二次創作小説(紙ほか)

短編2:恋の裏技 【前編】 ( No.182 )
日時: 2013/10/08 07:29
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「おだんは火文明最強になる!!」
「いきなり、どうした!!」

 ある日の放課後だった。ドラポンはいきなり宣言すると、すぐに校舎の屋上へ飛んでいってしまった。封李の所へ行くためだろう。





 30分後。フルボッコにされた状態で、ドラポンはコトハとオーロラに発見され、ヒナタの下に帰ってきた。

「2秒でボコされた。(内1秒はドロン・ゴー)」
「うん・・・・・・乙。」

 それを聞いて、オーロラはため息をつく。

「はぁ、バッカじゃないの?よりによって、火文明最強と名高いカツキングに生身で挑むなんて。」
「お・・・・・・おっしゃる通りです・・・・・・ちゃ。」
「それに、火文明にはヒナタの持ってる《紺碧術者 フューチャー》も勢力を誇ってるのよ?誰が一番になるかわからない状態なのに、馬鹿なの?死ぬの?」
「お・・・・・・おっしゃる通りです・・・・・・ちゃ。」

 グサグサと胸に刺さるお言葉を恋の相手から頂き、ドラポンさんはもう折れそうです。(心の中の何かが。)ちなみにドラポンは、相手にいじめられて興奮する体質は----------------------------

「もっとらんわ!!」





「ったく、よォ?なんでいきなり、『最強になる』とか言い出したんだ?」

 ヒナタの部屋。ドラポンはもう、折れていた。(心の中の何かが。)

「オーロラにいいトコ見せようと思って。」
「あー、分かる分かる、年頃の男の子のアレね。うん、俺にもわかる。」
「むっちゃ腹立つ・・・・・・。まぁ、それは置いといて。こないだも、結局ぶっ飛ばされたから・・・・・・。」
(弁当食いに行った時か。)

 この間、オーロラと一緒に弁当を食べに行ったところ、ブータンに中身を食べられた。そして喧嘩になったオーロラとブータンを止めようとしたら、ぶっ飛ばされた。その晩、ヒナタに慰められながらドラポンはおんおん泣いていた。

「ま、それは格好つかねーな。」
「だから、少しでもカッコつけようと思って・・・・・・付け焼刃でも良い!ハリコでも良い!あいつの前でもう、カッコ悪い真似はできないっちゃ・・・・・・。」
「それは違うぜ、ドラポン。」

 ヒナタはすかさず割り込む。

「ほんとに大事なのは、外っ面じゃねぇ。ここに決まってんだろ!」

 そう言って、自分の胸を叩いた。

「大事なのは、気持ちだ。外ツラだけが良いやつが勝てるほど、恋愛戦争は甘かねぇよ。」
「ヒナタ・・・・・・。」
「応援してるぜ。俺は。そして、守り通してやれ。何が何でもな。」

 そう言って、戸を開けて部屋から出ようとする。

「そう、何が何でも・・・・・・な。」

 意味深に一言言い残して。





「良いかァー!!我ら、”妖精のイザナイ オーロラファンクラブ”はッ!!ロリコン軍団と言われようが、馬鹿と言われようがオーロラたんを愛でることを永久に誓うかぁー!」
『オオォー!!誓うぞー!!』

 次の日の街中の広場。1人の太った男が、何人ものオタクのような男たちを前にして、叫んでいた。そこに偶然、買い物の帰りのコトハとオーロラが通りかかる。

「何あれ・・・・・・。」
「いこーよ、コトハ。」
「全く、そうね!行きましょ!」

 そう言って、とっとと退散しようとするコトハ。しかし次の瞬間、ふとこちらの方を見たオタクの1人が叫んだ。

「あぁぁぁぁ!!オーロラたんだ!!」

 その声で、全員がコトハとオーロラの方を向いた。

「えっ!?なになに!?」

 コトハとオーロラは、とまどい、足を竦める。

「ば、馬鹿な!!俺は今まで、二次元の偶像とばかり思っていたのに!!」
「まさか、リアルに存在するなんて!!」
「追えェー!!捕まえろォー!!」
『おおおぉぉぉー!!』

 コトハは、ヤバい状況だということを直感した。何故ならば、総数20人ほどの男たちが、こちらに向かって走ってくる。1人1人の運動神経は高くないのか、遅い。しかし、同じく運動神経の低いコトハにとっては、まずい。

「に、逃げるわよ!」
「分かってるよ!」

 駆け出す2人。しかし、オタクたちは容赦なくそれを追尾する。







「・・・・・・というわけで、運良くアンタの家に逃げ込んだの!」
「何その状況!!”妖精のイザナイ オーロラ非公式ファンクラブ”って何なんだ!!ざっけんじゃねぇ!!なんでオタク集団に振り回されんといけねーんだよ!!」

 腕組みしながら話を聞いていたヒナタは、盛大に突っ込んだ。

「お願いだからさぁ、かくまってよ!あんな連中に捕まんのだけは、嫌だから!人助けと思って!あいつら追っ払ってよ!」
「う〜ん、そう言われると・・・・・・。」
「断り難いっちゃ・・・・・・。」

 近くで聞いていたドラポンも、答える。するとオーロラが、

「ねぇ、ドラポン?助けてくれない?」
「う、うーん・・・・・・。」

 やはり、ドラポンといえど、ためらってしまう。流石にヤバいと思ったのか。が、これで諦めるオーロラではない。持ち前の小悪魔スキルを発動する。耳元で、

「もし、あたしを助けてくれたら、キス・・・・・・してあ・げ・る♪」
「-------------------------!!」

 と囁いた。その言葉で、顔を真っ赤にするドラポン。(もっとも、元から赤いが。)にわかに体中の力が漲ってきたのか、

「あのオタク軍団を片付けて来るっちゃァー!!」

 と叫んで、窓から飛んでいった。その後ろ姿を見送ったオーロラは、

「あーあ、単純な男って利用しやすくて便利ねー。間に受けるなんて馬鹿じゃないの。」

 と言い放つ。

「アンタ・・・・・・。」
「小悪魔だ・・・・・・正真正銘の小悪魔だ・・・・・・。」

 ヒナタとコトハは、呆れてものも言えなかった。数分後、ドラポンが再びボコにされて窓から入ってきたのは、言うまでもない。