二次創作小説(紙ほか)
- 短編2:恋の裏技 【後編】 ( No.188 )
- 日時: 2013/10/10 06:38
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
作戦決行の日が来た。今日は日曜日にも関わらず、まだ広場には誰もいない。案の定オタク軍団もいない。何故ならば、昼の12時。ランチタイム真っ只中だからだ。
「作戦の詳細を言う!とりあえず、”仲のいい恋人”を演じろ!お前らは、あくまでも”仲のいい恋人同士”を装えよ!間違っても、”破局寸前の恋人同士”だけは演じるんじゃねーぞ!良いな!」
「どっちもよう分からないっちゃ!!」
そう、ここには現在、ヒナタとコトハ、そしてドラポンとオーロラの4人しかいない。(もっとも、クリーチャーを人として数えていいのか疑問だが。)
「お、おう分かった・・・・・・。」
「じゃあ、連中が来るまで打ち合わせでも何でもしておけよ!俺らは帰っておくから。」
そう言って、手を振るヒナタ。それを見て、ドラポンが怒鳴る。
「ちょちょ、ちょい待ち!おだんらをここで2人っきりにさせちょくんか!?」
「勿論。だって、オレらが近くにいたら怪しまれるに決まってるだろ?ってわけでじゃーな!」
そう言い残し、逃げるようにヒナタとコトハは去っていった。
「はぁ、いってもーた。まぁ、いいか。」
「良いんじゃない?でもどーする、”ダーリン”?」
「へっ?!」
”ダーリン”という単語に反応するドラポン。オーロラが少し顔を赤く染めて呟く。
「きょ、今日だけ・・・・・・今日だけなんだからね・・・・・・。あたしも恥ずかしいんだから!」
「ああ、そうか・・・・・・作戦か・・・・・・。」
その頃、ヒナタとコトハはおとなしく自宅待機---------------------
「ヒュー、全く念のために盗聴器と遠隔カメラ使って監視しておいて良かったぜ。」
「どこで手に入れたのよ、両方共・・・・・・。」
コトハが疑問の言葉を投げる。。ここは、コトハの家。現在、自分のノートパソコンの映像をしきりにヒナタは確認していた。
「カメラで奴らの様子は確認している。万一ヤバけりゃすぐに出向ける。完璧な俺の作戦の作戦だ!」
「本当に何でもできるわね・・・・・・勉強以外は。」
「ほっとけ・・・・・・。」
彼女のダメ出しに、テンションがガクッと落ちたヒナタであった。
「ったく・・・・・・仲のいい恋人言われても・・・・・・。」
悩みに悩むドラポン。すると、オーロラが
「何言ってるのよ、ダーリン?」
そう言って、自分の腕にしがみついてきた。ドラポンは一瞬、自分の心臓がどこにあるかはっきり分かった。彼女が甘えてきている。それも可愛い顔で自分に。作戦にもかかわらず、ずっとこのままで居たいと思ってしまうのだった。
が、あくまでも作戦である。そう考えると、つい気持ちが萎えてしまった。
「さーて、ドラポンたちも気になるところだけど、問題は連中だな。」
ヒナタはため息をつく。
「あのオタク軍団、来ねえなぁ・・・・・・。」
「奴らが来ないと、作戦の意味がないからね。にしても、もうじき来るはず・・・・・・。」
「それじゃあダーリン、今日は弁当作って来たのよ。」
そう言って、弁当を出すオーロラ。
「お、おう!そうか!んじゃあ、ありがたく・・・・・・。」
そう言って、弁当を受け取ろうとするドラポン。しかし、オーロラは小悪魔的な笑みを浮かべて、弁当を渡すものかとばかりに弁当をひったくる。
「ダーメ。あたしが食べさせてあげるんだから♪」
「ええっ!?」
その光景を見ている2人は、赤面した。
「オーロラ・・・・・・相当気合入ってやがるな・・・・・・。」
「見てるこっちが、恥ずかしくなるんだけど・・・・・・。」
これでは、”仲のいい恋人”どころか”新婚夫婦”である。
「さて。俺の予想だとそろそろ、来るんじゃねーかな?」
「連中が?」
「ああ。」
「あの野郎、オーロラたんといちゃいちゃしやがって・・・・・・!」
その光景を殺気立った勢いで睨みつけるのは、丸眼鏡に誰にも真似できない3の口の男だ。彼は”妖精のイザナイ オーロラ非公式ファンクラブ”のリーダー格である。バックのファンクラブの男たちも、やる気マンマンである。
「オーロラたんも、俺たちが居ながら彼氏がいたなんて・・・・・・!どっちも許さないぞ・・・・・・!」
「よし、あのチビ竜もオーロラたんもこのバットで・・・・・・!ファンクラブリーダー、”目敏(めざと)ヲタオ”がこの手で制裁してくれる!!」
そう言って、一気に駆け出したかと思うとバットを振り上げた。無論、ドラポンはオーロラに「はい、あ〜ん♪」と弁当を食べさせられているため、全く気づいていない。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そう叫びながら、オーロラにバットを振り下ろした。
「へっ!?」
オーロラは振り下ろされるバットに気付いた。が、次の瞬間だ。ドラポンが飛び出す。
「危ねえっ!!」
バットはドラポンの頭にクリーンヒットした。
遅かった。ドラポンはぐったりと倒れ、動かない。
「ドラポンッ!!」
オーロラは何回もドラポンの体を揺する。
「ちょっと!目を開けてよ!」
「さあ、オーロラたんは俺たちのものだぁ・・・・・・!」
「い、嫌ぁ・・・・・・!」
涙目でオーロラはじりじりと後ずさる。その時だった。突如、ドラポンの体が光出し---------------------------------------巨大な龍へと変化を遂げた。
「げええええええ!?」
そう、普通なら死ぬほどのダメージを受けてドロン・ゴーしたのである。ドラゴ・リボルバーに。
「ひぎゃああああ!逃げろォ!!」
ファンクラブの男たちは皆、怯えて逃げてしまった。残ったのは、目敏だけである。
「あ、あわわわわ・・・・・・!?」
「人のデートを邪魔しやがって・・・・・・!!蜂の巣にされたいのか貴様はァ!!脳天に風穴を開けてやろうか!」
ドラポン--------------------ではなく、ドラゴ・リボルバーが銃口を向ける。
「すんませんっしたああああああああ!!ファンクラブは解散しまーすぅぅううううう!!」
目敏はそう言い残し、逃げていった。
「つーか、あいつ・・・・・・。ドロン・ゴーした状態でも実体化できたんだな。」
「そうね。」
安心しきった顔で、ヒナタはパソコンを閉じる。
その後、しばらくしてドラポンは元の姿に戻った。
「ああ・・・・・・痛た・・・・・・。」
「大丈夫!?」
オーロラが駆け寄ってきた。ドラポンは頭を抑える。
「あ、ああ・・・・・・。」
「バッカじゃないの!?あんな無茶して・・・・・・あたし・・・・・・すっごい心配したんだからね!!」
叱り飛ばすオーロラ。しかし、その後
「でも、無事でよかったぁ・・・・・・。」
と言って、ドラポンを抱きしめる。
「ちょっ、恥ずかしいから・・・・・・。」
「ねえ?この後さ、一緒に出かけない?勿論、作戦とか関係ないよ?」
ドラポンは一瞬戸惑った。しかし、
「ああ、勿論っちゃ!」
と笑顔で応えてみせた。