二次創作小説(紙ほか)

ターン4:思い出 ( No.7 )
日時: 2016/03/25 02:34
名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: AfTzDSaa)

 こうして、3対3のチームデュエルが始まったわけである。




 その後、まず先方と張り切っていたレンは、

「我が美しい下部、《真実の名 修羅丸》召喚!さらに、《メッサダンジリ・ドラゴン》の効果でスピード・アタッカーに!!」
「お、おいおい!!無いだろそりゃあ!!」

 相手の少年が、敗北を予感する。

「《修羅丸》でW・ブレイク!効果で、《真実の名 ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》召喚!《ボルメテウス・ゼロ・ドラゴン》でW・ブレイク!効果でシールドはデッキボトムへ!《メッサダンジリ》でトドメだ!!」
「そ、そんなぁー!!」

 このように、勝利した。そして、次方のコトハは

「《襲撃者エグゼドライブ》でシールドブレイク!《機神勇者スタートダッシュ・バスター》でトドメ!」
「ま、負けたァー!!」

 これを見ていたヒナタは呆れた。

「うーん、はっきし言って弱いな。悪いけど。てわけで先に二勝したから、カード返して貰おうか!」
「ぐぅ・・・・・・!」

 不良少年のリーダーは手に持ったカードを見る。そして、嫌らしげな笑みを浮かべた。

「後、もう一戦お前らが勝てたらな!この、俺様に!」
「何だとォ!?」

 周りからは再び、不良少年のリーダーにブーイングが飛ぶ。

「じゃあ良いのか?このカードがどうなっても!そっちの態度によっちゃあ、ビリビリにして破いてやっても良いんだぜ?」
「あ!!」

 少年は、カードを両手で破るマネをする。

「や、やめてよ!!」

 リョウが悲痛な声を上げる。

「そ、そのカードはお小遣いを貯めて、ようやく手に入れた僕の切り札なんだ!だから・・・・・・!」
「うるせぇ!!てめぇの事情なんか知ったことあるか!だいたい、デュエマなんてクソゲーム、俺がテキトーに寄せ集めたデッキで勝てるくらいショボいゲームなんだよ!」

 と少年は高笑いを上げた。

「この、卑劣漢!!」
 
 コトハが怒りの声を上げる。しかし、少年は至って気にしていない様子である。ついに、コトハが少年に殴り掛かろうとしたが、ヒナタが制した。

「・・・・・・下がってろ、コトハ。」
「で、でも・・・・・・!」
「ここは、ヒナタに譲れコトハ。」

 レンの声も険しかった。ヒナタが、デッキをシャッフルする。

「おい、腐れヤンキー共。」
「ああ?何だお前が俺様の相手」
「覚悟しておけ。」

 今のヒナタの声には、普段では考えられない威圧感がこもっていた。そして、普段前髪に掛けたサングラスを装着する。

「な、何だコイツ・・・・・・!!」
「始めるぞ。」

 周りも静かになった。不良少年は、ヒナタの滾る怒りを覚醒させてしまった事を後々で後悔することになる。

「”アレ”を使うのは久々だが、このデッキでテメェをぶっつぶす!!」
「や、やれるもんなら、やってみな!!」

 こうして、静かに決闘の開始は告げられた。
 


 ターン6。ヒナタのターン。

「3マナで《虚空の力(アカシック・フォース) レールガン》召喚。《潜行する穿孔 ギーガ》でシールドブレイク。」

 いつになく、静かな口調のヒナタ。しかし、その瞳は完全に怒りで燃えていた。そう、今彼が使っているのは火水アウトレイジデッキ。序盤からガンガン攻めていけるデッキだ。

「こ、怖い・・・・・・。」

 リョウが怯えたように声を上げる。確かに、今のヒナタからは恐ろしささえも感じられる。

「確かにな。静かだが気迫が感じられる。」
「にしても、あのデッキは速効が得意なアウトレイジメインだけど・・・・・・。」
「そうらしいな。」

 一方、デュエマは着々と進んでいた。

「俺様のターン!《ボーンおどり・チャージャー》で山札から2枚を墓地肥やしだ!ターンエンド!」
「俺のターン。《エマージェンシー・タイフーン》でこっちも2枚引いて、1枚墓地送りだ。ターン終了!」

 どちらも墓地を増やす。13ターン目、不良少年のターン。

「へへへ・・・・・・!墓地進化GV!!その邪眼を用い、全てを見通せ!ロマノフ一族の血筋に誓い、目の前の敵滅せん!《大邪眼・B・ロマノフ》召喚!!《B・ロマノフ》でT・ブレイク!!お前の手札をメテオバーンで3枚破壊!!さらに、《腐敗電脳メルニア》で《レールガン》を破壊!」

 周辺は再びざわつき始める。ヒナタは目を閉じた。



 小学校4年の頃、俺はいじめられっ子だった。ただ、気にくわないと言う理由だけで痛い目に遭わされる。だけど、どんな逆境でもデュエマだけは手放さなかった。ある日、身を挺して自分を庇ってくれた女子生徒が居た。そいつとは、その日から友達になった。いつも俺と仲良くしてくれた。多分、俺はそいつの事が好きだったのだろう。多分。登下校も一緒。それで冷やかされたこともあったが、彼女は喧嘩に強かったため、いじめっ子はすぐ返り討ちにしていたが。そんな、ある日のことだった。

「このデッキ、あげるよ。ヒナタのために作ったんだ!」
「い、良いのか?むしろお礼しなきゃいけないのは、俺の方なのに。」
「いいんだよ!大事にしてね、このデッキ!」
「ああ!絶対に俺のエースにするぜ!じゃ、デュエマすっか!」

 その時、嬉しかったのは覚えている。だが、その次の日、アイツは交通事故で死んだ。ただ、何かが引っかかる・・・・・・。俺はそのカードをいつの間にか、封印してしまった。あの悲しい思い出を蘇らせないように・・・・・・。



「だけど、逃げないって決めたんだ!!そして、デュエマを・・・・・・アイツとの絆を汚したお前を、俺は許さない!!俺のターン!!」

 ああ・・・・・・ようやく来てくれたな・・・・・・。

「久しぶりだな・・・・・・!ようやく、お前の熱い魂を暴れさせることが出来るぜ!」

 一体、ヒナタの真の切り札とは!?そして、デュエマの行方は!?