二次創作小説(紙ほか)

ターン62:ジェイコフVSフジ ( No.194 )
日時: 2014/02/26 07:07
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「何だと?」

 ジェイコフ・クライニューは、目の前の相手に向かって苛立ちを込めた口調で言う。しかし、それを聞いても動じないのか、相手----------------------武闘フジは口角を少し吊り上げただけだった。

「そうだ。今のうちに、武闘グループの傘下に入ったほうが身のためだ。俺も、俺の親父もそうだが、逆らう猿は一人残らず潰す主義でね。お前ら、クライニュー家が生き残るすべはそれ以外、無い。」

 現在、2つの財閥は対峙していた。しかし、勢力的に武闘財閥の方が大きい。現在、クライニューグループは武闘財閥の傘下になりかけていた。そこで、両者の代表として、フジとジェイコフが対談することになったのだが・・・・・・。はっきり言って、不利なのはジェイコフだった。クライニューグループはこの間、大失態を犯し経営難へ陥っているのである。ここでプライドを捨て、武闘財閥の配下になるか、それとも独立を守るか・・・・・・。
 その現実を突きつけたフジは、余裕の笑みばかりを浮かべていた。フジのカリスマ性は、まさしくこれだった。ライバルや反逆者への容赦のない制裁、一部からは鬼呼ばわりされることも・・・・・・いや、鬼と言ってもただの鬼ではない。屍を喰らう鬼、グール。そう、今までに幾多もの裏切り者や、ライバル企業を潰してきたのは、彼の存在があったこそだ。デュエマの実力もあり、故に人は彼をこう呼ぶ。”グール・ドラグーン”と。

(クックック・・・・・・!一度、目をつけられたら最後、死んだ企業は全て俺らの配下。グールの好物は、まだ温かい死肉なんだよ・・・・・・!)

 彼は決して、悪人ではないが、企業関係の話になると容赦はしないのがフジだ。戦う前に屈服させる。しないなら、直接叩き潰す。そして、衰弱した企業を食い尽くし、自身の力とする。元は中小企業だった、この会社が発展したのは、彼の父親、そして彼がいたからだろう。ともかく、味方には優しくとも、敵には容赦しない。それが武闘フジだ。

『どうする?ジェイコフ。』

 カードの中の、ムスタングが話し掛けてくる。しかし、ジェイコフは優しく「大丈夫だよ」と声をかけた。
 反逆者には容赦しない。そういった点ではジェイコフも共通する点がある。しかし、それ以上に敵に情けをかけないフジ相手では、流石のジェイコフでも危機感を感じていた。しかし、ここで折れるジェイコフではない。

「分かった。だが、条件がある。」
「条件だぁ?」

 フジはため息をついた。この期に及んで、まだ抵抗するとは思わなかったからだ。

「僕とデュエマで勝負して欲しい。勝てば、君たちの要求を甘んじて受けよう。」
「あ?」

 フジは立ち上がった。流石に、ジェイコフもフジを怒らせたかと思ったが、違った。フジはいつもの不敵な笑みを浮かべると、

「上等じゃねェか!!」

 と、叫んだ。好戦的な彼にとっては、都合の良い条件だったからだ。





「ムスタング、行くぞ」
『おうともさ!!』

 そう言って、ジェイコフは黒いスリーブに入れたデッキを取り出した。

「さあ、デュエマ・スタートと行こうか!!」
「ああ!」

 こうして、2人の富豪が勝負を始めた。決着の次第で、会社の命運が決まる、前代未聞のデュエマだった。




「僕のターン!《フランツ》を召喚!ターンエンド!」

 デュエマは、まだまだ序盤。ジェイコフの場には、《フランツⅠ世》。しかし、マナブーストによって大量のマナが置かれている。一方のフジの場には《ダーク・ルピア》と《爆竜トルネードシヴァXX》がいた。


(やっぱり、ジェイコフ・クライニューは5色コントロール使いだったか。それもゼロ文明を含めた。)

 そう考えている間にも、素早くフジはクリーチャーを召喚する。

「現れよ、俺は《レッピ・アイニー》を召喚!」

レッピ・アイニー P(C) 火文明 (3)
クリーチャー:ファイアー・バード 1000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から2枚をすべてのプレイヤーに見せてもよい。その中から名前に《超次元》とある呪文を1枚選んで自分の手札に加え、残りを墓地に置く。

「くくく・・・・・・!さあ、効果で山札から2枚を公開!」

 フジが見せたのは、《超次元リバイブ・ホール》と《黒神龍グールジェネレイド》だった。そのうち、彼は《グール》を墓地に置いて、《リバイブ・ホール》を手札に加える。

「さあ、ターンエンドだ。」
「何を考えているか、知らないけど、僕のターン。
破壊こそ新たな命の糧なり。ダイチを司る龍《偽りの王 ヴィルヘルム》、爆誕」

 今度は巨大な大型クリーチャー。効果によって《シヴァ》が倒された。しかし、この戦法はシントで何度も体験している。対策を立てるのは容易だ。

「ふん、俺のターン。《黒神龍アバヨ・シャバヨ》を召喚!《アバヨ・シャバヨ》を破壊し、シャバからアバヨ!!さあ、クリーチャーを破壊しな!」
「くっ、《フランツ》を破壊する!」

 ジェイコフは分かっていた。次に何が来るかを。そう、フジの破壊祭はこれでは終わらない。

「さらに、《アバヨ・シャバヨ》が死んだから、墓地から《黒神龍グールジェネレイド》を召喚!」

黒神龍グールジェネレイド SR 闇文明 (7)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ 6000
自分の《黒神龍グールジェネレイド》以外のドラゴンが破壊された時、このクリーチャーが自分の墓地にあれば、このクリーチャーをバトルゾーンに戻してもよい。
W・ブレイカー

黒神龍アバヨ・シャバヨ P 闇文明 (4)
クリーチャー:ドラゴン・ゾンビ/アンノイズ 4000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、自分のクリーチャーを1体破壊してもよい。そうした場合、相手は自身のクリーチャーを1体選び、破壊する。

「さらに、《ダーク・ルピア》の効果発動!ドラゴンが死んだとき、さらに追加でクリーチャーを破壊!!」

ダーク・ルピア P(C) 闇文明 (3)
クリーチャー:ファイアー・バード 1000
自分のドラゴンが破壊された時、相手のクリーチャーを1体破壊してもよい。

 効果で、さらなる追撃をかけるフジ。今度は《ヴィルヘルム》が吹っ飛んだ。

「クカカ・・・・・・!さあ、恐怖におののくがいい!!この、最強の”死龍の布陣ヤバスギル・フィールド”を前にしてな!!」

 クリーチャーはゼロ。かなりまずい状況だ。しかし、ジェイコフは諦めるわけには行かなかった。絶対に負けられない戦いだから。