二次創作小説(紙ほか)

ターン45:武闘ビルへ ( No.135 )
日時: 2013/09/01 22:10
名前: タク ◆XaammrlXPk (ID: 0.DI8Vns)

「・・・・・・最悪の結果になってしまったな・・・・・・。」

 シントは呟いた。ハゴロモに勝利した後、連絡が入り、フジとテツヤが教団に襲撃されたことが分かった。保健室のベッドに横たわるヒナタを見て、もう一度ため息をつく。時は既に放課後。しかし、いっこうにヒナタは目を覚まさない。

「フジがやられたということは、インフィニティキーが武闘ビルにあることを示したも同じだ。」

「インフィニティキーって何ですか?」

 シントは思わずベッドの方を向いた。寝ているはずのヒナタが起きていたのである。

「ヒナタ!ダメだ、まだ寝てなきゃ、怪我してるんだから!」
「シント先輩、この程度何でもありませんよ。それより、インフィニティキーについて、教えてくれますか?」
「この際仕方ねえ・・・・・・インフィニティキーは、ゼロ・メモリーを起動させるための鍵で、2種類存在するんだ。1つは、ゼロ・メモリーに無尽蔵の活力と勇気を与える、”ビートキー”。もう1つは不死の肉体と不屈の精神力を与える、”デッドキー”。使用したクリーチャーの能力を一旦リセットし、再度限界まで力を詰め込ませる、ゼロ・メモリーを暴走させずに起動させるためにはこれが不可欠なんだ。」

 シントは一通り言い終わると、ため息をついた。

「シントさんが、何故それを・・・・・・!で、ゼロ・メモリーって、そもそも何故この世界に存在しているんですか!」
「俺はフジから、その話を聞いた。」

 

 3年前。フジはいきなり、武闘ビルのオフィスに俺とテツヤを呼び出した。

「シント、テツヤ。お前らには、ゼロ・メモリーについて話しておかなければならない。」
「何だよ、改まって。」
「お前らしくないな。シントと俺に話があるなら、別にココに呼び出す必要性はゼロだろ?」

 テツヤも首をかしげた。だが、フジは続けた。それほど重要な話であることは、俺でも分かった。

「・・・・・・とにかく聞け。ゼロ・メモリーとは、この世に2つ存在する古代文明の産物だ。手にした者の力をリセットして、その後、限界までパワーアップさせる力を持っている。」
「へえ、確かにすげーな!って、何でそれを?」
「この間、工事現場で偶然発見された。それも、2つな。が、直後、2つとも飛んでいってしまって、回収せざるを得なくなった。何とか1つは回収した。が、残りの1つだけはまだ見つからない。」
「それを野放しにしていたら、何か悪いことでも起こるのか?」

 テツヤはフジに訪ねた。フジは机をたたいて、立ち上がった。

「起こる!さっき挙げた教団は、史上最凶の神、”ヨミ”を復活させようとしている。頼む!協力してくれ!教団を倒すため、俺達武闘財閥と戦ってくれないか!」

 フジは真剣な眼差しで言った。いつものアイツとはとても思えない。

「ヨミが復活すれば、世界は間違いなく、教団の唱える偽りの平和に支配されてしまう!そうなる前に・・・・・・!手遅れになる前に、ゼロ・メモリーを回収して、教団を壊滅させなければいけない!!」

 返事はもちろん決まっていた。

「何言ってるんだフジ。水臭ーよ。」
「協力したいのなら、俺達に最初からそう言えばいい。俺達が、お前を断ると思ったか?俺らはいつでもお前の味方だろ。」
「・・・・・・ありがとう・・・・・・お前らに頼んで良かった。」
「だけど、何で俺達なんだ?俺達はただのデュエリストだ。」

 疑問をぶつけてみた。フジは答えた。

「教団のメンバーは、異次元からやってきたクリーチャーだ。奴らを撃退するには、デュエマし、勝つしかない。といっても、奴らはデュエリストを見れば見境無く攻撃してくるから、挑むのはカンタンだ。奴らとのデュエマでは、クリーチャーが実体化する空間に引きずり込まれる。勝てば奴らを倒せるが、負ければ命にも関わる。が、お前らなら問題ない。既にお前らは、世界クラスのデュエリストだから。」
「サンキューな!」
「ああ、できることなら何でも協力する。」




「それから、俺達の教団との戦いは始まった。おかげで、教団もだいぶ信者が減ってきて、勢力は弱まっている。とはいえ、まだ油断はできない。財閥が鎧竜決闘学院を創ったのも、教団と戦える人材を育成するのが目的だ。」
「そ、そうだったんですか・・・・・・。」
「お前がまさか、教団との戦いに身を投じているとは、知らなかった。アウトレイジは、オラクルと戦う意志を持つ者を惹き付ける習性を持つ。そしてお前がハゴロモに襲われた際、現れたドラポンを見て確信した。お前が教団と戦っていることにな。」

 ヒナタはそれを聞いて、ふとデッキケースを開けた。そう言えば、ドラポンが先ほどから見あたらない。

「あれっ?ドラポンは!?」

 そう言って、カードをめくっていき、探す。が、その一番底には、

「う、嘘だろ・・・・・・!」

 焼き印の押された、ドラポンのカード。暴走した際に力を使い果たしてしまったのか。

「おいっ!!どうしたんだよ!!ドラポン!!嘘だよな!!もし嘘だったら、出てきた瞬間ぶっ飛ばすぞ!!おい、出てこいよ!出てこいよ!!!」
「止めろ。そもそも、ドラポンがこうなったのは、ある意味、お前の所為でもあるんだ。感情にまかせ、自らの前に出現したゼロ・メモリーを暴走させたお前の責任でもあるんだぞ!!」
「っ・・・・・・てことは、《クロスファイア》は!?」

 シントをオール無視し、デッキから《クロスファイア》を探すヒナタ。これも灰色になっていると思いきや、違った。《クロスファイア》は元の輝きを取り戻していたのである。それどころか、変化していた。《暴剣坊 アラシ》へと。

「思った通りだ。力尽きる寸前に、お前は知らないだろうがドラポンが元に戻したんだろう。しかし、結局子供の姿になっちまった訳だな。さて、感傷に浸っているところ悪いが、これから武闘ビルに行くぞ。」
「えっ!?」
「そいつを元に戻しに行くんだよ。そして、武闘財閥が開発した、”最強のカード”を使うためにな。もしかしたら、ドラポンは、新しく生まれ変わる可能性がある。フジの怪我の回復も良好だ。フジは後で、他の連中も連れて、ヒナタが回復したら来いと言った。」

 ヒナタは一瞬驚いたが、すぐに返事をした。

「はい!絶対行きます!!」

 と。





「武闘ビルへの襲撃を開始する。」
「はっ、イズモ様の仰せの通り!!」
「楽しみだ・・・・・・あの人間共の絶望する顔が・・・・・・今度こそ服従させる。全ては、ヨミ様の復活のため、そして・・・・・・」

 イズモは義手を振り上げた。

「至高神シャングリラ様の復活のため!!」