故、泥棒を追いかけているのか。それは・・・・・・。
「くっそぉ!!ケータイを制服ポケットに入れておくんじゃなかった!!」
とまぁ、ケータイを分かり易い制服ポケットに入れ(しかも入れ方が悪いのかはみ出ている。)、それをこの泥棒男にスられたという事だ。しかし、この泥棒男、頭が悪いのかあからさまに泥棒のような、丸髭にグラサン、そして風呂敷。完全に時代遅れの泥棒である。話を変えるが、今日は昨日の雨上がりで、水たまりが所々に出来ている。つまり、脇目もふらずにこんな事をしていると・・・・・・。
「ああ美しい・・・・・・。我が最強の下部、《真実の名(トゥルーネーム)修羅丸》よ・・・・・・。」
スリーブに入れたカードを、眺めている同じ制服を着ており茶髪の中世的な容姿の少年。すると、背後から泥棒男とヒナタが駆けてくる。
「どけこらぁー!!!」
「ん?」
バシャーン!!
ヒナタは勢いよく水たまりを踏み、あたりに飛沫が飛び散る。タイミング良く(悪く)その隣を通り掛かっていた少年は、自分の手に持ったカードが泥水で汚れる瞬間を、しっかりと見た。
「う・・・・・・う、つ、く、し、く、なぁぁぁぁぁーい!!」
少年は絶叫し、標的を泥棒めがけて走るヒナタに定めた。一方、ヒナタはカードを泥棒に狙いを定めた。
「これでも喰らえ!!」
「へっ!?」
ヒナタはカードを素早く、シュッと投げる。泥棒男の手をカードは切り裂き(実際は少し切り傷が出来た程度)泥棒は悲鳴を上げてケータイを手放す。しかし、ヒナタはさらに素早く滑り込んで、ケータイと自らが投げたカードをキャッチした。泥棒はそのまま逃げてしまったが。
「っしゃぁー!!思い知ったか!!」
「思い知るのは貴様の方だぁ・・・・・・!!」
「へ?」
ヒナタが振り向くと、カードを掲げて怨念のオーラを放つ少年の姿が。
「おのれぇ・・・・・・!よくも僕の《修羅丸》を・・・・・・!!」
しかし、実際はスリーブに泥水が付いた程度である。
「へ!?同じ学校の生徒!?ゴ、ゴメン!!もしかして、泥水がかかった!?」
それでも慌てて謝るヒナタ。しかし、
「もしかしなくてもだぁー!!」
少年は拳を振り上げる。
「ちょ、止めろ!ぼ、暴力の解決は、解決にならな・・・・・・!!」
慌てふためくヒナタ。しかし、ようしゃなく少年の拳が近づく。が、拳はヒナタの顔面に直撃する前に止まった。見ると、少年の手にはデッキケースが握られている。
「デュエマでボロ雑巾にしてやる!!」
「そっちかよ!!」
突っ込むヒナタ。しかし、売られた勝負は買うのが彼の信念だ。
「けど、受けて立つ!!」
「その意気だ・・・・・・!《修羅丸》の敵ィー!!」
そう言って、球状の物体を投げる少年。そこから、デュエル・テーブルが展開された。
「へえ、珍しいモン持ってるんじゃねーか!」
「どうでも良いことだ。全力で貴様を叩き潰す!!」
「ちっ、融通の利かねぇ野郎だな!」
「「デュエマ・スタート!!」」
ターン10。ヒナタ:シールド4、少年:シールド5。マナ加速をしたヒナタのマナは6枚。そして、《氷河フランツ一世》。少年のバトルゾーンには、《舞踏のシンリ マクイル》。しかし-------------。
「僕のターン!現れろ、5マナで《メッサダンジリ・ドラゴン》召喚!《舞踏のシンリ マクイル》でシールドブレイク!」
「くっ、シールド・トリガー発動!呪文、《クリスタル・メモリー》!効果で山札から好きなカードを手札に持ってくる!俺のターン!2マナで《スパイラル・ゲート》!《マクイル》をバウンス!」
ヒナタは山札から、一枚カードを手札に加えた。
(よしッ!!)
ヒナタは嬉しそうな笑みを浮かべた。自分の切り札が手札に来たのだ。
「俺は、《氷河フランツ一世》でお前のシールドをブレイク!」
「美しくないプレーだね。」
少年はため息をついた。呆れたように。
「何を基準で言ってるのか、分かんねーよ!!」
「君のその乱雑なプレー!わざわざ、システムクリーチャー(サポートや相手を邪魔する効果を、場にいるだけで発動するクリーチャー。)
で攻撃するなど、実に美しくないプレーだ。」
「くっ!しまった!!」
「《フランツ一世》は呪文のコストを下げるクリーチャー。ドラゴンデッキで言えば、《コッコ・ルピア》に相当するカードだ。それを攻撃させるなんて、言語道断!全く、何故、君が合格したのか・・・・・・僕のターン!現れよ、《真実の名 修羅丸》召喚!」
これがさっき、ヒナタが汚したカードだ。
「貴様に裁きを!《修羅丸》は《メッサダンジリ・ドラゴン》の効果で
スピード・アタッカーに!さらに《メッサダンジリ・ドラゴン》で《フランツ一世》を破壊!」
「くっ!」
《フランツ》のパワーは2000。戦力の差は圧倒的だ。
「《修羅丸》でW・ブレイク!!」
「シールド・トリガーで、《フェアリー・ライフ》発動!」
「甘いな!さらに効果で、山札をめくり、それがゼロ文明ならただで召喚可能!効果で、現れたのは------------------
《真実の名 ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》だ!!」
「げっ!?」
真実の名 ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン P 無色 (8)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/アンノウン 8000
このクリーチャーが相手のシールドをブレイクする時、相手はそのシールドを手札に加えるかわりに自身の山札の一番下に置く。
W・ブレイカー
「くっ、出てきたか!」
「さらに、《ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》でW・ブレイク!シールド・トリガーは発動させないぞ!」
「くっ!!」
シールドはデッキボトムへ。
「ターン終了!」
助かった。用心深い性格でもあるのか、少年が総攻撃を仕掛けなかったため、命拾いした。しかし、シールドは0。
「どうだ?入学初日にここで潰される気分は。」
「・・・・・・終わっちゃ居ない・・・・・・!」
「は?」
「まだ終わっちゃ居ない!!俺のターン!出よ、《アクア・ウェイブスター》召喚!」
「なっ!?」
アクア・ウェイブスター VR 水文明 (7)
クリーチャー:リキッド・ピープル 2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある他の多色ではないクリーチャーをすべて、持ち主の手札に戻す。
これは計算外だった。《ウェイブスター》の効果で、少年のクリーチャーは全員バウンスされる。
「貴様ァ・・・・・・!さっき、《クリスタル・メモリー》で拾ったのは、こいつか!」
「違うね!まあとりあえず、ターン終了だな!」
焦り出す少年。ここで決めなかった自分を恨む。
「僕のターン!我が美しい下部、《真実の名 修羅丸》召喚!ターンエンド!」
「俺のターン!俺はこいつを出す!その光は、天から地上を照らす!《青狼の始祖アマテラス》召喚!」
蒼狼(せいろう)の始祖アマテラス R 水文明 (6)
クリーチャー:ナイト/サムライ/オリジン 5000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、次のうちいずれかひとつを選んでもよい。
▼自分の山札を見る。その中からコストが4以下の呪文を1枚選び、山札をシャッフルしてからその呪文をコストを支払わずに唱える。
▼自分の山札を見る。その中からコストが4以下のクロスギアを1枚選び、山札をシャッフルしてからそのクロスギアをコストを支払わずにジェネレートする。
「効果で、山札から呪文を唱える!俺が使うのは、《ヒラメキ・プログラム》だ!」
「な、何だってぇ!?」
少年は驚きの声を上げた。
「《ヒラメキ・プログラム》で破壊するのは、《ウェイブスター》!効果で、《サイバー・G・ホーガン》を召喚する!さらに、激流連鎖で山札をめくって、《アクア・サーファー》と《真実の名 アカデミアン》を召喚する!!《アクア・サーファー》の効果で《修羅丸》を強制送還(バウンス)!!」
「なっ!!《修羅丸》が!!」
再び切り札がバウンスされ、焦りが最高潮に達す少年。最早、余裕など無い。
「ターンエンド!」
「くっそぉぉおおお!!《修羅丸》召喚!ターン終了だ!!」
やけになったのか、殆ど何もせずにターンを終えた少年。ヒナタは
「焦って活路を潰したな!この勝負、俺の勝ちだ!!俺のターン!呪文、《ヒラメキ・プログラム》で《サイバー・G・ホーガン》を破壊して、俺の切り札!竜王は君臨し、全てを支配する!《偽りの王 ナンバーナイン》を召喚!!」
偽りの王(コードキング) ナンバーナイン P 光文明 (9)
クリーチャー:キング・コマンド・ドラゴン/アンノウン 9000
相手は呪文を唱えることができない。
W・ブレイカー
つまり、シールド・トリガーはクリーチャーでは無い限り、発動しない。
「さらに、呪文!《ダイヤモンド・ソード》!!効果で俺のクリーチャーはこのターン、召喚酔いしない!!」
いつからこうなったのか。圧倒的だった戦況がたった1枚のカードで、逆転してしまった。少年は敗北を予感する。
「い、嫌だァー!!負けたくない!!」
「《真実の名 アカデミアン》でW・ブレイク!《偽りの王 ナンバーナイン》でW・ブレイク!《アクア・サーファー》で最後のシールドをブレイク!」
シールド・トリガーは来た。しかし、全て呪文だ。
「《青狼の始祖 アマテラス》でトドメだぁー!!」
「くっ、馬鹿な・・・・・・!!」
少年はうなだれるように、ひざまずいた。ヒナタはカードを、デッキケースに戻す。
「案外強かったぜ、アンタ。でも、その焦り性は治した方が良いかな?」
「くっ・・・・・・完敗だ・・・・・・。」
その時だった。
「あーい、アンタら遅刻な。」
「「へ?」」
次の瞬間、ガラガラと音がする。見ると、すでに2人は校門の目の前に立っていた。気が付かずに。が、そこで遅刻になるとは!
「・・・・・・貴様・・・・・・名前は?」
「俺は暁ヒナタ。お前は?」
「僕は黑鳥レン。とりあえず、ここで言えるのは・・・・・・。」
レンは無慈悲に閉められた校門を見て言った。
「どうしよう?」
目の前には、ただ閉められた校門だけがあった。