二次創作小説(紙ほか)

ターン56:インフィニティ・ショット ( No.174 )
日時: 2013/09/29 17:19
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「まずい・・・・・・!このターンで決着を付けねぇと!!」

 こちらのシールドは0。にも関わらず、イズモはリンクしたゴッドを揃えている。さっきは《ハヤブサマル》に助けられたが、今度はそうはいかない。すると、イズモが

「まあ、安心してよ。コンボパーツに押されて、僕のデッキにS・トリガーはそんなに入っていない。ただ、そのアタッカー勢で僕のシールドを削りきれるかも疑問だけどね!」
「ほっとけ!この状況から、逆転してやるぜ!俺のターン!」

 そう言って、カードを引く。しかし、出てきたのは灰色にくすんだ《ドラポン》のカード。

「くそっ!!《双拳銃 ドラポン》召喚!!」

 しかし、カードは実体化しない。

「ハハハハハ!!まさか、まだそんなゴミを持っていたとはね!君には常々呆れさせられるが、今度は傑作だよ!!」
「畜生が・・・・・・!!」

 ヒナタは、僅かながら怒りを瞳に宿す。

(手札にはもう、《転生プログラム》の他に何もねぇ・・・・・・!!)

 そして、一度ヒナタは目を閉じた。

(俺は今・・・・・・何のために戦っている?教団の野望を阻止する為か?いや、違う!俺は---------------------------)





 2時間前。シントと、武闘ビルに向かっている最中のことだ。

「シント先輩は強いですよね。俺は全然かなわなかった。」
「そうか?俺がここまで来られたのも、仲間のおかげだ。」
「仲間のおかげ?」

 ヒナタは思わず聞き返した。

「ああ、そうだ。仲間とともに戦ったり、時にはガチでぶつかり合ったり、色んなことがあったけど、今の俺があるのは、みんな仲間のおかげだ。」
「仲間------------------------か・・・・・・。」
「ああ。人間はボッチじゃ強くなれねぇ。だけど、仲間がいるなら話は別だ。俺は仲間のおかげで強くなれた。だから今度はそいつらに恩返ししたいのさ。」

 「だけどな」とシントは続ける。

「俺も、テツヤやフジと最初から仲良かったわけじゃねえよ。」
「え?そうなんですか!?」
「むしろ最初はテツヤは嫌な奴だと思ってたし、フジとは啀み合ってたくらいだ。だけどな。一旦ガチでぶつかりあった2人は、絶対そのあとに友情が生まれる!俺はそう信じてる。」




 そして、ヒナタは目をカッと開いた。

(そうだ・・・・・・!!今の俺が戦う理由は、その仲間を守るため!!もう、逃げるなんざ・・・・・・)

 そして一つの光景が脳裏をよぎった。自分が逃げたせいで死んだ、1人の少女のことを・・・・・・。

「もう、逃げるなんざ、ごめんだぜ!!これに賭ける!!」

「!?」

 イズモは次の瞬間、驚愕した。ヒナタの身体が僅かながら光っているのである。そして、結晶のような物体がヒナタの頭上に輝いている。

「ゼ、0・メモリー、だと!?バカな!こんなところで起動したら、間違いなく暴走する!!」

 しかし、一つの鍵のようなものが、その結晶に差し込まれた。そして、赤く光る。

「インフィニティ・キー!まさか、0・メモリーに引き寄せられたとでも言うのか!!」
「な、何だこれは・・・・・・!感じたことのねぇくらい、熱い!だけど、不思議なことに全然苦痛を感じねぇ・・・・・・!!」

 そして、灰色にくすんだドラポンのカードが再び輝きを取り戻す。そして、カードが実体化した。間違いなくそれは、ドラポンだった。体に炎が纏い付く。

「ド、ドラポン!!」

 不意に涙がこぼれる。ドラポンは辺りをキョロキョロ見回している。

「こ、ここは・・・・・・よう分からんけど、何が・・・・・・。」

 しかし、目下の相手、イズモを確認し、そして主の姿を見て理解した。

「馬鹿な・・・・・・!こんなことが・・・・・・!」

 イズモは目を血走らせ、義手を振り上げる。

「ドラポン!生き返ったんだな!」
「ああ!ま、状況はわかった。おだんに《転生プログラム》を使えっちゃ!」
「OK!!行くぜ、ドラポン!!呪文、《転生プログラム》!!」

転生プログラム R 水文明 (3)
呪文
S・トリガー
クリーチャーを1体選び、破壊する。そうした場合、そのクリーチャーの持ち主は、自身の山札の上から進化ではないクリーチャーが出るまでカードを表向きにする。そのプレイヤーは、出たクリーチャーをバトルゾーンに出し、表向きにしたそれ以外のカードを持ち主の墓地に置く。
※殿堂入り


 魔法陣が起動し、ドラポンの体が光る。そしてヒナタは山札を捲る。

「効果で俺のクリーチャーを破壊し、山札から最初に出た、進化じゃねぇクリーチャーを出す!」

 徐々にそれは、大きな存在へと姿を変える。

「これで俺は、運命を入れ替える!!いっけぇ!!」

 そして大きな光があたりを包み込んだ。イズモも思わず目を覆う。そして光が消えた。そこには------------------------------

「来たぜ、超切り札!!無限の弾丸で相手を貫け!掴み取るのは勝利のみ!!《無限の銃刃 ダン・クローリー》よ降臨せよ!!」

 巨大な龍の姿があった。

「《ダン・クローリー》だと!?火文明の長とも言われる、伝説の無法者じゃないか・・・・・・!!」

 イズモは目の前の光景に、信じられないという表情だ。

無限の銃刃(インフィニティ・ショット) ダン・クローリー R 火文明 (13)
クリーチャー:アウトレイジMAX 35000
∞ ブレイカー(このクリーチャーは相手のシールドを好きな数ブレイクする)

「こいつは好きな数だけシールドをブレイクする、∞ブレイカーだ!さらに呪文、《エナジー・ライト》で2枚ドロー!!あとは、《ファルコン・ボンバー》でシールドブレイク!!効果で《ダン・クローリー》はスピードアタッカーに!!」

 《ダン・クローリー》は、力がみなぎるように、全身から赤いオーラを出した。

「パワー3万5千だと!?圧倒的じゃないか!!」
「さらに、アタック・チャンス発動!《無法秘伝 悪・即・斬》を唱え、《ダン・クローリー》はこのターン、ゴッドに勝ったらアンタップだぜ!!一発!!」

 まず、右腕の《メリーチェーン》が破壊される。そして、

「二発!!」

 今度は《バレンタイン》が破壊された。残るは《イズモ》のみだ。

「そして、三発ーッ!!」
「ば、馬鹿な!!」

 そして、残る《イズモ》が破壊された。

「最後に、シールドを∞ブレイク!!」

 そして、すべてのシールドがブレイクされた。

「僕が・・・・・・神であるこの僕が!!有り得ない!!」

 ゴッドを出すことに特化した、このデッキにS・トリガーは入っていない。

「いっけぇー!!《アクア・スーパーエメラル》でダイレクトアタック!!」

 銃弾がイズモを貫いた。そしてイズモは悲鳴を上げる。

「くっ、ぐああああああああああああああ!!!!」

 イズモの体から、炎が上がり、光った。そして、

「ヨミ様!ヨミ様ァー!!」

 と断末魔を上げて、消滅した。