二次創作小説(紙ほか)

ターン64:日向対太陽 ( No.196 )
日時: 2013/10/20 22:54
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「で、特訓の成果を試すために、デュエルロードに参加すると。」

 コトハは、天川に問うた。今、3人は休日の機会を生かし、デュエルロードに参加しようとしていたのである。

「そう言うことだね。」
「で、トーナメントの話ですけど、いい加減にチーム登録はしないんすか?」
「今日、どのみち出会うよ。」

 眼鏡が反射し、目の奥は見えなかったが、彼は不敵な笑みを浮かべている。どうやら、今回彼は参加しないらしい。コトハとヒナタのみの参加だ。
 さて、先ほど特訓と述べたが、主に行ったのは

1.デッキ構築の穴を埋める
2.プレイ技術の向上
3.デッキを枕にして寝ること

 だった。3番目はともかく、主に1番目を率先して行った。デュエマでは、デッキが命運を分けると言っても過言ではない。そのデッキをないがしろにしてどうする。僕の言っていることに間違いはないかい?えぇ?・・・・・・以上が天川の言い分だった。
 さらに、勝利したいなら勝利したいと強く念じることだ。かの古代中国の王も、戦争に負けた際に次は絶対勝ってやると思いながら、苦い動物の肝を舐めて寝たらしい。その王様は、次の戦争で大勝利したらしいよ。つまり、デッキケースを枕にして寝ることは、これと同等の効果がある・・・・・・ということだった。ただ、これは冗談のつもりだったのである。
 そして、バカ真面目にデッキケースごとデッキを枕にして寝たヒナタは、デッキケースの角で頭を痛めていた。(無論、コトハはやっていない。)

「てか、冗談なら冗談って言ってくださいよぉ。」

 頭をさすりながら、ヒナタは言った。天川は、まさか本気にするとは思わなかったのか謝ったが、コトハに「このバカが悪いんです」と毒づかれた。

「じゃあ、行ってらっしゃい。まさか、1回戦オチなんて事はないようにね。」
「分かってますよ!」

 そう言って、2人は戦いの場へと足を運んだ。





「《クリストファー》でW・ブレイク!《ドラゴ・リボルバー》でダイレクトアタック!」
「《ダイヤモンド・フォール》でW・ブレイク!《オーロラ》でダイレクトアタック!」

 と、順調に2人はデュエル・ロードでコマを進めていた。そして、準決勝。コトハは、

「《ダイヤモンド・ブリザード》でダイレクトアタック!!」

 得意の、ビートダウンと理詰めの戦法で相手を打ち負かしたコトハは、決勝へ駒を進めた。コトハは、ふとヒナタの対戦テーブルを見た。多分、ヒナタなら圧倒しているだろうと、思っていた。しかし、

「押されてる?!」

 感想はこうだった。そして、ヒナタと対戦している少年が、ただならぬ雰囲気を感じていることに気づいた。いや、正確に言えば相手から何も感じなさすぎるのである。





 数分前。ヒナタは、目の前の少年と向き合った。その少年は、少し長めのストレートヘアーで、瞳は・・・・・・はっきり言って死んでいた。つまり、覇気が感じられないのである。

「お前・・・・・・他の奴とちょっと違うな。」

 ヒナタは思ったままの感想を述べた。相手は、表情を変えず、

「どーも。」

 と言った。互いに、デッキのカードを並べる。デッキの中に入ったドラポンが囁く。

(ヒナタ!こいつから、アウトレイジのぶちでかい反応がするっちゃ!)
「ただもんじゃ、ねーってことだな!」

 そして、両者はおきまりのかけ声を掛けた。

『デュエマ・スタート!!』

 と。




 現在、ヒナタの場には《蛙跳び フロッグ》と《遙か寸前 ヴィブロ・ブレード》。相手の少年は《凄い守護 ヴェルネライト》に《突撃奪取 ファルコン・ボンバー》だ。シールドはヒナタが3,少年が4である。まだまだ勝負は分からない・・・・・・しかし、

「《ドラポン》召喚!さらに、《フロッグ》と《ヴィブロ・ブレード》でシールドをたたき壊すぜ!」

 一気に、少年のシールドが2枚も破られた。だが、少年からはやはり気迫が感じられない。

「このまま、飛ばすぜ!」
「エグザイル・・・・・・お前もか。」
「あ?」

 一瞬、意味が分からなかった。しかし、それを思い知らされたのは次の瞬間だった。

「俺のターン。《奪太陽 サンサン》を召喚だ。」
「何だこいつ・・・・・・!エグザイル・クリーチャーか!?」

奪太陽(ゲットレジャー)サンサン UC  光文明 (4)
エグザイル・クリーチャー:アウトレイジMAX 3500
このクリーチャーが攻撃する時、自分の山札の上から1枚目を裏向きのまま、新しいシールドとして自分のシールドゾーンに加えてもよい。
ドロン・ゴー:このクリーチャーが破壊された時、名前に「太陽」とあるエグザイル・クリーチャーを1体、自分の手札からバトルゾーンに出してもよい。
自分の他の、名前に「サンサン」とあるエグザイル・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。

「ご名答・・・・・・!まさしく、こいつはエグザイル・クリーチャー!名は、サンサンだ。さて、時に暁ヒナタ。」

 急に名指しで呼ばれ、驚くヒナタ。しかも、初対面の相手にだ。

「お前、俺の名前を・・・・・・!」
「貴様は輝けない。お前のような弱小デュエリスト如きが、俺を倒せるわけがない。」

 いきなり罵倒され、怒りを覚えるヒナタ。しかし、

「お前にとって、クリーチャーは使い捨ての特攻部隊のようだな。ならば、お望み通り俺が処分してやる!!《ファルコン・ボンバー》で《ヴィブロ・ブレード》を破壊!さらに、効果で《サンサン》をスピードアタッカーに。」

 次の瞬間、《サンサン》のカードが喋り始める。

「流石、キイチの親分!冴えてるッス!弱小火文明のドラポンさんと、その使い手如きで、オレっちとアイツ、そして親分が破れるわけがないっス!」
「声が聞こえた・・・・・・!」

 ヒナタは察した。やはり、ただ者ではなかった、と。間違いない。このキイチと呼ばれた少年は、かなりの強者だ。

「おらぁ!!サーンサーンー!!先輩に対する無礼は、相変わらずっちゃな!今、弱小火文明って誰のこと言うとるんっちゃ!!しばくぞ!脳天に風穴空けちゃるぞ!」
「おやぁ?そんな口利いて良いんスかぁ?オレっちを下手に破壊すれば、さらに痛い目にあうんっスよ?」

 サンサンは挑発するように、続けた。キイチが続ける。

「まあ、サンサン。そう”本当のこと”を言ってやるな。」
「本当のことって、何だよチクショーが!!」
「さーて、ここからだ。《サンサン》で攻撃!効果で、シールドが1枚山札から増えるぞ。」

 シールドが増え、逆にこちらはシールドが削られてしまった。さらに、

「《ヴェルネライト》で《フロッグ》を攻撃!自爆して、シールド・ゴー!」
「く、くそっ!こんなにシールドを増やしてどーするつもりだ!?」

 シールドの差を付けていくキイチに、ヒナタは為す術があるのか!?