二次創作小説(紙ほか)
- ターン57:新たなるステージへ ( No.181 )
- 日時: 2013/10/06 10:46
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
勝負はヒナタの勝利に終わった。だが、イズモは辛うじてまだ生きていた。それでも、虫の息らしく、体が透けて見える。
「・・・・・・僕を倒すなんて、すごいじゃないか、暁ヒナタ。教団の神が支配する世界は、僕には作れなかった。」
イズモは今にも消えかけているものの、まだ笑う余裕を見せる。
「何の理由があろうが、関係のねぇ人を巻き込むなら、俺は容赦しない。」
「おう、そのとおりっちゃ!おだんらの信念で、何度でも引導引渡したる!!」
「ふふっ・・・・・・負けたよ、君には。だけど、」
イズモは今度こそ覚悟を決めたように、息を吐いた。そして、
「まだ終わりじゃないよ?」
そう言い残し、今度こそ消えた。
その後、空間は消えてヒナタは元の場所に戻っていた。辺りには、もうクリーチャーはいなかった。シントが駆け寄り、ヒナタの傷の心配をした。だが、勝利報告を聞いて喜んだ。見ると、シントの体もボロボロで、どうやらクリーチャーとデュエマで戦っていたことが伺えた。そして、シントに肩を貸してもらい、武闘ビルを出た。これで何もかも終わりに思えた。ただ1つの謎を除いては・・・・・・。
「何ィ!?黑鳥が居ないだと!?」
フジは報告を聞くと、躊躇わずケータイの通話を切って、今度はみんなに呼びかけた。
ときは少し遡る。ヒナタとシントが外に出ると、クリーチャーは居なくなっていた。イザナイ達は倒され、イズモの消滅とともに、《シューゲイザー》や周りのクリーチャーも消えたらしい。しかし、天草と戦っていたはずのレンが、見当たらないという。そして不可解なのは、レンのカードが散乱していたということ。スミスは、
「目の前でレンが消えた!」
と騒ぎ出した。最初は懸命な捜索が行われたが、どこにも見当たらない。そしてドラポンが、
「ダメっちゃ、この辺に、レンの気配は全くを持って感じん。」
と言う。ヒナタがドラポンに詰め寄って、
「じゃあ、どうすんだよ!このまま諦めろってのか!!俺は諦めねーからな!!」
と掴みかかるが、周りが止めたので喧嘩には至らなかった。しかし、結局レンは見つからなかったのである。
次の日だった。ヒナタは昨日の事件で怪我しているものの、問答無用で学校に行かされた。母曰く、
「昨日は大変だっただろうけど、事情聴取や用は放課後でしょ?一応、手当はしておいたから、授業ぐらい受けなさないよ。」
ということだ。ヒナタの母は、締めるところは締めるものの、非常にマイペースだ。つまり、昨日の事件のあらましを聞いても、ヒナタの怪我やレンのこと、そしてその他被害の心配をしたくらいで、教団については、何も突っ込まなかった。(これがツッコミ不在の恐怖というものである。)
また、ヒナタは海外出張の途中である父にも連絡しようとしたが、取れなかった。
4時間目はD・リーグだった。いつもは気合を入れているヒナタだったが、今日は違った。やはり、気がかりなのだ。レンのことが。
とはいえ、一回戦を勝ち抜き、二回戦に今は挑んでいる。現在、互のシールドは4。ヒナタの場には《正々堂々 ホルモン》に《侵入する電脳者 アリス》、一方の相手の場には《死滅恐皇グラヴィッツZ》、《偽りの名 ヤバスギル・スキル》だ。
正直言って、やばい。《グラヴィッツZ》は通称・民殺しの槍によって、ターンの最初に出たクリーチャーを破壊。《ヤバスギル・スキル》は攻撃するたびに墓地からドラゴン・ゾンビを戻せば、敵のコスト6以下を破壊するのだ。一方のヒナタの場にあるクリーチャーは皆、攻撃力も打点も低いシステムクリーチャー。この軍勢では対抗できない。ヒナタは現在、かなりの試行錯誤を重ねている。現在使っているデッキは、どっちかと言うと、コントロールに近く、コスト踏み倒し呪文や効果を持ったカードを投入している。カラーは火、水、自然。そしてなにより、このデッキの核となるのが《侵入する電脳者 アリス》。やはりパワーはそこそこ、打点も低く単体では貧弱であるが、自分のアウトレイジが攻撃するたびに手札を補充してくれる。だが、このカードの真価はそれではない。
「俺のターン!G・0で《無重力 ナイン》召喚!」
しかし、《グラヴィッツZ》によって、破壊される。が、逆に言えばもう《グラヴィッツZ》の効果は発動しない。
「へへっ、これで俺の出すクリーチャーは、《グラヴィッツZ》の効果じゃ破壊されねえ!そして《紺碧術者 フューチャー》召喚!《フューチャー》で攻撃し、《アリス》の効果が発動!」
侵入する電脳者(コードブレイカー) アリス C 水文明 (5)
クリーチャー:アウトレイジ 4000
自分のアウトレイジが攻撃する時、カードを1枚引いてもよい。
自分のコスト7以上のクリーチャーが攻撃する時、カードを1枚引いてもよい。そうした場合、自分の手札を1枚、山札の一番上に置く。
「効果で、アウトレイジが攻撃したから1枚ドロー!そして、コスト7以上の《フューチャー》が攻撃したから、さらにドロー!そして、山札にカードを仕込む!そして、《フューチャー》の効果で山札をめくり、出た呪文を使っても良い!」
山札がめくられ、墓地へ落ちる。しかし、次の瞬間、
「呪文、《獰猛なる大地》!効果で《弐天炎明 ガンリュウ・ムサシ》をバトルゾーンへ、そして《ホルモン》をマナへ!」
「なっ、ならば僕は《黒神龍アバヨ・シャバヨ》をバトルゾーンへ!効果で自信を破壊し、そっちも一体破壊してもらおうか!」
「んじゃあ、《アリス》を破壊だ!」
「そして僕は《ヤバスギル・スキル》をマナへ!」
しかし、《フューチャー》によって、
「W・ブレイク!!」
シールドが2枚割られる。しかし、まだヒナタの連撃は終わっていない。
「まだだ!《ムサシ》のタップトリガー発動!自分が攻撃する代わりに、《フューチャー》をアンタップ!ここは、賭けるしかねえ!アタック時に山札の上をめくり、呪文を唱える!」
山札がめくられる。そして現れたカードは、
「呪文、《母なる星域》!!効果で、《フューチャー》をマナに送り、《ダークナイト クリストファー》を《ムサシ》から進化!そして、《フューチャー》の攻撃は残っているから、W・ブレイク!!」
母なる星域 R 自然文明 (3)
呪文
バトルゾーンにある自分の、進化ではないクリーチャーを1体、マナゾーンに置く。そうした場合、自分のマナゾーンにあるカードの枚数以下のコストを持つ進化クリーチャーを1体、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出す。
「ああっ!シールドが・・・・・・!!」
「いっけぇ!!《クリストファー》でダイレクトアタック!!」
と、こうして見事な勝利を掴んだわけである。
「はぁ、《ドラポン》も《ダン・クローリー》も使うまでじゃなかったな。」
そう言って、1枚のカードを手に取る。
弐天炎明(バーニングハート) ガンリュウ・ムサシ P 火文明 (7)
クリーチャー:アウトレイジMAX 7000
スピードアタッカー
W・ブレイカー
このクリーチャーで攻撃するかわりに、タップして次のTT能力を使ってもよい。
TT−バトルゾーンにある自分のアウトレイジを1体、アンタップする。
「これのおかげで、勝てたわけだけど。入れて良かった。」
そう呟き、デッキをしまった。
「今のが暁ヒナタか。」
「そうだぜ。なかなか、筋は良いだろ?」
シントは1人の少年に、デジタルカメラの映像を見せていた。
「確かに悪くない。最初は何だと思ったがな。今日の1年のD・リーグの映像を見せるとか言い出したから。だが、こういうことか。」
「ああ。だが、あいつにはまだ秘めてるものがある。お前によって、それを引き出せねーか?」
デジタルカメラの映像を切り、シントは続けた。
「天川。お前になら、絶対できるはずだ。現に人が一人いなくなっちまってる。」
「分かってるよ。」
天川と呼ばれた少年は、ため息をついた。
「君の言うとおり、今度の鎧竜サマートーナメントで、彼らのリトルコーチ、僕が引き受けさせてもらう。」
「頼むぜ。」
「ああ。しかし-------------------------------どうやって撮っ」
「大人の事情というやつだ、行くぞ。」
そう言って、シントは扉を開けて視聴覚室から出た。
「いよいよか・・・・・・。”アレ”も、もうじきできるだろ。」