二次創作小説(紙ほか)

ターン60:規格外 ( No.192 )
日時: 2013/10/14 10:19
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「俺のターン!!」

 フィールドバランスは、ゼニスの登場によって完全に破壊された。天川は前のターンで攻撃してこなかったものの、次のターンは大打撃を受けるだろう。しかも、全体バウンスを食らった後の手札破壊。折角出そうとしたクリーチャーが全て墓地行きである。

「くそっ、こんな時にドラポンが居れば・・・・・・!」

 引いたカードを見て、舌打ちをする。引いたのは《ファルコン・ボンバー》だった。もっとも、この状況が《ドラポン》で解決するかは疑問だが。

「ちくしょぉ、ターンエンドだ!」

 その姿を見て天川はクスクス笑い出す。

「フフ・・・・・・引きが悪いとでも、言いたそうだね?残念だけど、引きが悪いっていうのは自分が危機に瀕している時のドローは含まれないんだ。何故なら-------------------」

 天川のメガネが一瞬光った。

「その状況は、間違いなく相手によって引き起こされているからね。」
「くそっ!」
「さて、僕のターン。《キング・ケーレ》を進化!《レジェンダリー・バイロン》をバトルゾーンへ!」

レジェンダリー・バイロン VR 水文明 (6)
進化クリーチャー:リヴァイアサン 8000
進化−自分のリヴァイアサン1体の上に置く。
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンにある間、バトルゾーンにある自分の他の水のクリーチャーはブロックされない。

 ゼニスに続き、今度は進化クリーチャー。召喚酔いがないせいで、厄介この上ない。

「さあ、《バイロン》よ!シールドを叩き割れ!!」

 まず、ヒナタのシールドが2枚破られた。S・トリガーはない。 

「そして、《レディオ・ローゼス》で残りのシールドを全てブレイク!」

 強力な効果の上に、打点も高いゼニス。シールドは全て割られて、さらに天川にはまだ、《エメラル》と《キング・エイサー》がいる。

「さあ、《エメラル》でダイレクトアタックだ!」

 しかし、そうはならなかった。

「S・トリガー発動!困ったときの、《終末の時計 ザ・クロック》をバトルゾーンへ!」

 土壇場で登場した《ザ・クロック》。ターンの残りがスキップされて、ヒナタのターンに。

「俺のターン!確かにヤバい状況だ。だけど、最後まで諦めませんよ!俺のターン!6マナを払い、俺の新たな切札、《規格外 T.G.V》を召喚!」

規格外フレーミングジェット T.G.V(トリプルジェントルボルケーノ) R 火/水文明 (6)
クリーチャー:アウトレイジMAX 5000
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
スピードアタッカー(このクリーチャーは召喚酔いしない)
スリリング・スリー:アウトレイジ(このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から3枚を表向きにする。表向きにしたアウトレイジ1体につき、次の能力を1回行ってもよい。その後、表向きにしたカードをすべて、好きな順序で山札の一番下に戻す)T3−このターン、このクリーチャーはシールドをさらに1枚ブレイクする。 

「ふんっ!スリリング・スリー獣か!だが、所詮運任せに過ぎない!」
「良いんですか?俺はコイツの効果のためだけに、”デッキほとんどをアウトレイジ”にしたんですよ?」

 その言葉で、天川は再びマナゾーンを見渡す。

「しまった・・・・・・!」
「《T.G.V》のスリリング・スリー:アウトレイジが発動!山札を3枚捲り、その中のアウトレイジの数だけ、このターンのブレイク数を増やせる!」

 山札を3枚めくった。中は全部アウトレイジだった。もう、天川の表情に余裕はない-------------------------はずだった。

「S・トリガー発動!《スパイラル・ゲート》だ!」


スパイラル・ゲート C 水文明 (2)
呪文
S・トリガー
バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻す。
※殿堂入り

 全て割られたシールドから、《スパイラル・ゲート》が発動し、《ザ・クロック》を手札へ強制送還した。もう、アタッカーはいない。

「タ、ターンエンド・・・・・・。」
「僕のターン!《レディオ・ローゼス》でダイレクトアタックだよ!」
 
 高らかな宣言と共に、ヒナタの敗北が確定した。





 デッキを片付ける両者。ヒナタはため息をつく。

「はぁ、やっぱ俺はまだまだですね・・・・・・。」
「そんなことはないよ?君だって相当な実力は持ってる。」

 天川は続けた。

「さっきは、勝ったら教えるって言ったけど、久々に僕を楽しませてくれたお礼だ。といっても、どっち道教えるつもりだったけどね。」
「そ、そうなんですか。」

 天川は一度息をつくと、「ヨミについては知っているよね?」と切り出した。ヒナタは一瞬疑問符を浮かべたが、すぐに納得した。

「まさか、奴がもうじきに復活するんですか!?でも、イズモは倒されて・・・・・・。」

 コトハの言葉を聞き、頷く天川。しかし、

「そう。だけど、天草は知っているよね?」

 天草。ヒナタはあの場にいなかったから知らないが、コトハから聞いた。イザナイの中でも、飛び抜けて神々しさを放っていたと。

「天草は、行方不明の黑鳥君を媒体に、ヨミを復活させるつもりなんじゃないか?そう武闘君や僕は睨んだんだ。」
「な!!」

 それならば、全てに合点がつく。レンが居なくなったのは、教団にさらわれたからだ、と。

「イズモが倒され、多くの封印されていた無法者やクリーチャーが解放されて人間界へやってきた。そして、人間のデッキの中へ自然な形で入り込んだらしい。教団にとって邪魔なのは?」
「無法者のアウトレイジ・・・・・・!」
「そう、だからアウトレイジの所有者、つまりアウトレイジが集まる、鎧竜サマートーナメントを狙って襲撃してくるはずだ。」

 天川は間を置いた。そして真剣な眼差しで話し始めた。

「武闘君の調査によると、恐らくメインターゲットは5文明の長。自然文明の《キンジ》。光文明の一部を取り込んだ、強力なエグザイルだよ。次に光文明の《アレキサンドライト》。彼の組んだ防御陣形はとても固く、さらにアウトレイジの技、シールド・ゴーの新たな使用用途を発見した。そして水文明代行、《マジックマ滝》。封印されている《無限皇》に代わり、現在のトップを勤めている。そして、闇文明代行の《デス・シュテロン》。こちらも、《不死帝》に代わって長を勤めており、デーモン・コマンドでありながらおさの代行を勤めている異色のケースだ。」

 「最後に」と天川が続けた。

「火文明の長、《カツキング》。言わずも知れた、最強とも名高いエグザイル・クリーチャー。」
「じゃあ、封李さんも・・・・・・!」
「そう。恐らく、零皇崎先輩も狙われるだろう。」

 最強が集うトーナメント。しかし、それは絶望への罠だった----------------------------。

「やろう!レンを助けるためにも!」

 コトハは決意の眼差しで、言った。それを聞いて、ヒナタも不思議と力が湧いてくる。

「ああ、絶対にヨミを倒す!それだけだ!」
「トーナメントに出るための、最後のメンバーは決めてある。まあ、それは今度紹介しよう。そして、トーナメントまでの期間、僕がリトルコーチとして、君たちを指導する。目標は、僕を超えるくらいに、いやシント君を超えるくらいだ。良いかい?」

「「はいっ!!」」

 2人の声は、決心がこもっており、天川は安心感が持てた。そして、やはり彼ら--------------------昔のシント達に似ていると確信した。